アイルランド音楽のコンサート(2025年9月8日@万博)に出演したアーティストの皆さんを紹介してみました



先日、万博で、このようなコンサートが行われました。アイルランドから来日した、伝統音楽の最高峰を称える「アイルランド伝統音楽のアカデミー賞:グラダム・キオール」を受賞したみなさん。

来日した皆さんは、それぞれキャリアの差はあれど、伝統音楽シーンを牽引してきた人たち。どこにもちゃんとした日本語のアーティスト紹介が載っっていないので、老婆心(ばばぁごころ)で、私なりに紹介してみます。

私は90年からアイルランドの音楽に関わっていますが、伝統音楽については、よくわかってないところもありますので、間違いがあったら詳しい皆さん、指摘してくださいね。

ステージ向かって左側に座っていた4人が日本に何度も来日している人気グループのFLOOKです。彼らはこちらの2曲を演奏しました。 バイオグラフィーはリンク先の日本公式ページをご覧ください。実は彼ら、今年の4月後半にも日本に来ていたんですよ!
 

素敵な歌声を聴かせてくれた女性シンガーはダービッシュという、こちらも日本に何度も来日しているグループのフロントウーマン、そしてアイルランドの縦型太鼓バウロンの名手でもあるキャシー・ジョーダンです。

彼女については、ダーヴィッシュのこちらのトラックを貼っておきましょう。(通の方には、野崎さん、またこの曲ですか、と呆れらそう。でも大好きなんだもん、この曲) 

いいでしょ。これはアイルランドトラッドとスウェーデンの作曲家の書いた曲の素晴らしいコラボなんですよ。

 

女性フィドラーはシボーン・ピープルズ。お父さんはレジェンドのトミー・ピープルズ。ごめんなさい、こんな古い映像を貼っちゃって。

でもこういう感じ! 知らない方に偉そうにお伝えしますが、こういう感じが伝統音楽の本来の姿なんです。

若い人もベテランの演奏家も同じテーブルを囲む。丸くなって演奏をする。それはパブだったり、キッチンだったり、お葬式だったり、結婚式だったり。

  

そしてパイプ奏者のColm Broderick。彼は今回の来日で初めて知った!! すごく若いのに上手かったですよねー。 感動しました。あの楽器はイーリアンパイプと言って、肘を使って空気をひじの下にある袋に送り込み、そこからドローンに音がいくというスーパーハイパーな楽器なんです。

一つの楽器なのにまるでパイプオルガンみたいな荘厳な響き!

Johnny Óg Connolly。アコーディオン。アイルランドではこういうボックスと呼ばれる小型のアコーディオンがポピュラーなんです。彼はまた優れた作曲家でもあります。 

  

 生涯功労賞はマット・クラニッチ。 ウチが20年くらい前に出した「シュリーブ・ノーツ」というアルバムを覚えている方はいらっしゃいますでしょうか? 

なんと、あのアルバムの人なんですよ。古いよなぁ。アイルランドの南部シュリーブ・ルークラと呼ばれる南部にある、伝統音楽が非常に豊かな地域の演奏スタイルなんです。彼は、その伝統を現在に引き継ぐ名手。

こちらの歌は先日のコンサートでもハイライトでした。ご存知ネーネーズの活動でも知られる沖縄の最高峰:古謝美佐子さん。圧倒的なヴォーカルを聴かせてくれましたよね。会場中が暖かさに包まれました。本当に素晴らしい!

 

こちらは23年前。チーフタンズのアジアツアーに同行された時の共演。チーフタンズの皆さんがまだ健在だった頃。懐かしい!!  沖縄の音楽も海の音楽。島国アイルランド音楽とは相性がいいのです。

古謝さんがキャシーと一緒に歌った「ポメロイの山」は、アイルランドの有名な伝統歌。

 こちらは北アイルランドのフィドラーであるカハル・ヘイデンという人のソロアルバムなんですが、ここに収録されたシェイマス・ベグリーという農夫のおじさんの歌です。 いい声でしょ。

元々マーチ(行進曲)だったそうですが、特にこの方のレコーディングが発表されてからは、割とスローな感じで、ゆったりとした歌として扱われることが多くなりました。 

 

そしてアイルランド勢に混じって、すごい演奏を聴かせてくれた豊田耕三さん。豊田さんはこちらのグループ、O'Jizoのフロントマン。他にもたくさんプロジェクトを推進してらして、日本におけるアイルランド音楽シーンを牽引する存在です。この曲、大好き! かっこいい!! 

そして東京パイプバンドから、バクパイプ&太鼓の山根篤さんご夫妻。 いつぞやは高円寺の商店街をこの感じで練り歩いていただいたりして、あれは楽しかったなぁ! 

