帯に「30万部突破!」とか書いてあったので、いやな予感がしたが読み始めてみたら、ポップもポップ。すごくポップ。スイスイ読めてしまう。この前に読んだケルトのファンタジー本が超難読だったため、その反動か。やっぱり売れている本は、読みやすい。すいすい行ける感じはさすが売れてる本。
ストーリーはこんな感じ。いけてないOLの「こと葉」は幼なじみが結婚するということにショックを受けがっかりしながらも彼の結婚式にのぞむ。そしてそこで素晴らしいスピーチをする女性に遭遇。しばらくして同僚からのスピーチを頼まれたこと葉は、その彼女にスピーチの極意を教えててもらうべく彼女の事務所を訪ねる。そこからいろいろ彼女の人生がひらけていくのだ。
それにしても読んでて楽しい本はいい。読もうという気になる。いつも読書をするお風呂の時間が楽しみになり、加えて早く寝ようという気にもなる(布団の中で30分から1時間読書をするのが日課だ)。その効果は大きい。わくわくしながら読み進む。非常に楽しい読書体験だった。うん、読書はこうでなくっちゃいかん。
ただ正直、最初は「ちょっと漫画っぽい」という印象あった。歴史とまではいわないが、実際にあった自民党と民主党の攻防をベースに、実際の人物たちがベースになっているのは読み進むにつれすぐ分かる。そこにちょっと気の利いた残る台詞が挿入され、なるほど、と妙に納得しつつ読み進める。とはいえ、何度も書くが展開がポップすぎて、ちょっとついていけない。テレビドラマじゃないんだし、と思いつつ読み進める。
しかし、そんな天邪鬼(あまのじゃく)な私でもぐっとギアが入ったのが幼なじみの彼に政治の世界へ一歩踏みべくチームで説得に行くシーン。すでに200ページすぎたあたりからだ。幼なじみを説得にいった主人公とそれを取り巻くキャラのたった人物たち。いい味だしてるおばあちゃんなど、全員最高だ(笑)。そこからはへそ曲がりの私も泣いたり笑ったりしながら一人で大騒ぎしつつ読んだ。いや〜、すっごいわ。
それに実際スピーチという「言葉の重要さ」や「戦略」みたいなことについても、ノンフィクションなみに勉強にもなった気がする。何度も書くがポップさにかくれて重要なことも流れていくが、登場人物たちにとても重要なことを言わせているのがいい。
熱血系のドラマとかになりそうだよな、と思ってたら、すでになってた。っていうか、現代の作家はこういうポップなお話を書きつつ、テレビドラマ化を狙うのが、成功なのかもしれん。で、30万部かー。おそるべし原田マハ。あと2冊あるので、どちらも読むのが楽しみだ。
PS
話を始める前に聞く人が静かになるのを黙って待つ。
メモはみないですべて暗記する。
上手なスピーカーになるためには聞き上手であるべし等々、メモっておきたいことも多々あり。勉強になった。