やばい。やばすぎる。やばすぎるほど楽しい本だった!!
雑誌の連載だったこともあって、一章一章短く簡潔しているので、とても読みやすい。早速トイレに置いて2ラウンド目を楽しみたいところだ。いやー 今回も堪能しました。清水先生。明治大学の教授で歴史番組の解説や時代考証などを専門にされている先生だ。
最近は高野秀行さんとの共著でも知られる。
私たち日本人のことをさらに知るためにも、日本って「えっ、こんな国だったの?」みたいなことが連続して書かれている。本当におもしろい。
まずは教科書にのってる歴史上の重要人物に中世のに日本人はいないと先生は説く。そして、いわゆる「常識」「道徳」の埒外にいることが中世人の最大の魅力であると!!(ここで期待MAX!!)
「おまえのカアちゃん、でべそ」の本来の意味を知った時、それが英語のあの表現と通じることを知ってしまった時、すごいなと震える。
自分の村以外は「外国人」いや、今の外国人以上に外の者だとみなしていた人々。
職業人としての「勤め人」にこめられている蔑視の視線…つまり実は百姓はプライドが高く武士を憧れの存在としては見ていなかったとか「士農工商」は実際にはなかった…とか。
武士を百姓よりも下にみるプライドさえもうかがえる。主人に仕える侍たちを徹底的に軽蔑し、誰にもへつらう必要がない自由な立場の農民たち!! パワフル! かっこいい! いいよ、すごくいい!
年号の章もおもしろかった。そもそも天皇と年号が結びついているのは最近だけの話で、無理矢理年号を変えて世の中の空気すべてをリセットしてしまう強引さ…。
あぁ、そうか、そういや令和の時も何か大切なものがリセットされてたもんなぁ。
あと切腹にこんな意味があったのか?!ということも。今でも時々、恨みを言い残しつつ死ぬという手法はないでもないが… 激しすぎる。激しすぎるよー。心は頭の中ではなく、お腹の中にあるという感覚もすごく興味深い。
あと夫の不倫は、自分の夫ではなく相手の女に復讐するとか、落書きという習慣は今、始まったことではないとか…
そんな室町時代のDNAは、今も私たち現代を生きる日本人の、そこここに生きている。極端ではあるし、なんかワイルドではあるが、でもまったく同意出来ないということもない、なんとなーく、共感もできるから不思議だ。
実際、私は普段は日本の歴史とかよくわかってないし、漢字読むのも苦手な私だし、おっさんが読むようなヒーローものの歴史ものにはまったくもって共感しないのであるが、清水先生のエッセイは大好きだ。
完全無敵のヒーローなんていないのだ。そこにはエキセントリックで激しい人々がいる。室町時代、本当に面白い。
異文化を学ぶことの効能の一つは、自分たちが絶対的な“正義”や“常識”だと信じていることが、時や場所を帰れば必ずしもそうではないということを知るということだろう。それによって私たちは異なる価値観に対して“寛容”になることができる。