きれいな世界で生きる #日向敏文 #toshifumihinata

 


編み物しながら、半澤鶴子さんのDVDを鑑賞。ゆったりした世界。


この映像、本当に素敵ですよね。茶事の道をひたすら歩いてきた半澤鶴子さんのドキュメンタリー。

茶事って私は全然知らなかったのだけど、4時間くらいかけて、じっくり懐石料理を楽しむ、そういう「おもてなし」のこと。半澤さんの「女ひとり 70歳の茶事行脚」というドキュメンタリーは、もう何度もNHKで再放送されている人気番組なんだそうです。

なんというか、もう私みたいなガサツで大雑把な人間が、あと100年生きても到達することはたぶんできないと思われる、ゆったりとした静謐な世界。素敵だよなぁ。

半澤さんの美しい所作や、優しいお声を聞いているだけで、本当に癒しの極地というか、普段の生活の、ガチャガチャしたあんなことや、ドタバタしたこんなこと…すべて忘れられるのでした。

でも半澤さんの人生には、大変な苦労もあったそうで、本当に壮絶な人生を歩んできた方。でも、だからこそ、こんなふうにすべてを与えることに惜しみがないというか、とにかくGivingな人になれるのだと思う。

音楽はもちろん、大好きな作曲家の日向敏文さん。日向さんのピアノは、半澤さんと、取り巻く自然を絶対に邪魔しない…っていうか、日向さんのピアノ、虫の音や風の音などの自然の音とよくブレンドするんだ…。なんか見ていて、うっとりしてしまうのであった…。

前にもこのDVDの葉月編をここにご紹介したのだけど、あっちはピアノだけだったけど、2つ目…というか、こちらの方が1本目になるみたい…DVD「長月の茶事」の方には、チェロや篠笛も登場しています。

で、この「長月の茶事」をセイビン映像研究所さんのHPから購入したら、届いたDVDになんとこのDVDを制作した河村正敏さんからの、とても丁寧なお手紙が同封されていて、私はすっかり恐縮してしまったのだった。

なんと私が河村さんが作った番組の感想をブログに書いたのを読んでくださったらしい。

なんというか…  いつも思うことだけど、こんな風に偉い人ほど、こんな風にすごく丁寧なんだよなぁと、めちゃくちゃ感激。

日々、日向さんの音楽のプロモーションに奮闘する私に伝えるべく、河村さんと日向さんとの出会いの話や、新譜の感想なども書いてあり…

それに私は本当にグッときてしまい、河村さんの手紙を何度も何度も読み返して、泣けた。まったく私も歳をとって涙もろくなったのかも。

いや、でもこんな風に、世界を見つめ、人に接しているいる人じゃなかったら、こんな説得力のあるすごいドキュメンタリー撮れないよね…

河村さんは先日放送になったこちらのドキュメンタリーも制作した方なんです。


こちらのドキュメンタリーの感想はこちら

日向さんがインタビューで、ドキュメンタリーの仕事について話されていたことが、また頭をよぎる。

「(今、一緒に仕事をしているドキュメンタリーの制作者は)ドキュメンタリーに規制曲をあてるのはなんの意味もないという考え方の人」

「人間を描写しているものに対して、どこかで借りてきた映画音楽をつけて感傷的な場面を作るというのは、やっぱり違うと思います」

「悲しい場面に悲しい音楽をつけるというのは、登場人物のを裏切るような気がして、すごく抵抗感があります」  

なんというか、このドキュメンタリーを作っているチームは、音楽を作っている日向さんを含め、そういう真摯な気持ちで作っているチームなんです。本当に素晴らしいと思う。

同じセイビン映像研究所の長谷川玲子さんのこともここにも記事になっています。こちらはこちらで、元ヤクザの人の立ち直りの過程を追いかけている、素晴らしい女性ディレクターさんなんです。本当に応援したい!!

テレビの人って、ちゃらちゃらしてるとずっと思ってたけど(失礼)、全然そんなことない!

いただいた河村さんの手紙はA4の紙3枚にわたっていました。

河村さんはここ20年ほど、ずっとダウン症のある人たちのことを撮影されてきたそうです。そんな中で見つけたこと。そして日向さんの音楽が、今、悲しみを希望にかえていく…と、そんなことが手紙には書かれていました。

私はなんだか、そんな河村さんのお手紙を読んで、本当にいっぱいいっぱいになってしまったのでした。

なんていうか、生きていると、いろんなことがある。

でも、こんな風に世界を見つめながら、自分の仕事に真摯に向かい合っている方がいる。

毎日いやなニュースばかりが入ってくる混沌とした中で、私の仕事もなんだかあっちゃこっちゃとっちらかってるし、やることなすことすべて上手くいかず、きーーーっとなることだらけだけど、こんな風に美しい世界がこんな近くにある。

「きれいごと」という人もいるかもしれない。でも私はこういう世界に生きていたいんだよね。こっちの世界の方が断然いいもの。

だから日向さんの音楽が好きなのかもしれない。なんかこう人を信じて、前向きに生きていきたいんだわ。

それで何か損をすることがあったり、裏切られて悲しい思いをしたりすることがあったとしても、汚い世界で生きるよりよっぽどいい。そんな風に思うのは能天気すぎるのかな?

でも、そうやって生きてると、こんな風に素敵な出会いがある。日向さんが運んでくれた、この素敵な出会いに、私はとっても感謝しているんです。

河村さん、素敵なお手紙をありがとうございます。そして日向さんにも、ありがとう。

「おうちに帰ろう」は、今、NHK-Ondemandでも見れるようです。また半澤鶴子さんのDVDは、こちらで通販できます