マーゴット・ロビー主演 映画『 #嵐が丘 』を観ました。なるほどね。なるほどこんな感じなのね。

 


なるほどねー なるほど話題の『嵐が丘』。めちゃくちゃ期待して観ました。グリーンランドからやってきたナヌークを羽田空港で見送ったのが朝8時半。

今なら映画館の初回に間に合う! 昨日2時間しか寝てないけど、早く見たい。見ながら寝ちゃうかと思ったけど、寝なかった(笑) というわけで、超楽しみにしていた映画の初日。上映1回目に見た。嬉しい。

端的に言って悪くはなかったです。良くできていた。衣装とかシーンの設定も素敵。が、うーん、期待が大きかっただけに、どうかな。うーん。もちろん完成度は高いですよ。すごいお金かかってるのがわかるし。

そもそも上のポスター画像見て、これは「Wuthering Heights」ではないだろうよ、とは思った。こりは「風と共に去りぬ」ではないかいな? 

こんなビジュアルもあり。こちらもネットリって感じ。


それにしても嬉しい。60歳になった。映画が安く見れる。知り合いの中には「あれって年齢確認もないし」とか言いながらフライイングしている人もいたが… 同じエンタメ業界にいてそれはないよね。

でも、私は真面目にルールを守る。…話がそれた。すみません。

しかし、この映画。なんだろう、あんなに熱情あふれる狂わしいまでの愛(「愛」と言えるんだろうか、あれは)が描かれていながら、全然セックス描写がないのが、エミリー・ブロンテの醍醐味でもあったと私は思っていたんですよ。

っていうか、ブロンテ姉妹は処女だったのではないか…と。そういう説もある。それは私の勝手な妄想だけど。

でも私も20代の前半に初めて「嵐が丘」に行って、確か1月だったか、比較的天気がおだやかな日だったものの、ちゃんと牧師館から嵐が丘を歩いた(5kmくらいあったと思う)自分としては、自分なりのブロンテ像があるのだ。

牧師館で見た、めちゃくちゃ小柄でスキニーなエミリーのドレス。栄養状態も悪かったに違いない。

彼女の人生はあそこに閉じ込められていたのに、魂は誰よりも自由だった! 彼女の詩にあるよね。「Give me liberty!」そして、それはキャサリンにも通じている。

いや、それも勝手な思い込みか? 私の中に強い「嵐が丘」があるからこそ、こういうふうに作られちゃうと、どうなんだろうと思わないでもない。

でも、まぁ、気持ちはわかる。原作を読んだ時期が、自分の人生のどの時期にあたるのかにもよるんだろうけど、マーゴット・ロビーは、原作を読み、、あんなに激しく愛しあっている(再び…「愛」と言えるんだろうか、あれは)のに、なんでセックスないわけ?みたいなところにフラストレーションが残ったのかもしれない。

いや、きっとそうだろう。私がキャサリンだったら、こうだ、と。そしてこの小説ににセクシー表現を入れることで、自分の好きな「嵐が丘」を完成させたのかも。

それか、マーゴットの方が私よりも遥かにすぐれたブロンテの読者で、彼女にはエミリーが書こうとして書かなかった(書けなかった?)行間にある官能を読み取ったのかも。

『若草物語』のジョーを「ジョーは、私」と言い切ったシアーシャ・ローナンと同じように、「キャサリンは私。私がキャサリンをやる」と彼女は思った。それは、めちゃくちゃ感じる。

そしてグレタ・ガーウィグが自分の『若草物語』を完成させたと同じように、マーゴットは彼女の『嵐が丘』を完成させた。

それにしてもご存じのとおりキャサリンもヒースクリフもやたら激しい熱情野郎で、それはあまりにも激しすぎて、客観的にみれば決して褒められない嫌な性格であり、それを表現しきったマーゴットの演技には、確かに脱帽だ。

しかしキャサリンとヒースクリフ。この二人が万がいち一緒になってたとしたら、どうなっていただろう、と再び思ってしまった。

二人は間違いなく同じ魂の持ち主だ。お互いがお互いを、まるで自分自身を見ているように見つめているのだろう。惹かれ合うのも当然だ。

でもこんな二人が一緒になったら、最後は殺し合いだよね(笑)。カップルは性格が違う方が幸せだと思う。…と60歳になった私は思う。

そういえば、世界がマーゴット・ロビーに注目するきっかけとなったトーニャ・ハーディングの映画を再び思い出したりもした。彼女は、(言葉が悪いが)頭の悪い悪女がよく似合う! 

それに比べるとヒースクリフがちょっと弱かったかも… 単に私好みではなかったのか。いや、どうなんだろう、最近人気の俳優さんなんでしょうか?(俳優の名前も監督の名前も覚えられないバカなわたくす。「フランケンシュタイン」見逃しちゃったし。でも私を夢中にさせるには、ヒースクリフのセクシー度が足りないよな。

それにしても、この映画はおおいに女性向けだなと思う。

前にどっかで聞いたんだけど(間違ってたらごめんなさい)、女性の胸をセクシーに感じるのは女性だけで、男性はお尻の方が好きなんだよ…というのは本当か?(爆)

