足立レインボウ映画祭にお邪魔しました。『カランコエの花』最高!


なんか勇気をもらえるすごい映画祭でした。主催されたお二人、本当に素晴らしい。大成功だったんじゃないでしょうか。

昨日は久々の北千住「足立レインボー映画祭」に行ってきました。足立区には今年4月にパートナーシップ・ファミリーシップ制度がスタートされたのですが、それをお祝いする形で絶好のタイミングでこの映画祭開催という運びになりました。

そもそも足立区といえば「レズビアンやゲイが広がってしまったら足立区はほろびる」と発言した白石正輝議員で有名な足立区。(謝罪はしたけど、今だに議員やってる。自民党)

この時、署名団体を主宰した「足立・性的少数者と家族の会」の芝田まみこさん、長村さと子さんが今回の映画祭の主催者となったんです。本当に素晴らしい!! 条例ではなく要綱という形でこの制度を推し進めた足立区長、素晴らしい。

こういう保守親父のバカな発言とか、いろいろある。いろいろあっても反省しテルだけじゃダメだ。それをポジティブな行動につなげないと。こういう政策に舵をきった足立区、素晴らしいね!

昨日の映画祭でも足立区区長の近藤やよいさんによる挨拶があり、そこで区長が「足立区に住むのが怖い」と言われた、それに対して責任を感じたというお話があった。わかる。それが人間として当然の思いだ。ここに詳しいインタビュー記事が。 

そして最初に見た1本目の映画『カランコエの花』。いや、すごいびっくりです。なんというか、こういう映画、大好きなんですよ。見終わったあと5時間くらい語れる映画。何も答えが出ていない。でもものすごく考えさせられる。誰も悪くない。なんとかあなたを守りたいと思うのに(カランコエの花言葉はあなたを守りたい、だという)、人間として良くあろうとおもうのに。みんながみんな大事なことを外してる。それが当事者を傷つけてしまう。そして、こういう映画にしては珍しくLGBT当事者ではなく、それを取り囲む周りの人々の視点を描いたもの。あぁ、もうっっ! みんなの気持ちがよくわかる。


「うちのクラスにもいるんじゃないか」とある高校2年生のクラス。
ある日唐突に『LGBTについて』の授業が行われた。
しかし他のクラスではその授業は行われておらず、生徒たちに疑念が生じる。
「うちのクラスにLGBTの人がいるんじゃないか」
生徒らの日常に波紋が広がっていき…
思春期ならではの心の葛藤が起こした行動とは?

40分に満たない短いフィルム。上映後のトークがこれまた最高によかった。シゲ先生こと鈴木茂義先生(シゲ先生)、そしてASTA代表の松岡成子さん。

映画の感想を聞かれ、もう何度もこの映画を見ているという松岡さん。「まず周りの大人が少しずつずれてますよね」と。お母さんも自分が当事者でないことをいいことにお醤油を取りに行ったり、これはよくある「関係ない人の行動パターン」だと。「先生もおしいし、親もよくわからないことだから話あう絶好のチャンスをのがしている」と。

「多様性のある社会を当たり前のものとしていかなくてはいけない。LGBT以外にもいじめの問題や貧困など。絵本なども良いものがたくさんあるので、どんどん子供に見せてほしい」とはシゲ先生。教えなくてもいい。どう思う?と聞くことが大事。とにかくすべてを身近なものにしていく、当たり前のものにしていく。

重要ワード=マイクロ・アグレッション 小さな無意識の暴力。「私はゲイの子供に“彼女できた?”ってずっと聞いてきた。それがずっと子供を傷つけてきた」と告白する松岡先生。「そこではじめて自分の失敗に気づいた」うわ… わかるなぁ。この重要ワード知らなかったよ。

シゲ先生はゲイであることをカミングアウトしているのだけど「子供のころは友達との問答を想定して防御していた」「好きなアイドルとか聞かれたらこう答えよう、と準備したりして…」「『あおいらくだ』など素晴らしい絵本がたくさんあるので、ぜひそういうものを上手に使っていって」

「こういう重要なことをタイミングをみて、どんどん話していくことが本当に大事なのに教育現場にあまりにも「ゆとり」がない」というお話も。

とにかくこの作品はいるんな話ができる映画。監督は何を伝えたかったかと聞かれても何も言わなかったそうで…いやーーーーさすがだわ、監督。最高!!!

とにかくみんながいろんな失敗をしている。この映画の登場人物を誰も責められない。LGBTは「可哀想な人たちなので頑張ってください!」とかいまだによく言われる、とのこと。

とにかくLGBTもそうだけど、すべてのことに言えること。LGBTを通して伝えるべきことは何かと考えるのが重要、と。例えばLBGTは全人口の7.6%と言われているけど、この数字の根拠は?というと疑問が残る。こういった数字は実はなくなるくらいがいい。ただ今は過渡期として情報の一つとして必要なこと。とにかく「どう思うか」を繰り返し問いかけていくことが重要。

そしていろんなことにおいては「友達の存在」がすごく大事。親は最大の敵でもあり最大の味方にもなりうる。とにかくひたすら受け止めるのが大事。言葉を聞くのが大事。熊谷晋一郎先生の「真の自立とは依存先を増やすこと」という言葉をよく噛み締めること…(この先生のことも初めて知った。素晴らしいな)

いや、とはいえ、本当に子供たちはしなやかだ。こういう本もある。そういう無限の可能性を秘めた子供たちの成長を邪魔せずにいるのが、いろんなことの過渡期にいる私たちの世代ということだと思う。わたしたちはどうしていけばいいのか、本当に考えさせられた。

会場でチラシが配られていた「日常会話」という台湾のドキュメンタリー映画にも注目!  7/31から東中野のポレポレにて。

ちなみにこの映画祭の主催のお二人はこちらの著者だそうです。早速ポチった。それにしても昨日ほど足立区に事務所をかまえていることを自慢に思った日ありません。足立区、すばらしい! ありがとう、茂田さん、長村さん。秋の回も必ず行きます!

夜は海外の友人とZOOMしてガースーがどーのとか、ワクチンのあれこれがどーのとか文句の嵐になったが、私は「いや、この社会は素晴らしい」「社会は良くなっている」って力説しちゃったよ。だって、こういおう映画祭があるんだから。こういうの「パワーをもらう」って言うのかなぁ。

 

PS