木村元さん『音楽のような本がつくりたい』 最高に美しい。今年のプラチナ本決定か?!


木村さんの音楽エッセイ、第2弾が到着しました。前作は2020年のNO.1本でした。本作は知り合い先行著者直販(笑)で、実は昨年中に届いていたのに今まで読めてなかった。すっかり遅くなりました。

感想は、前作を読んで書いた感想の繰り返しになりますが、最高に美しい本です。おそらく美しい本という意味では、5年に一度出るかわからない…と乱暴に言ってしまってもいいでしょう。

前作と同じ感想ですが、まず文章が美しい、内容が美しい、そして装丁が美しい。そういう意味ではこの本と同じレベルのものはおそらくなかなか出てこないでしょう。

なんというかなぁ、読んでいると…木村さんだからというのもあるんだけど、上質のクラシック音楽を聴いているような気持ちになります。

例えばこれも乱暴な例えかもだけど、大好きな角幡唯介さんの文章が70年代のロックの名盤だとしたら、木村さんの文章はウィーン・フィルって感じ。

なんというか、すっごく綺麗なんですよね。

パパ・バルトロメイが言ってたみたいに弦のアタック感を感じさせない柔らかな導入。上手いというのは滑らかなことなのかも…ちょっと言葉が見つからない。

前作同様、アルテスのメールマガジンで連載されているエッセイをまとめたものなんだけど、本当に綺麗な文章で、ため息がでちゃいます。

もちろん内容もすごくいい。

今回、自分的にヒットだったのは、出版社を営み、また写植とDTPの両方を体験した著者だから書けた序章の「上製本と文庫のどちらが偉い?」とか、書店をめぐる「本棚と本棚の間」、ジョン・デンバーに言及した「農夫と一冊の本」、日本語詩対訳についての「日本語はかっこわるい?」、芸術体験について書かれた「作品の偶然と出会いの必然と」などなど。

あとお父さまが亡くなられたのも大きいかなぁ。今回はお父様に関する記述が多いように思います。

木村さんのお父さまと違ってウチの父なんて平々凡々な地方公務員だったのだけど、私も父がいなくなったら何か違うステージに立つことができるんだろうか。(ちなみにウチの父は90近くですが、いまだピンピンして毎日本を読み、畑を耕して楽しく暮らしています)

木村さんのお父様の木村敏先生の本は私は読んだことがなかったのだけど、今回Amazonでポチってみました。ここにもリンクを貼っておきます。

何度も書くけど、ほんと綺麗な本。紙の手触りとかも他と全然違う。というわけで、この本も前作同様、私の書棚の「何度も読むべき本/プラチナ・コーナー」に入れておくことにします。

今回も素晴らしい本をありがとう、木村さん。早くも次作に期待大。


京都の出版社さんだからかもしれないけど、すごく「和」を感じるテイスト!
こういうハードカバーの本って、最近滅多にないよね。


こういうところの色もいいでしょ? いわゆる水色だけど、DIC何番とか、そういうのを感じさせない色。次縹(つぎはなだ)とでもいうのかな。大胆なんだけど静かで上品な着物の配色を思わせる。


本文のデザインも超美しい。タイトルがこんなふうにくる感じとか、フォントの選び方、行のピッチの取り方とか、ものすごく緻密に計算されているんだと思う。すごいな。

あと、この注釈の入れかたもいいよね(あのいちいち違うページにいって確認しないといけないのとか、なんていうか読書の邪魔になるんだわ。こういうところもウィーンフィル効果かも?・笑)

あ、そうそう、それぞれの章を読む時に聞く音楽のプレイリストもついています。私は本を読む時は無音で読みたい方なので試していないけど、この本となら試してみる価値あるかも。