東京パイプバンドは1978年に女王陛下の来日のために結成されたバンド。山根さんのお父様がファウンダーで、今の篤さんは二代目なんです。受け継がれる伝統ですよね。ちなみに山根さんが万博に来たのは二度目だそうで、前回は1970年だったそうですが、それは大阪万博?? 

 

他、太鼓奏者林田ひろゆきさんと息子さんのルークさんがステージ後方に和太鼓を構えました。かっこよかった! 

そして、これまたかっこよかったのが、林孝之さん。普段みんなTakaさんと呼んでいるのですが、Takaさんはすごいですよ。2000年に来日したリバーダンスの公演を見て感激し、サラリーマンをやめてダンスの道に進んだ。そういうユニークな経歴の人です。

そして、その数年後には、その憧れのリバーダンスのオーディションに受かってプロのダンサーになっちゃったのだから、すごい。ケルトの情熱大陸があるとしたら、それはやっぱりTakaさんでしょうね!

っていうか、こんな動画見つけちゃったよー! Takaさん、アイリッシュダンスをテレビの人に教えてる。Takaさんの登場は3:30くらいから。 
 

そうそう、それから盆踊りダンサーの中西祐紀子さん(こちらの記事素敵!)と菊池航さんも素敵でしたね。アイルランド音楽にピッタリと合って、会場も最高に盛り上がりました。本当にお疲れ様でした。

そして今回これら全てをまとめる音楽監督を務めたのが、こちらのチェロ奏者。ニール・マーティン。私がこの方をいちばん最初に知ったのはこちらのプロジェクトでした。

 

アイルランドの伝統音楽を弦カルでやっちゃうというユニークなバンド。アイルランドって、伝統音楽シーンもあるけど、もちろんクラシックの音楽シーンもある。それを繋ぐユニークな存在が、このニール・マーティンなんです。

この弦カル、本当に好きだったよなー で、このグループ見つけた当時、どっかいい文化ホールとかに公演を売れないかなーと思ったんだけど、値段がぜんぜん高くて買えなかった。いいグループなんだけど!! 

今でもCDをよく聴きます。

そしてニールといえば、ジーン・バトラーというアイリッシュダンサーのこれまた最高峰の方との、最高にかっこいいプロジェクト。

これ見てみたかった!! 結局まだ見たことない。

 

あと私はニールが作ったこれが好きでねぇ。泣きたい時にきく曲。 歌手はイーマー・クイン。

 

で、そのニールが、あのエンディングに演奏された盆踊りが入ったあの曲、Raven'sなんとかと言う曲(名前、忘れた!! 関係者誰か教えて)を作曲したというわけです。

Ravenというのは八雲のニューオリンズ時代のニックネーム(凡先生の奥様に教えていただいたにわかへルン先生知識・笑)。あのセットは、3つの大きな展開で作られた組曲で、八雲の生涯を表していたのだそう。すごいなぁ!!

FLOOKが団体写真をシェアしてました〜。こちらに埋め込んでおきます。

みんなお疲れ!! 楽しかったね。

なお収録したこの様子はアイルランドの放送局TG4でクリスマスに放送されるのですが、日本からもネットで見られるので、ラッキーにも会場にいた方は、ぜひ自分も映ってないかチェックしてみてください。また何か新しい情報がわかったら、こちらでシェアします。


◎12月10日 北とぴあの「音楽と本祭」、第2回のテーマは小泉八雲です。佐野史郎さんと山本恭司さんによる圧巻の朗読ステージ。そして小泉凡先生の解説付き。NHK朝の連ドラ「ばけばけ」の世界をぜひ。特設サイトはここです


◎ポール・ブレイディが12月にケルティック・クリスマスで来日します。チケット発売中。詳細はこちらへ。もうかなり売れちゃってますので、みなさん、お早めに。お求めください。



◎野崎は、現在作曲家:日向敏文さんのマネジメントおよび宣伝をお手伝いしております。
6月25日に新作「the Dark Night Rhapsodies」がリリース。こちらが特設ページ(Sony Music Labels)。アナログ盤と、ピアノ小品集の楽譜は日向さんのサイトで通販中

2年前にレコーディングした無印良品BGM29 スコットランド編がやっと公開になりました。良かったら、聞いてください。プロデュースはLAUのエイダン・オルークにやってもらいました。現在無印良品の店頭で聞くことができますし、配信でも聴けます

◎9月には民音さん主催でゴサードシスターズの来日ツアーもあります。詳細は特設ページへ。


◎同じく9月にはこちらのショパンコンクールのドキュメンタリー映画『ピアノフォルテ』のPRのお手伝いしております。みんな見てね! 公式サイトはここ