サラーム海上さん、高野秀行さんのトークイベントに行ってきました。サラームさんが新しい本『ジャジューカの夜、スーフィーの朝』を出してから、まだ入手できてなかったし…。それにしても、面白かった! せっかくなので、ざっくりレポートします。
以下、私がメモったことをまとめます。私は中東は全然詳しくないし、お二人の話の印象的なところをメモっただけなので、理解に間違いがあったらすみません。責任は野崎にあります。
なんとお二人初対面だそうで、でも両方のファンである私から言わせてもらえば,確かに全然やっていること違うものなぁ…という印象です。高野さんがしきりに「世界が違う」と言っていたのが印象的でした。ふふふ…(笑)
でももちろん2人ともお名前はよくお互いに知っていたようで、サラームさんはこのイベントンお相手に高野さんが来てくれて、とても嬉しそうでした。
一方、高野さんの奥様はベリーダンスを習ってらして、そのせいで家で常に中東の音楽が家で流れている状態だそう。そして、なんとサラームさんの中東本に掲載されているレシピを奥さんが作ったりしたこともあるそう。高野さんによると、すごく美味しかったとのこと。
そしてお二人がめちゃくちゃ合意してのが、やはりトルコ料理はすごい、ということ。どこで食べてもすごく美味しいということ。ただ東京のトルコ料理は非常に限定的だという話も。そうなんだ…
高野さんが見せてくれた食べもの写真の中で、ホントにシンプルな朝食セットが印象的でした。パン、ハーブ入りのチーズ、蜂蜜、オリーブなど、その場で買って持ち帰って食べても美味しい、と。あとは友達が持ってきてくれたゆで卵(笑)ちなみに日本ではトルコ文化センターで時々朝食が出ることがあるのだそう。でもすごく高いらしい… ということで、調べたら、あった!! これだ(右の写真/クリックで拡大します)ほんとだ、めっちゃ美味しそう。でも高い。これ朝ご飯っていうよりランチの時間帯だなー。週末のブランチと思って行くしかないか〜
そしてケバブはやはりとても美味しく、中東の人は肉に対する愛情が違うのではないかとサラームさんが指摘してたね。なるほどねー
そのサラームさんが今,一番好きなのはマントゥだそうで、いわゆる小さな小さな餃子。なんとすごいのは1スプーンに40個載っちゃうそう。(こういう風に極小になるところは都市部の特徴だとかなんとか高野さん>うーん、さすが指摘がするどい…) マントゥは中華やロシアでもある。遊牧民の料理。中央アジアってイメージ。
あと納豆の話題になって、サラームさんが行ったナガランド州の料理を紹介してたのも面白かった。「ナガランドキッチン」というお店で納豆を満喫したそうなんだけど,実はもともとサラームさんは納豆嫌い。高野さんによると出汁になるものがないナガでは納豆が多く使われており、納豆、つまり現地の言葉で「トナオ」はシャン州のソウルフードだと。またアジア納豆は、日本の納豆の特徴である粘り気がまったくなく、アジア納豆なら食べられるという人は多いですよ、との話。日本の納豆はとにかくご飯にからませることに特化している極端な例だ、と。
またサラームさんによればインドよりナガランドの方が文化がうんとアメリカ志向で、みんなボン・ジョビとか聞いている。いわゆるヒンディーやボリウッドなどは拒否している文化なんだって。面白いね。
それにしても日本食というのは特種で、そもそも生の魚を食べる文化はほかのアジアにはみられないし、70億人のうち、たった1億人の文化だと。
そして、今、日本以上に人口1人に対して寿司屋の割合が多いのはテルアビブなんだって!
