グレン・ティルブルック:1月にお会いしましょう



今朝やっとのこさグレンを成田に送ってきました。疲れた〜っ。ホント疲れた。グレンといるとパワーを持っていかれる。何ってたとえばこういうピアノの演奏とかも別に許可をもらって弾いているわけじゃないんですよね。ホテルのバンケットルームにおいてある高そうなピアノを見つけて勝手に弾き始めてしまうわけだから、まったくドキドキですよ、小心者の私は(笑)。この嬉しそうな顔! 無許可だから楽しいんですよね、きっと。もちろん本人悪気があってやっているわけではないのですが。確かにいたずらをするとドキドキして楽しい。でもって私は体力を消耗する、そういう事なんでしょうか。

昨日も私は参加しなかったのですが、Love Hope and Strengthの一行は、ツアーの最後の屋形船のパーティで盛り上がり、みんなに髪の毛を切ってもらったんだとか言っているし、一番ヒヤヒヤしたのは鎌倉で、ビール飲んで海に飛び込んじゃって(まぁ、全然酔っぱらってなかったですけどね)、あぁこういうのが海の事故のニュースになるんだろうなと思うと本当に本当に心臓に悪かった。グレンが脱ぎ散らかした靴と服をかかえながら、暗くなりはじめた海に浮かぶ、グレンの頭を必死で目で追いかけて、しばらくは生きた心地がしませんでしたけど、毎度毎度がそんな感じなので、まったくもって私はグッタリです。グレンは、そういう私をみて面白がってやっている風もあり? でもあの笑顔をみるとノーと言えない。とにかく元気で笑いのたえない人です。一緒にいるとものすごく楽しい。疲れるけど。そんな感じが、やっぱりあのライブに出ているんでしょうね。なんか昨年1月の大阪公演で、私に怒られながら楽屋にあった脚立をステージに出し、よじ上って演奏していたグレンを思い出しました。はぁ〜心臓に悪い。

今回は、まぁ普通じゃありえないアメリカのプロダクションチームによる制作での来日だったわけで、まぁ、もうそれだけでいろんな物の考え方の違いとか、そりゃーまぁーいろいろ考えさせられました。多くは書きませんが、いかに普段自分が恵まれた環境で仕事をしているかを実感した体験だったかも。なんというかミュージシャンは誰が聴いていようが、聴いてまいが、とにかく演奏したがる。その習性をうまく利用した(というと言葉は悪いですが)非常に興味深い企画だったと言えるでしょう。こんなとこで演奏できるのかしらとか、許可取ったのかしらとか、絶対に無理だよと思う外野(私)の心配をよそに、ゲリラ的に現場がなんとかなってしまうのをみていると、まぁ、音楽があるとこんなに感動できるんだなぁと改めて思ったのであります。そういう意味では、私みたいなプロデューサーは、まだまだ器が小さいのかもしれません。でももちろん「こんなのありえないよ」とか「ディズニーランド的すぎやしないか」と思う瞬間も多々あり。本当にいろいろ考えもしました。加えて彼ら内部の事情もいろいろあり、どのプロジェクトも、それぞれなんだなぁと改めて感心。1つプロジェクトがあれば、そこには問題が存在し、表面で見えるだけの楽しいものでは決してない訳です。まぁ、それはどんなプロジェクトでも一緒ですが。

もちろん普段の私は「こんなにきっちり準備したから現場は楽だった」と実感するツアーの方がやっぱり好きなわけで(そっちの方が自分に向いているというか)、でもそういう自分の価値観を、あっさりと打ち砕いてくれるんですよね、グレンの場合。はぁ〜、向いてない,この仕事。でもって「まぁ、いいか、グレンも楽しそうだし、お客さんも嬉しそうだし」みたいな結論にいつもなるわけです。

そして振り回されるが自分だけならいいのですが、何せ予定が組めない性格のグレンなので、私もあちこちに迷惑かけちゃう。今回の来日中にあぁだこうだとひっかきまわし設定してはキャンセルを繰り返した案件が、いったいいくつあったでしょう。あぁ、思い出すのも怖い(笑)。私はいいんだけどホント周りの人にとってはいい迷惑ですよね。ほんとにスミマセン! 今度の来日の時こそ、しっかりと、周りに迷惑をかけないようにしないと。

