ショパン展に行ってきました! 皆さんもぜひ〜


練馬美術館「ショパン〜200年の肖像」を観に行ってきました。この状況下、開催してくださった関係者の皆さんには頭がさがります。ありがとう、ショパン! ありがとう、ポーランド! ありがとう、練馬美術館! 東京終了後、展示は静岡の方を回るようですが、東京もこの後アラート続きで、どうなるかわかりません。早めに行くのがいいかと思います。

しかし本当に久しぶりの「おでかけ」です。電車に乗る時どきどきしましたが、平日の真昼間だったこともあり、それほど混雑はしていませんでした。経由地の池袋だけはあまりに混んでいていてびびりしました。それにしても練馬美術館、初めて行ったけど、西武池袋線の中村橋から徒歩3分って感じで便利な場所にあり、ちょうどお昼時だったため、庭のベンチや階段に座ってお弁当を広げている人も多く、和みの場所でした。

さて展示、最初は一階突き当たりでショパンの肖像画特集、これがなかなかユニークで面白かった。ショパンが今でも多くの芸術家にインスピレーションを与えているかが実感できます。そのあとは2階にあがって、それぞれの曲をイメージして作られたアート作品などがずらりとならびました。これ、曲のメロディをちゃんと覚えている人には興味深いんじゃないかな。その後は、ショパンの時代の風景画などなど。ショパンが生きた時代の様子がわかります。

また目をひいたのは、ショパン・コンクールのポスター類。かっこよかったなぁ。ポーランドって、こういうグラフィック・デザインでも注目されていい国だと思うんですよね。

そして、今回の展示のハイライトはやっぱり本人が書いた楽譜。このエリアだけ照明もぐっと落として、じっくり音符と向き合うような時間が持てますが、迫力です。やっぱ説得力が違う。ショパンがこれを書いたのだと思うと震えます。私も譜面は読めなくはないのですが、頭の中でメロディを鳴らせるほどではないので、ただただその筆跡にびびりまくるばかり。これショパン好きで実際に演奏している人には圧巻でしょうね。ショパンの自筆の楽譜がポーランド国外へ出ることは滅多にないそうですよ。

私がしかし個人的に最高に震えまくったのは、高橋多佳子さんのショパン・コンクールの賞状!!… ってこういうの、なんて言うんだ、賞状でいいんだろうか?(笑)その実物! 当然高橋さんがご提供されたんだろうけど… すごいよー 審査員のサインがずらり…。故中村紘子さんのサインも! ぬおおおおおっっっ、すごすぎる! かっこいいよーーーー 高橋さん。1990年のものなので、それほど古くはない…いいや、もう30年前のものか。とにかく感動!!でした。

そう、高橋さんにはウチはとてもお世話になったんです。ポーランドからヤヌシュ・プルシノフスキたちが来日した時、私は病み上がりで体調がボロボロで現場はほとんど立ち会えなかったけど、あれは本当に3、4年かけて組み立てた入魂の企画でした。高橋さんには北とぴあの公演で共演いただいたほか、ヤヌシュのインタビューにも協力していただいて、本当に素晴らしい時間をご一緒することができました。北とぴあの日、共演のリハーサルが終わったあとユルユルしているヤヌシュたちと違って、高橋さんはストイックに一人でステージ上のピアノで延々練習してらっしゃった。それが、えらいかっこいいと思った。共演の時とかとても気さくで、親切で、オープンな感じの高橋さんですが、音楽家の集中力ってすごいなぁと、彼女が歩んできた輝かしい道のり、しかし努力と練習と練習と練習の大変な道のりを勝手に想像して私は一人胸熱くなっておりました(笑)。ほんと、正直、クラシックの人との共演なんて、最初私はびびりまくっていたんだけど、高橋さんは最初から最後まで協力的で、しかも旦那様はショパンの研究の第一人者だからショパンをこんな形で門外漢であるウチが伝統音楽で勝手に切り込んじゃって怒られるんじゃないだろうかとか思ってたけど全然そんなことはなく、優しく見守りくださり(マネージャーさんがまたすごくよく出来る子で、チーム野崎に引き入れたいくらいだった)、本当に本当に本当にお世話になった。

あ、話がそれちゃいました。でも、私はそんなことを思い出しながら展示を見てまわりました。だから自然と私の目は… 例えばそれが農村の風景画であれば、そこにミュージシャンは描かれておらんものかと探してしまうわけですが、1点だけあったかな。ベースを縦にかかえてギコギコひく農村音楽家が登場する作品が。といってもショパンの時代のものではなく、1960年代に作られた作品へのオマージュでしたが、ぜひ皆さんも目を皿にして探してみてください(笑) でもまだまだクラシックのファンの方にショパンのルーツがポーランドの農村の伝統音楽にもあるというのを認知してもらうには時間がかかりそうです。私もこれから、まだまだうんとプロモーションしていかないとな。

