ブックレビューが続きます。
ブログが斜陽産業になってからだいぶ経つけど、私は今でもブログを書き続けている。
なぜ? 以前ははっきりとお金のためにやっていた。昔インセンティブがシコタマついた頃は、最高で1日に700円(少なっっ)をGoogle様にいただき、これでラーメンが食べれると感動した。
700円は小さな金額だけど、その700円には希望があった。もっとたくさん欲しいと思っていたのだけれど、だいたいは一ヶ月4,000円くらいのレベルを推移していた。加えてアマゾンのアフィリエイトも月2、3万くらい入ってきていた。だからブログを書くのは、あくまでお金と未来に対する希望のためだった。
商品を積極的に宣伝してアフィリエイトもらってるブログならともかく、ほぼ自分の好きなことしか書いてないブログで、それはちょっとしたボーナスだ。
でもブログの広告がうるさくなりすぎて、これじゃ読んでくれている人に申し訳ないと思い、ここ数年は広告をいれていない。それにブログへのアクセスも以前ほど多くない。だから広告は外した。
それでも広告を外す前にGoogle様からいただいたお小遣いは、累計20万を超えている。まぁ、こんなに長くやってて20万じゃしょうがないが、それでもこれのおかげでiMacが一台買えたわと思うとちょっと感慨深い。個人のブログとしてはもうそれだけで合格。
そして今でも好きなことしか書いてないブログにしては、それなりに読まれていると思う。
一方で、ブログをやっていても「まったく読まれない」と嘆いてばかりの友人たちが結構いる。
そう、ブログでもなんでも、外に向かって書いている以上、やっぱり読まれてナンボなのだ。読まれなかったら存在しないのと同じ。
この本を書いた朝日新聞の奥山昌二郎さんは、朝日ポッドキャストの出演者として、ランニングの時にしょっちゅうお声を聴いているので、勝手に親近感を覚えている。
ちなみに私たちは渋谷の〇〇書店(ヒカリエ8階)の棚主仲間でもある。奥山さんはカプセル書店という、謎の書店を(どう謎なのかは見ていればわかる)運営している。私は私で「ケルト書店」というのを運営して、ここで紹介している読み終わったノンフィクションや、自分で作ったポール・ブレイディの本などを販売している。
奥山さんは朝日新聞でWith Newsというサイトをゼロから立ち上げ、アクセスを稼ぎ、立派なメディアに育てあげた。その後、今はサムライトという朝日100%出資の会社で企業のマーケティングをお手伝いするようなお仕事をされている。
この新刊で、その奥山さんの言うとおり、今やアクセス数だけじゃウエッブ上の記事の存在意義は確立しない。人のこころに刺さる、長く覚えていてもらえるようなことを書かないとダメなのだ。
まさに各企業のマーケティング担当、発信したいフリーランスの個人、すべてが考えている
ることだろう。
WithNewsという媒体を立ち上げ成功された奥山さんだからこそ、語れる、あれこれの、ネット上で使えるテクニックが教科書みたいにここに凝縮している。
例えば「当事者性」。今や当事者性のない素人の文章なんて誰も読まない。そして「自分のワクワク感を盛り込んだ文章を書く」
そして「アンチや炎上ともうまくやっていく」ために、「弁明する時に他人を巻き込まない」など、何かあった時のために、本当に心に止めておきたいことのひとつだ。
「正しくはないかもしれないことも、自分の問題として丁寧に伝える」「賛否が分かれるテーマでもきちんと向き合う」
「ご不快な思いをさせて申し訳ございません」では、もう通じないのだ。
今やニュースの回転は早い。おととい流行っていたニュースを、もう今日は思い出せない。そうして焦るばかりで、びゅんびゅん時間は飛ぶように過ぎていく。その中で、いかに読まれるのか。人のこころに残るか。
アクセス数などの数字で判断する時期ももう終わったよね。とはいえWebの経済はいまだにそんなだから問題があるのだけれど、それは私には関係ないことだから置いておくとして…
やっぱり覚えておいてもらえるブログを書かなくちゃというのはあるのだわ。
この本はとっても読みやすい。重要なところ強調されているところは教科書よろしく線も引いてある。章の終わりにある、章ごとの「まとめ」も便利だ。
そしてキーになる単語は必ずタイトルに入れろ、とか。そういう明日からできるテクニックも満載。これは私も毎日ブログ書いているのに忘れがち。(あと私はハッシュタグも不得意なんだよね。いっつも忘れちゃう)
ちなみに私がブログを書く理由を良い機会だからここで明確にしておくと…。
(1)自分で自分にあったことを何にも覚えていられないから。起こった出来事、読んだ本、見た映画、ぜーんぶ忘れちゃう。とにかく未来のこと以外は忘れちゃうから自分の備忘録として書く。書いておけば、安心して未来のことに集中できる。私は忙しいのだ!
