元TV局勤めの人が書いた本だそうだ。現在彼女は80歳らしく、ググったのだが、何も出てこなかった。これ1冊しか出していないのだろう、本の最後に書かれたバイオグラフィによるとTV東京在職中にカナダのイヌイットのドキュメンタリーを制作し、その後退職したあとも彼の地に惹かれ、再び訪ねた。その時に接したイヌイットの文化を紹介している。
まず、この本、すごく装丁が綺麗。そこここにイヌイットアートがちりばめられている(写真参照)。本の内部はモノクロなので、ちょっともったいないのだが、これは予算の問題もあったのだろうから仕方がないだろう。
文字が少ないからあっという間に読めてしまった。読みやすい本だ。文章は素人ながら、テンポが良く飽きさせない。
イヌイットの世界がいいな、素敵だなと思うことは簡単だ。でも、私はニューエイジの人ではないので(笑)そんな夢みたいなことはボケボケ考えない。考えるのは、都会で働く自分のことだ。彼らの生き方は分かった。では、それを知った自分がどう生きていけばいいのだろうか、と。
そんな風に考えるにつけ、私が感じるのは、あの地に住んだときの圧倒的な絶望だ。自分の力ではどうにもならない、という絶望。そもそも人間が来てはいけないエリア。草木1本はえやしない。そんな圧倒的な絶望の中で、自分の力で何かの努力を成し遂げたという経験は、彼らのDNAの中にない。もちろん狩りが上手くなったり、犬ぞりの要領をつかんだりとか、そういう事はあるだろう。が、それでも、あの圧倒的な自然と氷の中ではまったくかなわない。そんな絶望だ。
でもって今、私はそれに対する答えを自分の中で出しつつある。そんなこともまた今度書いていきたいと思う。
この本はカナダでのケースで、グリーンランドのケースと違う部分もたくさんあるが、それでも、良い資料になるなと思った。さて、今日も頑張りまーす。
今夜からメロディック・メタルのバンドさんたちのお手伝いで忙しくなります。そのあとはすぐにティモが来日して東京マラソンに参加します。こちらもレポート、お楽しみに!