十条

 


緊急事態宣言下でどうかと思うが、あまりに辛いので先日久しぶりにマッサージに行った。ふらっと入った東十条のマッサージ屋さん。足裏を痛いくらいにゴリゴリされるのが好きである。痛いんだけど、気持ちいい。昨日もやってくれたお兄さんに「凝ってますねー」と感心される。これってよく言われるけど社交辞令なのか。「働いてますねー」とか「がんばってますねー」的な。昨日はハンドマッサージにも初のトライ。こちらはものすごく痛い。が、お兄さんはちょっと無理でもやった方がいいと主張するのでやってもらったのだが、確かにこれは効いた感じがする。マッサージうまいなぁ、お兄さん。

このマッサージ屋さん、会話をするのがスタイルなのか、隣でやっているお姉さんもずっと話をしている。ここのところ人と会うのが少ない私も、普段は店員さんとはあまり交流しない性格なのだが、珍しく聞かれるままに結構しゃべってしまった。

お兄さんとの会話はおもしろかった。東十条の話になり、銭湯のやなぎ湯は北区の中でも屈指の場所だ。800円くらいでサウナとお風呂で天国だと褒めると、お兄さんは自分の職場から徒歩5分のやなぎ湯を知らないという。またどうやら銭湯が何かがわかっておらず、話しているうちに「銭湯」が「温泉」になってしまうのだ。私が何度か銭湯と言い直してもダメだ。よっぽど首根っこをつかまえて「銭湯」と「温泉」の違いを説明してやろうと思ったけど、やめておいた。そもそも彼は銭湯というコンセプトを知らないのかもしれない。最後は出口まで送ってくれて「で、温泉はどっちの方にあるんですか?」とか私に聞く。私はもう「(温泉じゃなくて)銭湯は、って言い直す気にもなれず、温泉はあっちだよ、と指をさす。

あと面白かったのは、スマートウォッチというものを見たこともないらしくハンドマッサージをするときにスマートウオッチの真っ暗な画面をみて「これなんですか?」とか聞く。確かにスマート・ウォッチをするというのは中年の証かもしれない。

そのくせ私の履いていたドクターマーティンの青いブーツは認識したらしく「いいですねぇー」「珍しいですねー」と言う。確かにこの靴、先日日比谷のMid Townでもお姉さんに褒められた。しかし出かけることがほとんどないので、もう買って結構たつのに、まだまだ青々していて新しくてピカピカなままだ。早くロンドンっ子っぽくくたびれてくれないかなぁ!

先日も同業者と電話で話したのだけど、私の感覚ってちょっとずれているのかも。何十年もストレスもない楽しい人生を送ってきてしまったせいで、世間の価値観とはだいぶ違う位置にきてしまったようだ。「いや、あっちの方が分母が大きいんだから、あっちの(マスの)マーケットに呼びかけないとだめですよ」とか、同業者さんと電話で話しながら自分を説得する。でも彼はそれが十分できている人なので、私こそ自分を説得しなくちゃといったところだ。

それにしても東十条の商店街はおもしろすぎる。ここでの要注意点は美味しそうと思ってもやたらめったら買わないこと。買うとだいたいの食べ物は塩分過多でものすごく味が濃い。そして美味しそうには見えるが、決して美味しくもない…加えて絶対に安くない。正直シャッター商店街になるのもよく理解できる。まぁ、でもそれが十条の持ち味なのかもしれない。

自炊しているのはいいのだが、スーパーで買い物しても高いものばかり買ってしまって、まるでやりくりができていない。やりくりができる賢い人は素晴らしいと思う。

それにしても、人間55年もわがままに生きてしまうと、もう後戻りはできない。ヴェーセンからローゲルが脱退したことだし、私の時代も終わったんだよな。もうこれからは人の言うことを聞いて生きていこう…と思ったりする今日このごろ。そうなのだ、仕事も実は自分が超思い入れを持って手がけたものよりも、さくっと試してみた、人から勧められたみたいな時の方が成功する。特に金銭の成功は、人の言うことをきけば人が与えてくれる(クライアント仕事をやればギャラがもらえる)。間違いなくそうだ。服もそうだ。自分が選んだ服よりも、人にもらった服や進められた服の方が褒められる。

これからは一歩引いて生きていくか…  と思ってもいないことをここに書いておこう(爆)、まだまだ子供でいたい。遊びたい。自由でいたい年頃です(笑)っていうか、一生遊んでいたいのよ。ただそれだけ。「ありときりぎりす」でも読もうかな。

今日は天気が悪いんだけど、出かける用事が3つもあり、ちょっと朝からくたびれている。