なんとこれ、リアルな知り合いが執筆した本。全然、知らなかった。佐藤さんには、某大使館の音楽イベントで出会って、「インドに駐在されていたこともある共同通信のJAZZ好きの記者さん」という認識しかなかった。佐藤さん、すごい。本当に素晴らしいです。
そもそもこの本が出る前に2016年に出て購入したまま積読になっていた『死刑に直面する人たち』という本がある。佐藤さんがご自身のfbで「本が出ます」「前の本のニュー・ヴァージョン」と今回の新刊を紹介していたのを拝見し、えーーーーっっとなったわけ。
あわててまずは『死刑に直面する人たち』を積読本の山から救出して拝読。
それにしても、しっかりと必要以上に感情移入せず記者の目で書かれているから、余計にビシビシ来る。死刑を執行しているリアルな現場。特に執行の場にたちあう刑務官の人たちの話には心が痛んだ。
こういうことは… ここに書いたことがある著作権の問題や入管の問題やテレビで話題になる皇室問題と同じだ。集票に関係ないことは日本は放置されるのが常なのだ。政治家がぼーーっっとしているから。
しかし佐藤さんが書いている刑務官の皆さんたちの心労には心が痛む。これはいつぞや木村草太さんが話してらっしゃった「執行する側の人権」に間違いなく抵触していると思れる。こんな非人間的なこと、いくら「それが自分の仕事」としたところで相当無理があるだろう。
取材をしていく上での記者側の苦労などもリアルだ。多くを語ろうとしないのは死刑囚の遺族、また犯罪被害者の遺族にしても同じだ。そこに気をつかいながら、取材を進める佐藤さん。ううう、すごいよ。
特に、死刑囚、そしてその母親、刑務官の話がグッと来た。世間から隠れるようにして生活する母親。
それでも死刑が執行され、お母さんは拘置所にやってきて「死刑執行のボタンを押した人にどんな気持ちで押したのか聞いてやろうと思ってました」と。
が、そんな風にやってきた死刑囚の母親に刑務官は「模範囚でした、私も彼にはたくさん教わりました」「お母さん、最後は立派でしたよ」と声をかけるなどしたのだという。
このくだりは、佐藤さんは極めて冷静にレポートしているが、私はもう涙が出て止まらなくなった。
しかし知らなかったのだが、絞首刑は下手すると2分くらい意識を失うまでかかることもあるのだそうだ。そもそも拷問は禁止されている日本で、これは違憲ではないのか。
実際、それについては裁判で問われたことがあるそうだ。政治家が法改正してくれないなら裁判に問うしかない。佐藤さんの本を読むまで知らなかった。拷問が明確に禁じられている憲法下の世界では、これは明らかに違憲なのに。
日本から死刑がなくなる日はおそらく私が生きている間は来ないと思う。が、こんな本が出ていること、また今回新書で再発されたことなどを考えると、ちょっとは希望があるのかもしれないと思う。
以下、佐藤さんのfbより。