そしていよいよ肉の話に。ラクダ。特に高野さんが見せてくれたラクダの頭の写真は最高でした。(ラクダ肉屋の店先に死んだラクダの頭が置かれていて、それが目もあいてるし、口もあいてる/笑)ラクダ・バーガーを食べたというサラームさん。ソマリで食べた高野さんのラクダ丼も美味しそう。でもこのラクダ丼は高野さんのソマリの友達はみんな好きじゃないんだって。めちゃくちゃ美味しくて、高野さんは大好物。レタスがかかっていて,その上にライムを絞って食べるそうで、安くて50円くらいなんだって。
あとはカートの話。これはあえて書かないでおきますが(笑)そして内戦になる前のイエメンの話とか…
そして今、高野さんが取り組んでいるのがイラクらしく、そこで食べた鯉の塩焼き(強火の近火で焼く)の話も面白かった。近火で焼いて炭化させ、血とかもついてるから大丈夫かな、という感じらしいんだけど、美味しいとのこと。
あ、そうそう、高野さんがインドに行けないという話について。「インドは僕にとってはガンダーラです」といった高野さんの言葉に泣けた/笑えた(笑)(詳しくは高野さんの『西南シルクロード』をチェック!)
休憩を挟んで後半はサラームさんによるカッパドキアの音楽フェスティバル、カッパドックスの話。フジロックの越後湯沢と一緒で、地元の食文化もいろいろ体験できる場になっているそう。特に見せてくれた写真は野外にテント&素敵なテーブルセッティングで夢みたいな世界。全部薪火、燠火で料理するのだけど、ワインが重要で、このエリアはワインでもすごく有名なんだって。(古代からクリスチャンが住んでいる)ここで4時間くらいのコースを食べて、ほとんど寝ないで音楽フェスティバルの数日をすごすのだそうです。(高野さんは「僕は飲んで食べたら、もういいや、ってなっちゃう」とのこと/笑)
あとお二人の話で面白かったのは、日本人は肉の民族じゃないなって話。和牛とかも、実はトロを狙っていて肉の本来の味ではないのではないか、と。なるほど…
そして、サラームさんのケバブの話。炭火で焼くのが本物。また向こうの人たちにとってのキョフテ(肉団子)は、日本人にとってのハンバーグみたいなもの。子供が大好き。でも最近は健康志向で、ケバブもラムや牛ではなく、鶏肉ケバブが流行ってるんだって!! そして今ではムンバイとかでもチャイに砂糖を入れなくなったそう… 時代は変わるねぇ。
あと面白かったのは、サラームさんのイスラエルでワイナリーを何軒も回って、背中が痛くなって、医者に行ったらホメオパシーの薬もらって、それが一発で効いたって話。そして複雑な気持ちで飲むゴラン高原のワインの話など。
サラームさんの話で印象に残ったこと。イスラエルというと、最初はいろいろ思うところはあったけど、性格がとてもオープンで、みんなどうやって生きて行ったらいいかをよく考えている人が多い、と。すごく親切。人に親切にすることがサバイバルだと思っている。自分はアラブ系の人と付き合いが多く、最初は思うところがあったが、それでも自分は両方の音楽を聴ける立ち場なのだから両方を聞いて行くべきだ、とある時思ったのだそう。うーん、いいね!!
高野さんは、今イラクのことを書こうとしているのだけど、それはやはりイラクについてネガティブな情報しか日本に入ってこないから。実はグルメ大国で、北はトルコに接しているし、とても面白い食文化。
ここで登場したのがマクルーバという中東の炊き込みご飯の料理。サラームさんもトルコの南で友人のお母さんに習ったそうで、ビリアニに似ていて鍋で炊いてひっくり返す料理なんだって。ここで出たのがメイハネ・テーブルでも紹介されてた片口イワシの何層にもわたったビリヤニみたいなすごい料理。あぁ、これ食べてみたいんだよなぁ!
その他の情報として、高野さんの週刊文春の連載はそろそろ書籍になるみたい。楽しみ。絶対に買う!!
あとサラームさんが、イスラエルのテルアビブでカツカレーが流行っている、って話も面白かった。その原因は、なんとサラームさんが東京に来ていたTVに出てるテレアビブ在住の有名シェフにカツカレー食べさせて、それがすごい影響力で、今、イスラエルでめっちゃカツカレーが受けているとのこと…。いやいや、食文化ってほんとに面白いし,今後いろいろ加速していくんだろうなぁと思いました。
というわけでお二人の本も購入して,サイン本にしてもらっちゃった。高野さんのはどれも持っている本だったけど、ま、イスラム飲酒本を2冊目ってことで(笑)
お二人ともありがとうございました〜〜