1991年の私 そして感慨深し…『 #東京ラブストーリー 』35周年記念 サントラ再発 



Netflixで配信されたことがきっかけで、『東京ラブストーリー』が外国で流行っているのだという。びっくりだ。で、このたび日向敏文さんのサウンドトラックが、あれこれ編集されたトラックとともに再発となった。

『東京ラブストーリー』は、知らない人はいないと思うけど、91年、湾岸戦争の年のフジテレビの人気ドラマだ。いわゆる「月九(げつく、月曜日の夜9時に放送)」と言われる枠で、視聴率30%オーヴァーというすごい記録を打ち立てた。すごいよね、30%だよ。

それにともないこの日向さんのサントラも30万枚売れたらしい。30万って、まったく想像つかない。どういう数字だ、いったい。ウチのレーベルの最大のヒットが11,000枚。キングレコード時代のメアリーの最大のヒットが20,000枚。その辺なら想像つく。想像つくけど… 

91年、私はすでにメアリー・ブラックの仕事をしており、自分で言うのもなんだけど、若い頃は本当に働き者だったので、寝食忘れて仕事をしていた。当然ドラマを見ている時間なんぞ当時の私にはなかった。

テレビを見る時間など自分にはほとんどなく、下手すりゃ社会のことにも相当疎かったかもしれない。今でもいい歳して、ほんと疎いけど。

もっと言えば、当時の私はタイアップだらけの音楽業界に心から辟易していた。91年、メアリー・ブラックも無事にJR東海のCMでの音楽が決まったりしてたけど、でもそれは自分の大嫌いな上司のパフォーマンスだったため、自分の心の中ではドッチラケていた。

曲が当たらなくてよかった(笑) CMは悪くない出来ではあったのだけど。


それにしても、なんでもあるね、You Tubeって(笑)このCM、出稿料はそれなりにあったんだけど、それでもヒットしなかった。

一方『東京ラブストーリー』は知らない人がいないくらい話題になっていた。その『東京ラブストーリー』のサントラが、ドラマの再盛り上がりを受けて再発されることになったのだ。

レコード会社の人に発売日を確認したら、まさに自分のグリーンランド案件と時期がばっちりかぶっており、まったくもってヒットというのは、自分のコントロール下には置けないものなんだなぁ、と再びしみじみ思ったり(笑)

一方で、ヒットはなくてものびのびと自分のスケジュールで仕事ができる自分中心案件は、本当に恵まれた一部のものの特権なんだな、と噛みしめたり。いくら貧乏であってもね(笑)

そうね、私は儲からなくても、こっちの、自分の世界がいいや…と思ったとか、思わなかったとか(笑)

でもこの再発が話題になって、日向さんが頑張った昨年発表のオケ作品『the Dark Night Rhapsodies』にも注目が集まるといいなと思ったりもする。そして理由はなんであれ多くの人が日向さんの音楽に興味を持ってくれるのは、私としてもとても嬉しい。

今回のリイシューにともない、私も一応「東京ラブストーリー」を最初から最後までちゃんと見てみた。

そういえば、一番最初に日向さんと仕事したのは、たしか94年とかそういう年だった。仕事は「妹よ」のサントラのプロモーションだった。

アルファの人に日向さんを紹介され「そうか、東京ラブストーリーの作曲家さんか」と、一応貸しビデオ的なものを借りたのか? 最初と最終回だけ見た記憶があるが、記憶違いかもしれない。

なので、いずれにしてもちゃんと見てなかったから、今回、再発ということで、一応最初から最後まで見てみた。

…長かった。すごい長かったけど、いちいちすれ違ったり、うまくいかなかったりするので、超イライラさせられる。若い俳優さんばかりで、内容が良いのか悪いのかも判断がつかない。しかし間違いないのは見ている間は、妙にドラマに心を奪われている、ということ。

電車の中にいてもふとドラマのシーンを思い出したり、普段免疫がないもんだから、自分の生活に対する侵食率がすごい。…あれ、これってドラマが好きだってこと?

そういや韓国ドラマや配信のドラマにハマっている人って、ドラマの話ばかりしてるもんなぁ。

私が知ってるドラマといったら、NHKの大河ドラマ(「黄金の日々」あたりが最後か)か、朝の連続ドラマ(「おしん」あたりが最後か)くらいだ。民放のドラマに夢中になった記憶はあまりない。

鈴木保奈美も可愛いのはわかるけど、微妙に美人ではないわな…と思ったりで(そう言ったのは確かナンシー関だったか?)、あれこれ斜めな視線で見てたんだけど7回目くらいで「かんち」にブチ切れるリカを演じたシーンは、とても良かった。

それにしても小田和正さんのあの曲といい、日向さんの曲といい、音効さんの音楽の使い方が上手い。日向さんのリカのテーマのオルゴールの部分だけ使ってシリアスでせつないシーンからの、演者さんが急に走り出す&小田さんの曲が始まったり、とニクいタイミングの演出が際立つ。

日向さんによると、当時は本当に締め切り締め切りで、放送の2、3日前まで音楽作ってたとかあったようだ。すごいよね。

で、今回のリイシューにともない、その過去の、そういったバタバタな状況をちゃんとリスナーさんに説明できる場所が与えられて、日向さんも幸せな作曲家だよなと思ったりもする。

っていうか、幸せな曲たちだよな、って思った。本当に音楽って、ある意味作家のコントロールできない場所に存在していると思う。日向さんによって生み出され、人の心に残り、そしてそれがこうやって再発という形で世の中に紹介される。

それに、こういうヒットアルバムって、それ単発ですべてが終わってしまうアーティストも多いと思うし。今でもみんなが覚えててくれている、ってすごい! 曲って別の生き物みたい。あきらかに命を持っている!

今回取材してくれた大谷隆之さんの各セクションを紹介コメントもすごくいいので、下記に大谷さんの投稿を埋め込ませていただきます。大谷さん、本当にありがとうございました。


Web雑誌otonanoですが、簡単な登録(無料)で全部読めるようになりますので、ぜひ皆さんもご登録ください! 連載の1回目はそのまま読めるし、その後の会員登録については、こちらからどうぞ。簡単です。会員登録すれば、過去の号も含めて全部読めます。

それにしてもotonanoの編集部さん、熱意がすごい。

記事の中には、東京ラブストーリーのロケ地巡礼も(笑)。リカの靴がひっかかるあの場所が、あそこだなんて気づかなかったし、ランチで行く中華屋さんとかも!! そしてハートスポーツのオフィスの印象的な建物は、まだ存在するってご存知でしたか?

原典子さんによる日向敏文ワークスのディスク・レビューもとても良いので、ぜひ。ちなみに原さんはこのリイシュー版のライナーノーツ用に日向さんにインタビューもしてくれました。商品を購入いただければ、読めます。こちらも必読です。


皆さんにささえられて無事再発! 今回のエディットで日向さんがだいぶ長さをいじったので、旧ヴァージョンをお持ちの方も聴き比べてみてくださいね。

私は最後のオケヴァージョンの「Good Evening Heartache」が好き。昔、ベスト盤のために録音されたもの。こうして一枚通して聞くと、最後のオケであのメロディが流れてきて、グッと来てしまう。かんち〜っっ(笑)

   

◎1996年からかかげてきたTHE MUSIC PLANTの看板は2025年12月にて下ろすことにしました。公式サイトは近日中にアーカイブ化する予定。自分の主催公演や招聘はもうやりません。ただ2026年も若干の雇われ・お手伝い案件(笑)があるので、そちらはゆっくりとこなしていく予定です。