ビル・パーキンス『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』を読みました。

 


話題のこの本、渋谷での店長作業中に立ち読みしました。アマゾンへのリンクはこちら

私が棚本屋2店の店主になったことは、何度かここにも買いているが、どちらの本屋もバイト代は出ないながらも、やると店頭を比較的自分の好きに演出できる店長職というのが存在していて、時々それを社会体験よろしくやってみたりしている。

というか、7月6日に行った「北とぴあ音楽と本祭」のPRもあったわけだから、イベント前に集中して何日か店長業務のスケジュールをいれてみた。

正直PR効果はわからないが、普段なら出会えなかったかなりの数の人にうちのチラシを配り、本の内容を説明することができた。実際内容を説明しながら売ることで本は売れる、そんな実感も得た経験だった。それについては、また書くとして…

特に渋谷の店は三カ月に一度は店長をやらないといけない…という規則になっているはずなのに、平日の昼間などは店長が誰もいなくて店が閉まっちゃってたりしているから、正直問題だと思う。月5,000円取ってそれはないんじゃないの?と思う。もっとしっかり管理してほしい。

それはさておき…

とはいえ古本屋の店長は最高だ。そもそもレジを守っているのだが、だいたいは暇で、古本屋だから立ち読みし放題。この本も立ち読みしました。ま、あっという間に読めます。5時間くらいで読んだかな。

タイトルどおり溜め込んで、お金持ってても意味ないですよ、という警告本。いいねぇ… わたしなんぞも残す人いないし、そもそも残すような資産もないしってんで、とても勇気をもらいました。

この本で、心に残った言葉を書き出しておきましょう。

「老後で何より価値が高まるのは思い出だ」確かに。若い頃の思い出って、ずっと自分についてまわる。

これ、ほんとそうで、若いころにいろんなことを経験してない人は、人間として薄っぺらのぺらっぺらになっちゃう。私も若いころは本当に惜しみなく旅をしたり、普通の人ではやれないことをたくさん経験してきた。「とにかく早い段階で経験に投資すべきだ。そうすれば驚くほど多くのリターンが得られる」若い頃の経験はお金を払ってでも経験した方がいい。まさに。まぁ、それを利用して「やりがい搾取」みたいなものにひっかからなければね。

この本に載ってる著者が祖母にお金をプレゼントした話。事業が成功し、年老いた祖母に1万ドル(だいたい100…いや、今は150万くらいか?)プレゼントしたものの、祖母が使ったのは、その中から50ドルくらいのセーターを1枚買ったこと。しかもそれは著者=孫へのプレゼント。「祖母はその1万ドルを使って、心に残るような喜びが得られる経験をすることはなかった」

「このように年ととると人は金を使わなくなる」これ、めちゃくちゃ実感してる。若いころは本当にお金が欲しかった。今は余裕があっても何が欲しいとかまったくなくなっちゃう。唯一本を買うだけか。旅も昔は三カ月に一度は必ず海外に行っていた。今ではもう何もかもが面倒くさい。家でゴロゴロ本を読んでいたい!

一方で「(死ぬことを必要以上におそれていると)恐怖の奴隷として何年も働き続けなければならなくなる」…これなぁ!! 貧乏で死ぬ時近くにお金がなくて困ったらどうしようという恐怖はある。家賃が払えなくなって、住む家に困ったらどうしようとか、とても怖い。

日本は生活保護とか社会福祉が充実していないから。でもよーく見れば、一応死なないで住むようなシステムがあったりする。わかりにくいんだよね、そのシステムが。で、それを勉強しないで、単に恐怖!?と思ったりしている。これ、あるあるだよ。

でもできるならば、今の生活を維持したい。ただそういった生活保護みたいなものに自分の生活を移し整える体力や気力がないだけで。ちなみに生活保護は不動産を持っていると得られないのだそうだ。なるほどーとは思うけど、親の残したボロ屋に住んで生活がうまくいかないってあるよね。どうなんだろう。

それを思うと、実際金の価値を最大化できるのは26歳〜35歳だ。だから子供がいる人は、実は死んでから相続するのではなく、子供がこの年齢のうちにお金を与えた方がいいかもしれない。とにかくタイミングが大事。

いや、改めて色々知ると、お金ってほんとタイミングなんだよね。持ってるだけじゃただの紙切れ。でも例えば自由になるお金がある程度ある、というだけで、人間はものすごい量の自由を手にいれられたりする。そこが本当に大事。

子供の成長を見守りながら、相続ではなく早めに財産を与えよう。そして若い時期においては、実はたった100万持っていることで、ものすごい可能性が広がったりする。

一方で「中年期にはいったら、金で時間を買いなさい」。これもごもっとも。私も実際そうしてきた。タクシー使うのも躊躇しない。一人自営業で一番大事なのは、いつだって時間だ。いつも時間に余裕があることで、良い仕事ができる。クリエイティビティが発揮できる。そして結果お金も節約できたりもするのだ。 

