2020年10月17日土曜日

映画『たちあがる女』を見ました。いや〜素晴らしい。


実は一番良かったのは、演出と音楽! これは意外な収穫。アイスランド映画『たちあがる女』を見ました。

確か昨年のヴェーセンの来日公演に配給の人だか宣伝の女だかがチラシを配りに来てくれてたんだよね。(あれは会場のおかげでチラシひとつ配るでも大変な公演だったけど)ずっと気になっていたのだけど、見に行くことができなかった。Primeでやっているのを見つけてやった見たよ。結論から言っちゃうと、すごく良かった。私はこういう映画大好きです!

アイスランドの片田舎。アルミニウム工場に反対したった一人で秘密裏に活動する女環境活動家。かなり過激な行動で工場へ電気を送る送電線をカットして停電させたりと、勇敢に闘う。不審者として追及されるも上手く逃げ切り、国は「テロリストによる集団犯罪」と判断しメディアを賑わせる。

普段の主人公は知的でたくましい、しかし静かめの中年女性。合唱団の講師としてコーラスグループを指導したり、プールに行ったり…。双子の姉はインドのヨガ講師をしている。そこへ4年前に申請した養子縁組の許可がおりたと通達があり、主人公はウクライナから4歳の女の子を迎えるべく準備を始める。しかし警察の追っ手が迫り… 

時々彼女をヘルプするコナというワンコちゃん連れの農夫もすごくいい感じ。双子の姉妹もうごく良い(同じ女優さんが一人二役)。

演出がちょっと変わってて、いわゆるカリウスマキ的なシュールさをかもしだしているし、ユーモアも効いているんだ。だから全然暗くない。最後はちょっと漫画チックだけど一応ハッピーエンドで映画をみた人がこれなら納得という爽快感。

しかしこの監督の演出で一番素晴らしいのが実は音楽の使い方だ。なるほど、こういうやり方もあるんだ!!って感じ。不思議な音楽だが、だいたいは巨大チューバ、アコーディオンそして乾いた音のドラムセットというトリオ編成で、主人公の不安な気持ちを適度な寄り添い方で表現していく。このトリオは本来ストーリーには関係ない形で突然画面に登場し、不思議な音楽を奏でていく。そして、これがものすごくかっこいい。

このトリオ以外にも、ウクライナから養女を迎えることになったということで、ウクライナの…ポーランドかと思ったらそうではなく…ウクライナの女性合唱団3名も登場するのだが、これもいい感じで、彼女たちのコーラスワークが映画に不思議な空気感をあたえている。いや〜、こういう演出はじめてみたけど、すごくいいわ。かっこいい。へんなクラシック風のお涙ちょうだい音楽流れるより全然いいわ。あ、そうそう、この乾いたドラム、ちょっと映画「バードマン」の音楽に似ている気がする。

監督が音楽に重きを置いているのはエンドロールに流れるクレジットの主演の俳優二人のすぐ直後にバンドやシンガーたちの名前がクレジットされていることからもうかがえる。いいよー この監督。同じ北欧として絶対にカウリスマキに影響受けてるし、カウリスマキとの比較は免れないだろうけど、でもカウリスマキは最高だけど、ちょっとへんな日本の歌謡曲趣味があったり音楽のセンスは必ずしも良いとは言えないのだよね。(すみません、個人的感想です)でも、こっちの監督のは最高。うーん、いいね。覚えておかなくちゃ。監督の名前ベネディクト・エルリングソンという。

なおあのジョディ・フォスターがこの映画をみていたく感動し、彼女によってハリウッドリメイク版も作られる予定なので、これはこれで期待大。とはいえ、たぶんこのオリジナル版は超えられないだろうな。いや〜素晴らしかった。同じ監督の次の作品が楽しみだ。


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