読んだよなぁ。一応子供の頃にすでに読んでた。五木寛之の訳で『かもめのジョナサン』
最初に読んだのは高校生だか中学生だかくらいだと思う。「自分以外はみんなバカ」的な自己中の高校生にこの本はうってつけだった。アメリカのヒッピー・ムーブメントをかっこいいなぁと片目で見ながら、自分はしごく普通の高校生活を送ってきた。
そんな田舎に住む高校生が、背伸びをしながらわけがわからないものをきどって読むには、ぴったりの一冊だ。
なんだかんだいって文字が少ないのがいい。結局ながめているのはたくさんのカモメの写真だ。そして、あいかわらず、あっという間に読めてしまう。
タイトルもなんかイカしてたし、そしてこの本がアメリカで流行っているということもあいまって、この本を手に取っている自分はかっこいいと勘違いしていた子供の自分。
映画『レディ・バード』の彼女と全く同じ。肥大した自己をもてあまし、世の中すべてに怒っていた。
その後、こういう考え方でいるとカルト宗教とかにはまることになるんですよ、みたいな記事だか感想文だかを大人になってからどっかで読んだ。「なるほど」と思った。
確かに高校生の自分がこの本を正しく理解していたとは到底いえない。なにせ57歳の今読んでも、実はさっぱりなのだから!
ただ第1章の他のカモメをバカにする感じは、やっぱり今読んでも、すごくリアルに感じられる。なんだろう、自分の奥の深いところにはこんな自分がいるのかな。
ツイッターで、このたび4章を書き足して、完全版の存在を知り、再び読んでみたくなった。
読んでみたところで、よく分からないのはいっしょだけれど、この読後感は悪くない。
あいかわらず分からない。いや、私は『星の王子様』だってよく理解できていない。言えることは両方とも飛行士が書いた文章だってことだけだ。空を飛んでいる人だなというのは、どちらからも感じられる。それだけだ。
そして五木寛之が後書きで書いているように、これはある程度英語を理解する人間なのであれば、英語版で読むべき本なのかもしれないな、とも思った。
結局のところ自分がなんで生きているのか、なんで飛んでいるのか、今でも私はさっぱりわからない。ただただ与えられた生命の間は、自分の好きなことをやろうと楽しんでいるだけだ。
でもそれでいいのかな、とも思った。