ちょっと話はずれるけど、だから一番嫌なのは時間を無駄に取る仕事だ。だからクライアント案件で、妙にリアル・ミーティングが多い案件とか本当に嫌になる。クライアント案件は、1ミーティング5万に設定したい。5万x呼び出される回数が、ギャラを上回ったら、もうその案件はやめた方がいい。「断る力」本当に大事だ。

もっと私の仕事の場合、仕事とはいえない面白案件もあったりするから、これがやっかいなのよ。

でもおもしろ案件を安く、もしくはボランティアで引き受けることができるためにも、クライアント案件においては、ちゃんとした収入を死守しないといけない。

ほんと、そういう意味でも神様は平等だよなぁ、としみじみ思う。嫌な思いをすればお金がもらえる。お金は嫌な思いをした時のバランスのために存在しているのかもとさえ思う。楽しいことほどお金にならないよねぇ。

しかしこのボランティアで仕事引き受けちゃうのもなんだよなぁ、と最近は気づきつつある。と言うのも、同じ仕事をしている人に対して申し訳ないし、後輩のためにもよくないからだ。この辺はよく考えないといけない。

とはいえ、あと2年のワーキング人生。自分においては、なるべく多くの人の役にたってから引退したい、と言う気持ちもあるわけで。で、面白い案件における実績、って「その時動けないと」自分の手から逃げてっちゃうのよ。ほんと悩ましい。実績はお金を出しても欲しいもんだし、実際自分で作るツアーやイベントなど、そういうスタンスで取り組んできた。

実績は本当に自分の中に確固たるものとして残る。これは本当に重要だ。それに私は朝ランもしたいし、週に2回は銭湯&サウナを楽しみたいし、映画も観たいし、美術館にも行きたい。もう引退が待てない。

一方で、本当に自分の周りの人(私より全然優秀な人たちが)本当に時間がないのにはちょっとびっくりする。それで反対に良い仕事のチャンスを逃したりするのも、まったくもって悲劇。

時々自分が一番得意なのは自分のマネジメントかな…と偉そうに思ったりする。私をいう人間をいかに活かすか。そこなんだよね。

あと「大胆な行動は人生の早い段階にしかできない。若い頃の方が失敗のダメージは少なく、成功して得られるメリットは大きい」というのも響いた。

そして「行動を取らないことへのリスクは絶対に過小評価すべきではない」とも著者は言う。本当にごもっとも。大胆な行動しないで大人しくルーティンしている人は安全圏にいると思うだろう。が、実はそれこそは大きなリスク。これは今の時代にはおおいに言えることのひとつではないだろうか。

びっくりするほど人間は変われない。そしていまだに「これしかできない」という人は多い。

本当にびっくりするほど多くの人がルーティンから脱げ出せず、問題があるのにそれに向きあおうともせず、日々の暮らしをやりすごしている。これは本当にびっくりする。日本社会の停滞も無理ないわな…

加えて「リスクの大きさと不安は区別すべきだ」ということ。

「私たちが一番恐れるべきは「80歳になった時に潤沢な資産があるか」ではない。人生の時間を無駄にしてしまうことなのだ」

「人生を最大限に充実させ、たった一度の人生を価値あるものにしよう」

まったく、おっしゃるとおりというのはこのことで、評判通り、とても良い本でした。

あ、そうそう、「慈善事業にも「将来」ではなく「今」寄付しよう」、と。これもメモ、メモ(笑)

なぜなら慈善事業が取り組んでいる問題は「今」だから。このタイミングを逃すと、問題の解決が遠のいたり、費用対効果が得られない結果にもなりかねない。

ここまで書いて本当に改めて思うのは、本当に人は、自分はまだまだ時間の価値をわかってないのだなということ。私なんぞわかったつもりになってはいるけれど、いや、まだまだかもしれない。

でも普段から異常に忙しくて、クリエイティブな仕事ができない人間にはなりたくない。

私たち、もっと時間とお金の使い方を考えた方がいいな。ほんとつまんない人生だけは勘弁したいんだ。生きている限りは、もっと人の役にたちたいし。

あ、そうだ、あと最近知ったことだけど、私みたいな独りもんだと死んだ時に、自分では知らないような遺族があちこちからあらわれて大変なんだって。だからちゃんと文書に残しておくのがいいらしい。

もちろんそんな資産はないけど、通帳に残ったわずかな金額でも、あの親戚連中に取られるくらいなら、自分が応援するNPOとかに寄付したいわな。そういうのも、そろそろ考えないと。

などなど、いろいろ考えるのは大事だよなぁ。かなりおすすめです。アマゾンへのリンクはこちら



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