樋口了一さん主演の映画『いまダンスをするのは誰だ?』#いまだん

 


樋口さん、もしかしたら俳優に向いているかも…と私、思ってたのよ!…と今だから言ってしまうけど。

シャイな人が多い音楽家の中でも樋口さんは群をぬいてシャイな方だ思ってた。実はシャイな方の方が俳優に向いている。役が入ると、自分の中に軸ができて、思い切り表現できる…みたいな。

樋口了一さんと私の出会いはもう30年以上前(笑)。私が友人が経営するPR会社に勤めていたころの話。樋口さんは東芝EMIの所属アーティストで、私はEMIの邦楽宣伝部からギャラをもらって樋口さんのPR担当をしていた。

このアルバム、一時は狂ったように聞いていたなぁ。デビュー曲の「いまでも」、そして「Something to me」とか大好きだった。

 

PR会社当時の仕事は、正直楽しいものはなかった。悲しいかな音楽業界、マス狙いの大衆音楽案件こそ予算が大きい。だから私の好きな音楽の仕事など来る余地もなかった。単なる雇われの私には、予算が大きく取れる、変な音楽の仕事ばかりしていた。

今ならわかる。それじゃダメダメだって。でも30歳までの私はサラリーマンだったから、そんなことは全然わからなかった。好きなアイルランド音楽はお金にならないというのは、身に染みて感じていた。

フライデーのカメラマンに電話して「肩出し、足出しオッケーです」とか、歌の下手な女の子を売り込んだり。そんな子たちの名前すら覚えていないし(本当に失礼)、そんな子たちの心の内を理解しようなんて微塵も思ってなかった。

ひどいよね、そんなんで宣伝なんかできるはずなにのに。

でも当時知り合ったアーティストの方で、本当に良い音楽を作り、発表し、本当に心から共感できる方もたくさんいた。

そういった方たちとは不思議と付き合いが続いている。たとえば最近またPRのお仕事を手伝った日向敏文さんとか。それを思うと本当に不思議だよなぁ、人のつながりって…

樋口さんといえばこの曲を知っている人は多いかも。


よくご本人は歌詞を書くのが苦手だっておっしゃってたけど、これ曲もいいけど、歌詞が抜群にいいんだよね。

私もよく海外出張の帰りに空港のゲイトでこれ聞いて気合いいれてる。なんか元気が出る。「たどりついたら、そこがスタート」とか最高の名言がいっぱい詰まっている。この曲に何度も何度も励まされてる。

実はこの曲を先に知ってて、その後、よく地方局のTVで深夜に流れている「どうでしょう」を知ったのだった。「あ、これかぁ、樋口さんが主題歌歌っているのは…」と、番組の方を後から知った。その後は「どうでしょう」の深い沼にズブズブになっていったのだが…

小林製薬のいとようじ!(意味不明に叫んでみる)

さて、話を樋口さんに戻すと、樋口さんはその後レコード会社を移り(移った先のレーベルのディレクターさんは私が昔、某レコーディングでダブリンでご一緒した人だった。不思議な縁!)、本当に滅多にライブにお邪魔できないんだけど、渋谷の小さなライブハウスでのライブに行ったら、昔、樋口さんのディレクターをしてた東芝のMさん(私と同じAB型。のちに宇多田さんとかを大ヒットに導いた方)にばったりそこで再会したりしたりもした。

Mさんも、会社変わっても樋口さんのことは気にかけてらっしゃるんだなと思った。

そうそうMさん、最近何をされているのかなとググったら、宇多田さんのホームページでこんなことになってた。このプレイリスト面白いので、宇多田さんのファンの方もぜひ。

まぁ、でもなんだかんだで、あの頃の私は単なるEMIの雇われで、まったくの無力で、何もできなかった。でも樋口さんは私が持ってきた一般誌の「コンビニで買った材料で料理しよう」みたいなつまんない取材にもニコニコ答えてくれてたんだけどね。

当時、樋口さんの魅力を世の中に知ってもらうには、レコ社的にもタイアップが必須で、タイアップが東芝として一番欲しかったものだったのだと思う。樋口さんの音楽が気に入ってくれたCM関係に強い某音楽出版社の人と樋口さんをつないだりしたのだが、なかなか難しかった。

私も音楽業界における政治のことはわかってなかったし、出版はたぶんEMIが100%確保したかったのだろうか、よくわからない。

だから樋口さんのこの曲が化粧品のCMにハマった時は、ほんとにみんな喜んだ… と書きたいところだけど、これまた「大きなレコ社あるある」なんだけど、何か嬉しいことがあってもみんなあんまり喜ばないんだよね。不思議なことに!

わたしが一人で狂喜乱舞してたら、「こんなに喜んでくれるのは野崎さんだけだよ」とMさんが言ったのをすごく覚えてる。当時から私は超楽観的な性格だったらしい。

でもほんと夏っぽくていい曲なんだよなぁ、これ。なんでヒットしなかったかなぁ。このコーラスワークなんか樋口ワールド全開だよね。


樋口さんはその後ブラジルで広く信仰されているスピリティズムに傾倒されるようになり、そんな発信続ける樋口さんのブログを私は時々読んだりしていたのだけど

そのうちその「スピリティズムによる福音」(アラン・カルデック著)など手がけた翻訳家・角智織さんが差出人不明のポルトガル語のメールを翻訳したものに樋口さんが作曲と一部詞を補足して、この曲ができた。


この曲は発売後200日以上を経て、オリコンで一位となり、樋口さんは一躍話題の人に。確か「徹子の部屋」にも出てたんじゃなかったかな。そして「ポストマン」とか言って、歌を全国に届ける活動などをされていた。それだって楽なことじゃなかったと思う。

またそうこうしているうちに樋口さんは熊本がベースとなり、それでも時々上京して、これまた偶然なんだけど私の友人がマネージャーをつとめている村上ゆきさんとデュオを組んだりしていた。ほんと業界狭いんだよ、びっくりするくらいに!!

樋口さん、その後、ご自身がパーキンソン病であることも告白され、ギターが弾きにくくなったことも含めてカミングアウトしている。樋口さんって、すごくデリケートな感じがするけど、実はすごく強い人なのかもしれない。

と、まぁ、前置きが長くなった。とにかく映画、とっても楽しみなのだ。

どうやらこの映画の主人公もパーキンソン病ということらしい。そしてダンスを踊るらしい。

この秋公開ということだけど、インディーズ制作の映画、本当に大変な時代。企業だけじゃなく個人からの寄付も受け付けているようなので、ぜひ皆さんもこの映画を応援してください。詳細はこちらから

こんな素敵な動画も見つけた!


こちらの漫画はご存知ですか? こちらもやはりパーキンソン病になったお話。とにかく病名の確定までの流れがすごい。

医者との付き合い方とか、病院での生活とか、とてもよくわかる内容だったので読んでとても感動しました。こちらもよかったらぜひ。


樋口さん、ニューアルバムが来月出ます。こちらもチェックしてみてください。私も予約しました。とても楽しみ。

 

PS 
…とか書いてたら予告来たー