(2)人とのコミュニケーションの合理化のために書く。私の場合、人に伝えたいことが多過ぎて、人に会った時、自分のことばかり話してしまい、自分の情報収集ができなくなるから自分のお喋り抑制のために書く(笑)
人間というのは一度話せば、その相手が誰であったとしても話したいという欲求から解放され、もう話す必要がなくなるという厳禁な生き物なのだ。だから私はブログに書いて、自分の言いたいことを一度すべて吐き出してしまう。
こうしておけば友人に会った時に、くだらない話をせず一気に重要案件に集中できる。私は人の意見は求めることはほとんどない。(そういう時はちゃんとアポを取って相談しにいく)だから自分の話をしてもあんまり意味ないのだ。
それよりも人にあった時は人の話を聞かなくちゃ!(笑)これ、いまだに意識的にやらないとダメダメなのよ。
そして私に興味がある人は勝手にブログを読んでくれればいい。そういう自分のスタンスが気に入っている。みんなだって忙しいのだから(笑)
(3)なにせ零細個人事業。野崎は生きているのだろうか、THE MUSIC PLANTはつぶれてないだろうかというお客さまの不安を払拭するために、なるべく毎日ここに書く。チケットやCDを買ってくれるお客さんを不安にさせてはいけない。ちゃんと今日もTHE MUSIC PLANTはここにいますよ、生きてますよ、仕事してますよ、と。それを伝えたいから書く。
これらの目的が達成されれば、実はあまり読まれなくていいという結論にもなっているのだ。
だから、こうやってこのまま気楽に続けていくんだろう。
とはいえ、いきなり明日から誰もここを読まなくなったら、やっぱり寂しいもんなぁ。ブログを毎日更新している友人たちのブログの中には「これいったい誰が読んでいるんだろう」というのを延々書いている人もいる。
面白いことに「続ける」ことに特化している人ほど、一本調子のブログに陥りやすいように思う。
でもその人たちには人に読まれるよりも重要な、私とはまた別の何か特別な理由があるのだろう。
一方で面白いことを書いている人は「続かない」。もしくは更新がはなはだしく遅い。いやー、ブログって本当に性格でるわ。私も自分のブログはとても自分らしいと思っているのだけれど、どうなんでしょうね。
ちなみに私がよく読んでおり、かっこいいなぁ、真似したいなぁと思うのはこのかたたちのブログ
定期的にチェックしているのは、そのくらいで、あとはSNSで流れてきた時に流れてきた時に、読む感じかなぁ。 まぁ、ブログみたいな長文よりも、SNSみたいな140文字とか、画像とか、そういうことの方が「いまどき」なんだろうな。
私は仕事を辞めたら、たぶん私はSNSはやめてしまうようにも思う。でもブログと、もしかするとTwitterは続けるかもしれない。今はそう思っているけれど、どうなるかなぁ。
何はともあれ、奥山さんのこの本。私のようなダラダラ・ブロガーにも、気合が入りました。ブログや、Noteを書いてる人には是非是非。本当にわかりやすく勉強になります。私も発信している以上、こういうのを読んでたまには頭を整理しないと。
奥山さん、これからもポッドキャストも楽しみにしております。