キャサリンの衣装はほぼ胸を強調した服ばかり。ウエストを必要以上に締め上げて。あれは見ている女性をセクシーな気持ちにさせる要素が多分にあるのではないか。 

でもいちいち、妻の肌やそばかすの色で壁紙を作らせたり、卵や小麦粉をこねる作業を官能的に表現したり、なんだろ、必要以上に盛り上げる昔コンビニで良く売っていたレディースコミックみたいな安っぽさ(と言ったら失礼か)も感じられるんだけど。

いずれにしても、あれらは女性の感じる「セクシーさ」であることはあるわな。というか、私は十分にセクシーに感じた。他のもっとあからさまなセックスシーンがあるどの映画よりもセクシーだ。

そしてこれ『嵐が丘』の映画化作品のどの作品にも言えることなんだけど、あの2世代にわたる、あの感じ。あの2世代という設定はやっぱり「嵐が丘」に取っては必要だと思うんだよね。

でも映画にしようと思うと長くなるから、だいたいの作品では1世代に絞り込むしかないのかなと思うし。映画とかになると1世代で終わっちゃうのが、毎度物足りない。

誰か2世代がっつり描いた『嵐が丘』作ってーーーーっっ! 話はそれるが、そういう意味でも『嵐が丘』が好きな人はこちらの本は超おすすめ。こちらも2世代に渡る物語で、十分に長く、堪能できる。→   水村美鈴苗『本格小説』感想文

話をまたこの映画に戻すと、いわゆるバービーという素材をあぁいう映画にまで高めた『バービー』、そしてオルコットの原作をあぁいうふうに高めた『若草物語』など、あのレベルの完成度を期待していた私には、ちょっと物足りなかった。

あ、つまり、あの辺の作品はグレタ・ガーウィグがすごいってことか?(笑)

販売していたパンフレットも、もう少しオタク色濃く、少なくない数のファンがいるであろう文学「嵐が丘」を切り込んで欲しかった。

なんだろ、そういうとこよーー大手配給! 大手さんはこういうの弱いのよね。なんでだろう。向こうから来た資料の翻訳と無記名の文章が書かれたパンフレットじゃ、弱い。オタクに「パンフレットも必須」とか言わせるだけの物を提供してくれよー

ごめんなさい。でもたんなる1ファンだし、老人料金だけどお金も払って見たから、意見は言わせていただきます。

せめて英文学界隈の人になんか書いてもらってさ…。とはいえヒースクリフやキャサリンの、原作でも際立ってる有名なセリフは映画でも再現されていて、それにいちいち萌えちゃうよね、原作ファンは。

でも、なんだろ…色んな意味で、もっと『嵐が丘』オタクを満足さえてくれーと思う。ま、なにせ原作が大きすぎるわな…

あ、そうだ、映画で、すごく良かったのが、ちょっと頭のおかしい感じで挙動不審なリントンの妹:イザベラ役のアリソン・オリバー。この彼女、最高中の最高!! なんとアイリッシュ!! 

彼女には今後も注目したい。彼女、すごくいいですよ。なんだろ『聖なる鹿殺し』の彼に通じる魅力があり、目が離せない!

あとネリー!! ネリー役の俳優さんもすごくいい。ベトナム系というホン・チャウ。もう最高です! ネリーがこの物語の、原作とは別の意味での語り部であり、話の回し役だというのは大いにある。

それにしてもマーゴットはプロデューサーでもあるから当然なんだけど、まぁ、彼女を見せる映画ではあるな、とは思った。そして、彼女が作りたいキャサリンを作った、という結論で良いと思う。

すごいよな、彼女。自分のやりたいことを実現させる意思の力、実際の実力。ただの美人女優で終わっていたかもしれないのに、すごいなと思う。尊敬。


そして音楽も素晴らしかったです、この映画。そして、ケルト音楽ファンにとって素晴らしいのは時々ブリティシュ・トラッドみたいなアカペラシンギングも流れる。サントラものちほどチェックしてみたい。

ちなみにブロンテ姉妹はアイリッシュ系なんですよ。お父さん、カウンティ・ダウンの出身でパトリックっていう牧師さん。

ま、ただこれはもともこもないけど、原作大好きな私に取ってはこのケイト・ブッシュの「嵐が丘」が一番、私のイメージのキャサリンであり、私の心の中の「嵐が丘」を裏切らない2次的芸術作品だと思っている。


あら、これアイルランドのテレビじゃないですか… 司会はゲイ・バーン。


というわけで、いろいろ書いたけど、「嵐が丘」ファンは絶対に映画、見に行ってください。マーゴットの読書感想文読まされていると思えば、全然OK。こちらが公式サイト。→『嵐が丘』

   

◎1996年からかかげてきたTHE MUSIC PLANTの看板は2025年12月にて下ろすことにしました。公式サイトは近日中にアーカイブ化する予定。自分の主催公演や招聘はもうやりません。2026年も若干の雇われ・お手伝い案件(笑)があるので、そちらはゆっくりとこなしていく予定です。

◎パンデミック後くらいから作曲家:日向敏文さんのお手伝いしております。昨年の6月25日に新作「the Dark Night Rhapsodies」がリリースされました。こちらが特設ページ(Sony Music Labels)。アナログ盤と、ピアノ小品集の楽譜は日向さんのサイトで通販中


◎その日向さんは、91年の大ヒットドラマ『東京ラブ・ストーリー』のサントラを手掛けていたわけですが、そちらが2月に35周年記念のリイシューされることになりました。詳細はこちら。 最新インタビューをotonanoにて連載中!