そうだ、それから有名なジョルジュ・サンドとの二つに切断された肖像画(ドラクロワ作)が一緒になったものを見れたのも良かった。現在ショパンの方はパリに、ジョルジュ・サンドの方はデンマークの美術館にあるそうだけど、展示された作品はドラクロワの習作からヒントを得て、もとのレイアウトを復元したものだそう。その物語については、こちらのコラムが詳しい。興味がある方はぜひ読んでみてください。

それと、音楽ライターの原典子さんのレポートが良いので、こちらもぜひ。私はちょうど自分が行く1時間前くらいに読んだので、非常に参考になりました。ありがとう、原さん! 
原さんのレポートにもあるように『ピアノの森』の原画も圧巻でした。あの漫画、えらい長いのを赤羽の漫画喫茶で「研究」と称して1日かけて全部読んだっけなぁ!! 読みながらボロボロ泣きました。



というわけで、皆さんぜひ行ってみてください。そして、こういうご時世ですので、行かれる際は、美術館からの注意書きを読んでおいてください。入り口で消毒液プッシュをうながされたり、チケット売り場に仕切り板などがありますが、基本的にはまったく問題なく、それほど混んでもおらず、ゆっくり観覧することが出来ました。人が集まるような関連イベントやコンサート、レクチャーなどがすべてなくなってしまったのは、残念でしたが、平日の昼間だったら大丈夫だと思われます。

グッズについては、トートバックが可愛くて、しっかり丈夫な感じ、大きさもLPレコードが入っちゃうくらいのサイズで1,800円と、欲しかったんだけど、今、断捨離してるしってんで断念。一方、資料もかねて立派な図録は購入したので、こちらはゆっくりお茶を飲みながら眺めたいと思います。あとポストカードが数点と、マグネットやネックストラップとかもあったかな…

原さんもいうように書簡集が欲しかったけど、高くって…  あれを閲覧に民音さんの図書館(楽器ミュージアムの地下にある)に行って、コピーがNGだったので、ノートに手書きでショパンが農村の音楽に言及している箇所を必死で写しまくったっけなぁ!


この模様。指の跡らしいんだけど、テキスタイルの模様みたいでしょ。かなり素敵。


これなんかデパートの包装紙とか、それこそワンピースの柄になったら、めっちゃ良さそう。うーん、でも図録の撮影じゃ雰囲気でないな。実物はもっとコントラストがはっきりしていて可愛いです。ぜひ実物をご覧ください。


そして何よりも私がツボにはまった展示物はこいつ。図録にのってたのを接写してみましたが(笑)、チャーミングでしょう? これを見つけた時は、誰がスターウォーズのキャラクター・グッズをこんなところに置いたんだ!? 不謹慎な!?とびっくりしましたが、ショパンの時代のものです。これまた何でここに?!みたいな場所に登場するので、びっくりしますよ。まぁ、多分亡くなる直前までそばにあったんでしょうね。これが何かは秘密。ぜひ皆さん、ショパン展に行って、ご自分の眼で確かめてくださいね。



図録は、普通にアマゾンでも購入できるみたい。



それにしても、世界の伝統音楽をプロモーションして早ン年(笑)。伝統音楽をいかにクラシックやジャズのリスナーさんにも聞いてもらおうと日々努力をし続けてきたわけですけど、一見なんの関連もないように聞こえるワイルドで不規則なヤヌシュの音楽が、日本で一番人気のあるクラシックの作曲家ショパンのルーツだってのが、本当に信じられない。

そう、ショパンは14歳(まさに中2)の時、療養に出された農村で、初めて農村の伝統音楽に触れて、その感動を「子供新聞」にしていたのです。そして作曲家活動中、たくさんのマズルカやポロネーズをこの世に残していきました。詳しくはこちらをご覧ください

その農村マズルカのリバイバルブームの牽引者、ヤヌシュ・プルシノフスキ、2度目の来日が決定しました。高崎での公演が楽しみです。無事開催できますよう!! っていうか、きっと出来るね。ショパンの神様がついてるよ〜っっっっ。

PS
こちらも必見。MSC Young Artistsさんの毎度充実でタイムリーなブログ。かっこいい、ショパン!! でもやっぱり神経質そう…繊細そう…病弱そう…(笑)