浜田敬子さん、小島慶子さん他『いいね!ボタンを押す前に』を読みました

 ブックレビューが死ぬほどたまっております。次々行きます。


大尊敬する浜田敬子さん、雑誌やネット記事で読むことはもちろん何度もあるわけだけど、ちゃんと書籍を読んだことなかったなと思い、この本を注文してみた。でもどちらかというと小島慶子さん主導の感じの内容でした。いずれにしてもとても勉強になる良書。

ほんと最近は巨大マスコミ(特にテレビ)はもちろん、ネット空間でも誰を信じていいのかわからない。ウチにTVはないし、私は新聞も取ってない。かろうじて読んでいる新聞は朝日新聞のデジタル。だから、社会の大きな動きを把握できてない危険性はある。

あとはSNSで自分が10年以上追いかけ、平均的に問題ないなと判断している人をフォローしつつ、情報を追いかけていくわけだけど、本当にとてもそれだけじゃ追いつかない多くの重要なことがらが日常的に起きている。

悩みつつネットから距離を置こうと思いつつも、日々起こっている社会問題はやはりある意味興味深く、自分が間違わないためにも、やはり(特に仕事をしている間は)追いかけていくしかないのかなと思う。

一応社会人のとしての常識をキープしていかないとね。

特にツイッターは私は今でもかなり好き。依存している可能性も高い。「いいね」や「リポスト」もかなり多い方だと思う。だって良いものは紹介したいし、応援したいじゃない? 

とはいえ、最近も14歳の少女が誹謗中傷のメールを送ったり、SNSやネットをとりまくいわゆる「表現の自由」は本当にあやういものになりつつある。

この本の最初の章である浜田敬子さんによる「眞子さまはなぜここまでバッシングされたのか」。とても興味深く読んだし、その後に続く小島慶子さんと君塚先生(女王陛下!)との対談もすごくおもしろかった。

ちょっと小島さんと君塚先生の意見が合わない部分が明らかにあって、読みながらも若干ヒヤヒヤするところもあったけど、忖度なしの有意義な会話が掲載されている。

確かにヨーロッパの王室に詳しい君塚先生だったら、こう考えるのも当然だろうとも思うし、小島さんの言う皇族にももっと自由と人権を…というのも、痛いほどわかる。

ほんと今のままでは皇室運営では、彼ら彼女らに人権もないのに加え、国民の理解も得られないまま時間ばかりがたってしまっていると思う。宮内庁のSNSはセンスがなく、本当にイケてないよな、と思ったりする。

しかし世論というのは難しい。ネット上の意見の全体像が把握できないのはもちろん、あの津田さんすら名古屋トリエンナーレの時はかなりやられたと言っていた、いわゆる「大炎上」というやつは、本当に実態を掴むのが難しい。

でもそれによって人が死ぬほど悩んだり、実際に死んでしまっているのを放置するというのは、やはり社会として考えていかないといけないわけで。

本の中の小島さんの発言の中で、昔は死刑が公開されエンタテイメントになっていたりしていた時代もあったんだけど、それはひどいということで今はそれがなくなった。奴隷の見せ物をやれ、みたいなこともなくなった。今じゃそれを誰もやろうとはしない。(まぁ、ガザに爆弾落としてる国もあるけれど)

そうやって人類はいろいろ克服してきた歴史がある。だから今のこの状況も改善され、多くの人が優しくいられる世界が来ると信じるしかない、と語っているのが心に残った。

そう、信じるしかないのだけれど、自然に良くなるであろう要素は何もないわけで…やっぱり日々の努力だ。

私たちに投票権があるのも、発言の自由があるのも、先陣たちの努力があったわけで、私たちもよりよい未来のために、私たちの次の世代に良い社会を引き継いでいかないといけない。

しかしネット上の誹謗中傷…。誰かが言っていたけど、これを救うためにも、ネット上においては、将来実名で発言するのがデフォルトになるのではないか、と。

確かに本来facebookなどは基本実名登録というのが基本だった。しかし違う名前で登録している人も、リアル友人の中ですらかなりの数いる。

確かに実名を規則とするのは、ひとつ解決策とまで言えないけど、それによって、ある程度のステップを踏めるのではないのかなぁとも思う。私はそういう意味でもあきらかにネットは「実名派」だ。

ちなみに私はSNSは、すべて実名で回している。っていうか、実名でやらないでなんかメリットあるの?とか思っちゃう。確かにハンドル名でもフォロワーの信頼を得て影響力を持つアカウントもあるけれど、それは稀で、普通はどこの誰が発信しているかわからなければ、発言に意味はない。

特に匿名どころか、鍵付きでアカウントやってる人も、よくわからない。まぁ、でも人のツイートを見るのも、今やアカウントが必要だというから、そういうことなのかな??

SNSはトランプ政権下どうなっていくんだろう。でもまだ仕事をしているうちは、私にとってはメリットの方が多いかなと思ったりしているだけどね。

とはいえ、考えちゃうよね。ほんと。実際、言葉の強い、断言するタイプの人たちが力を持つ、というのはあるなと感じている。

まぁ、それはSNSだけじゃなくて、実生活でもそうだけどね。よく言われる「人は自分の扱い方を人に教えている」ってやつ。おどおどしながら発信しても、誰も聞いてくれないし、強気に出る人は今は稀だから、反対に力を持つのかも??

それは音楽のプロモーションでもそうだ。はっきり自分の名前のもと「この音楽はいいですよ」と心から紹介する人がいえば、割と通じるところは大きいのだけど、実際は断言しない人多いですよ、音楽を仕事にしている人たち。

まぁ、この本の中でもいろんなことの結論は何もでていない。でも問題を共有する、ってことでよしとしようという感じ。

あ、あとこの本、女性執筆者群によって書かれていることもあって、ジェンダー問題にも切り込んでいる。

ジェンダー問題、ほんと音楽業界においては、全く進まないというのが実感だ。きっと誰も克服する気はないんだよなと思わずをえない。

先日も久しぶりにいかにも日本の音楽業界的な仕事にかかわったのだけど、そのあまりの「おじさん」度に引いてしまった。このチームの中で女性のやる仕事は、明確に男性がやる仕事と分かれている。そんな場所だった。

私はその中で、たまたま運よく男性もやってる仕事を男性とほぼ同じように手に入れた数少ない恵まれた存在だ。それを、ありありと感じた。

こういうの、「メリトクラシー」っていうんだよね。これ最近覚えた言葉。自分が勝ち取ったのは、自分の能力がすぐれているからだ…というのは、さすがに私にはないと思いたいけど、私は簡単に「自分が死ぬほど努力から実現したんだ」「他の人も頑張ればいいのに」って考えちゃうところある。これ、最近、勉強したんだ。ちゃんと覚えておかないと。

私自身が、そういう考えに陥っている危険性はすごく高く、それは先日のアメリカ大統領選で、ひしひしと感じた。いろいろ反省ばかりだ。そして、まだまだ勉強することもいっぱいだよなぁ。

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