シャックルトンもう1冊「そして奇跡は起こった!〜シャックルトン隊、全員生還」を読みました


勢いずいて、もう1冊読んじゃいました。シャックルトン本。本人が書いたやつの方が説得力があるけど、あっちは昔の訳でいまいち読みにくいのに比べて、こちらはめっちゃ読みやすい。あっという間に読めます。児童文学の翻訳家さんだそうです。親切な注釈や、後書きを読んで興味をもってお名前をググってみたら、なんとこの夏、亡くなったそうです。残念。灰島かりさん。 

とにかく分かりやすい。シャックルトン本で誤読してた部分もありすっきりした。写真も豊富。これはお薦めです!

これ読んであらためて思ったシャックルトン考を少し。シャックルトンは探検以外においては、たいした人間ではなかった、と。南極や極地はそうやって、人間のすごいところを引き出すのだ。極地はすごいが、人間はもっとすごい。

シャックルトンの成功はやはり1人も取りこぼさないところにあったのではないか、と。シャックルトンは極限の状況の中で、内輪もめが致命的になりうることを知っていた。なので問題を起しそうな人間は近くにおき、常に注意をはらっていた。ここで1人亡くなっていたり、取りこぼしていれば、それはおそらく隊全員を失うことにつながったに違いない。(これは社会が1人も取りこぼしてはいけないという論理に似ている。これぞ人類生き残りの戦略なのだ!)

シャックルトンはアングロ・アイリッシュで、英国ではアイルランド人と見なされ、アイルランドでは英国人と見なされた。そんな根無し草的な背景も、探検家としてすぐれた力を発揮する源になったのかも、とも。