チャゼル監督の言葉がキャッチに使われているけど、私、チャゼル作品で好きなものが、今のところひとつもないのよね。
……あっ、言っちゃった。「セッション」はもとより、「ラ・ラ・ランド」も疑問符…??という捻くれ者のオイラにとって、だからチャゼル監督の言葉には惹かれなかったけど、なぜかこの映画は見ようと思った。
っていうか、ドヌーブ大好きだけど「シェルブールの雨傘」も、ピンと来なかったし(はっ、私ったら名作になんてことを!?)…
加えてフランス文化に極めてうとい私がなぜか「ルグラン」の映画を見に行ってしもた。なぜだ…
それは今、プロモーションしているショパン・コンクールのドキュメンタリー映画「ピアノフォルテ」をプロモーションしている時に、公開日が1週間違いのこの音楽映画の話をあちこちで聞いたからだ。
そもそも作曲家という生物に非常に興味ある今日このごろ。作曲家の人生というものはどういうものかというのを、ちょっとでも知りたかったのだ。なにせ、私もこの歳で作曲家のマネージャー業を始めたからね、何かヒントになるものがないかと思ったのよね。作曲家生態研究(笑)
ツアーで、3週間、他のことがほとんどできなかったので、良かった、劇場公開に間に合って。配信で見ても、全然頭に入ってこないんだもの。
でも圧倒的に参加作品に惹かれていたモリコーネと違って、ルグランが好きになれるか、非常に疑問だった。(モリコーネのあの映画は最高だったよね!)
が、映画が始まってみれば、圧倒的に引き込まれてしまった。ルグラン、似てる。私もよく知ってるあのアーティストに!! 多くの人が怖がるあのアーティストに。もうすぐ来日するあの人に!
すぐ怒る、そのくせとっても子供っぽく、これまたずるいことにめちゃくちゃチャーミングなのである。わかるわぁ、この感じ。周りの人は大変よねぇ。
しかも亡くなる直前のコンサートまで収録してるよ、この映画の制作者たち… すごいな。っていうか、予定調和か。これぞエンタメ業界を生きてきた人の人生の、理想の終わり方なのかも。
最後の指揮棒を落とすところなんか、やりすぎでしょ。ちょっとっっ!!! 節操ない!! でも音楽のすごさもあいまって、実はすごく感動してしまった。
ルグランって、こんなふうにジャズもたくさん取り入れた人だったんだ、ということ。そして、こんなに「ステージに立ってた」人だったのね、ということ。そして、なによりその性格!!
ちょっと、その言い方!(笑)そういうとこよ!!(爆)…みたいなシーンが何度も。
音楽ドキュメンタリー、今年はこれがNO.1かもしれない。ピーターさんの映画祭に今年は全然行けず、自分は自分で「ピアノフォルテ」のPR手伝っているから、ちょっとバイアスかかってると思うけど。
もう終わっちゃうと思うので、早めに見に行ってください。ぜひ。
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◎12月10日 北とぴあの「音楽と本祭」、第2回のテーマは小泉八雲です。佐野史郎さんと山本恭司さんによる圧巻の朗読&音楽のステージ。そして小泉凡先生の解説付き。NHK朝の連ドラ「ばけばけ」の世界をぜひ。特設サイトはここです。
◎野崎は、現在作曲家:日向敏文さんのマネジメントおよび宣伝をお手伝いしております。
6月25日に新作「the Dark Night Rhapsodies」がリリース。こちらが特設ページ(Sony Music Labels)。アナログ盤と、ピアノ小品集の楽譜は日向さんのサイトで通販中。
◎2年前にレコーディングした無印良品BGM29 スコットランド編がやっと公開になりました。良かったら、聞いてください。プロデュースはLAUのエイダン・オルークにやってもらいました。現在無印良品の店頭で聞くことができますし、配信でも聴けます。