映画「ストリートオーケストラ」を観ました。これは素晴らしい! 


映画「ストリートオーケストラ(Violin Teacher)」を試写で拝見させていただきました。ありがとうございます。



今、売っているラティーナでも結構大きく取り上げられていたので、かなり気になってた。舞台はブラジルのサンパウロ。極度のあがり症で、名門交響楽団のオーディションに落ちた才能あるヴァイオリニスト。仕事がなくていよいよ追い込まれ、紹介された仕事を引受けるのだが、それはスラム街で子供たちのオーケストラを指導することだった。

子供たちはまず楽器の持ち方、座り方からしてなってない。先生のいうことをまったく聞かない。が、ある日主人公がスラム街でギャングに絡まれたのを演奏を披露して切り抜けたというニュースを知った子供たちは俄然集中力をみせはじめる。中でも熱心な男の子。彼には才能はあるのだが、家庭は貧しく練習する時間もない。彼の才能に対する理解もない。

それでも必死で音楽に打ち込むうちに、自分の存在価値に気付いて行く子供たち。一方で主人公も指導者として子供たちから刺激を受けながら、少しずつ自分に自信を取り戻していく。念願のオーディションにも受かり、このスラム街のオーケストラを離れる決心をする主人公。そして…

不安もあるけど、希望も感じられるちょっとドライな終わり方もいい。音楽はそうやって不思議な力を人間に与えてくれる。

俳優陣がホントに素晴らしいですよ。主人公はもちろんだけど才能ある2人の男の子がいい。彼らが映画が進むにつれ、表情もどんどん変わって行く。

あといただいた資料やラティーナにも書かれていたけど、注目すべきは1975年にベネズエラで生まれた音楽教育プログラム「エル・システマ」。貧しい子供たちに無料で楽器を貸与し、音楽の基礎知識や演奏技術を教えていく。それによって子供たちが暴力や非行に走るのを防ごうという考え方である。このシステムは、また世界的な一流音楽家も排出しているという。音楽を奏でることは社会的意義を教えることでもある…という考え方。オーケストラはコミュニティーであり、一緒にハーモニーを作りだすことで、ひとつの小さな世界を形成していく、ということ。

世界が救いようもない戦争や悲劇、家を追われる人々、そして選挙がいやな結果で終わった時…音楽にこの現状なんて変えられないさといつも無力感を感じるのだけど、この映画にちょっとだけ勇気をもらった。8月13日から公開。ぜひチェックしてください!