ヨーロッパの各国が推薦する映画が集まるEU FILM DAYS、今年も開幕してしばらくたちました。みなさんは、何本見ましたか? 私のお目当てはアイルランドの『サナトリウム』
アイルランドが出品したこの作品は、読売新聞のこちらの記事を拝見し、大注目していました。
いよいよスタートします!「よくぞこれを」という映画もセレクト、「EUフィルムデーズ」…加盟各国の在日大使館が選んだ26作上映 : 読売新聞 https://t.co/kx7UKxUyPR…
— 野崎洋子 (@mplantyoko) May 16, 2026
記事によるとイメージフォーラムの支配人さんも「驚いた」とびっくりされたというアイルランド制作のこの映画『サナトリウム』
なんと舞台はウクライナのオデーサ近郊の療養所。アイルランドの製作陣ですが、アイルランドはまったく出てきません。
このサナトリウムは、心や身体が傷ついた人たちが集まってくる、おそらく温泉というか泥を塗ったりして療養する黒海沿岸の施設。
うわ〜、気持ちよさそう…って感じの泥風呂や泥パック。他にも電気療法など、戦争で傷付いた人から、妊娠を望む夫婦まで、滞在している人たちは様々だ。
爆笑なのが40歳という息子を従えた母親。「この子の結婚が私の究極の夢」と。正直、セリフがある意味、めっちゃ分かりやすすぎる。こういう親子は強制分割しないと破滅だ。最後殺人事件になっちゃうかも…と思う。
療養所のディスコパーティの夜、「おしゃれして女の子を捕まえなさいよ」と息子を説教する母親。うるさがる息子。喧嘩しつつも、最後は結局二人で「ケアレス・ウイスパー」をチークダンスしちゃって(笑)
…と、まぁ、かなりのコメディなのだ! 私は声に出して何度か笑ってしまった。
でも、みんなが和んでいるところに、、いきなり空襲警報。多くの人が泥にまみれて和む海岸の遠くの向こうには、爆弾が落ちて煙があがる街が見える。シュールなシーンだ。
あと戦争に行って傷ついた身体を癒しにきた、という兵士の男性。「心を病んでしまった連中は大変だ。俺は大丈夫だけど…」と言いつつ、眼がちょっと空な感じがしないでもなかった。
あの感じは危険だ。もしかしたら、ちょっとしたきっかけで彼は精神はギリギリのところで崩れてしまうのではないか、と。彼はギリギリのところで立っている気がした。それでも「宇宙飛行士なみの数値ね」と先生に褒められ退院していく。
あっという間の90分。とにかくすごいドキュメンタリーだった。ある意味、日常ってすごい。Lコロナの時も、震災の時も思ったけど、日常は強い。正常バイアス、とでも呼ぼうか。日常は目の前に迫るあらゆる問題から目を逸らさせてしまうパワーがある。
もっともそれが人間が強い一部でもあるわけで。私もこんな危うい都市:東京に住みながらも、いつ地震が来るかわからないのだから、いつ富士山が爆発するかわからないのだから、だからこそ今を楽しもうと思ったりしている。大丈夫か?!
これを作った監督とスタッフの皆さんに拍手を送りたい! 流石のアイルランド。自分の国ってわけじゃないけど、めっちゃ誇りに思う。
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◎1996年からかかげてきたTHE MUSIC PLANTの看板は2025年12月にて下ろし、公式サイトは近日中にアーカイブ化予定。自分の主催公演や招聘はもうやりませんが、2026年も若干の雇われ案件があるので、そちらはゆっくりとやっていきます。
◎よく聞かれるので、ここに載せていこう。最近観た中でベストな映画はこれ。ベストな本はこれです。
◎現在CDの販売は終了してますが、書籍はあいかわらず販売中。アイルランド名盤ガイド。楽曲への配信のリンク(Spotify)や、来日時のインタビュー、エッセイなど充実の内容。ポール・ブレイディ、メアリー・ブラック、マーティン・ヘイズ&デニス・カヒルの3冊です。こちらへどうぞ。
◎神保町すずらん通りのパサージュにてケルト書房という棚を運営しております。ケルト関係の書籍や友人の書籍などを販売中。こちらへどうぞ。
◎アイルランド映画祭、今年もやりますよ! ぜひご来場ください。5月29日よりYEBISU GARDEN CINEMAで2週間。毎日19時から。詳細は公式サイト:irishfilmfes.jp 公式X:@irishffjp まで。
6月9日にはドーナル・ラニーのドキュメンタリーの映画上映と、ピーター・バラカンさんの解説あり(野崎は聴き役として登場予定)。予約開始はまだ先ですが、今から予定しておいてください。
◎ピーター・バラカン Presents 未来へのプレイリスト 毎週金曜日 ETVにて22:30から放送中。6月いっぱいまで続きます。
◎ケルティッククリスマス2026、発表になりました。今年はアルタンとソーラスが来日。詳細は公式サイトへ。
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