でもなんだかんだ文句を言って、グレンとも、もうこんなに長く続いているのだし、これはこれで一つの幸せの形なのかも……と最近になって、ようやくそう感じられるようになりました。

Love Hope and Strengthに来ている人たちは参加費が高額なこともあって、相当のお金持ちかあとは会社がチャリティとして払ってくれてたり、他には自分がこういうことをするからといって自分自身も周りから寄付を集めてきたという人が多かったようです。アメリカってすごいね。日本じゃなかなかこういう事って無理だし周りの理解もないしなぁ。今回宣伝を最後の方で頼まれたのはいいけど、時間はないわ、プレス資料さえ対訳されてないわ、まぁ、そりゃー大変でしたよ。本来なら巻き込まれないように逃げるのが賢い大人の生き方なのかもしれないけど、結局はグレンのためと思い自分なりに必死に協力したつもりですよ、ハイ。

それにしても約30人の一般人の皆さんとのツアーは大変で、よくこんなのをやる気になるよなぁと自分のアーティストながらグレンに改めて感動しました。私だったら絶対にイヤ。チャリティだとしても絶対にイヤ。だいたいこんな大人数の旅行自体がもうイヤ。でもツアーリーダーの説明を一般人に混じって……というか一番後ろで謙虚に配られた紙をみながら聴いているグレンは最高に可愛かったです。偉いなぁ、グレン。そんなグレンのがんばりのおかげで、主宰者のシャロンによると、日本からもかなりの応援のメッセージや寄付があったようで、本当に皆さんに感謝していると言っていました。ご協力くださった皆さん,本当にありがとうございました。

そんなLove〜の企画も、まぁ楽しかったのですが、今回このタイミングで来日してくれたことによって、いろいろ今後の企画の話もできました。1月の来日公演については、もしかするとちょっとしたサプライズがあるかもしれません。もっとも、これもまた私がグレンに振り回されているだけかもしれないけれど……他のバンドだったら、もう発表が迫っているのに“急に言われていも対処できません”ってバッサリ切っちゃうだけなのだろうけど、つくづく私はグレンには甘い(笑)。でもグレンには、この件でものすごいプレッシャーをかけておいたので、きっとすぐ結論を出すからという約束を守ってくれるはず……と今は強く信じたいです。たのむよ、グレン!

そうそうスクイーズの話も今回はかなり出ました。「やっとバンドっぽくなった」とグレンは何度も言ってました。あまり話すとせっかくやっていただいた各雑誌の取材のネタばらしになっちゃうので書きませんが、今までグレンはインタビューでスクイーズの話をふられても話すのが辛そうで、可哀想で見ていられなかったのですが(やっぱり過去のバンドだし、けっきょくうまくいかなくて解散しちゃったのだから上手くいかなかった結婚を語るみたいなもんですよね)、今回は積極的にものすごくポジティブにスクイーズの事を話していました。ただ、私に言わせれば,バンドにとって長い時間よい時期をキープすることはそう簡単に出来る事じゃない。だから将来まったく見えません。日本にスクイーズがまた来るようなことはあるんでしょうか。今日も空港の待ち時間でそんな事も話しました。まったくこれからどうなっていくのかは分りません。ただ私はグレンのソロが好きなので、自分の仕事がずっと続けられればいいなといつも思っているんです。でもグレンもスクイーズを持って来たがっているんだし、大きなプロモーターがスクイーズを呼んでくれたらなと思ったりもしています。ホントに何度もいいますがバンドって良い時期は短いんです。音楽的にも、人間関係的にも。

そのグレンのライブの詳細はもうすぐ発表になります。来週の水曜日、おそらく火曜日の深夜にホームページにはアップできるかと。お楽しみに。その前にこんなムーヴィーを空港で撮っちゃいました。字幕もつけてみました。ありがとう、グレン。早く戻っておいで〜!