いろいろ思うことあり……

さて,実はこんなメールをお客さんからいただきました。

「昨年7月のグレンのコンサートで、整理番号の若い前列1、2、3列目の方達で、番号の多いお友達の席を荷物をおいて確保している方が何人かいらっしゃいました。そして中には遅れていらして、演奏途中でビールをこぼしそうにしながら1、2列目の席に辿り着く方がいて演奏中、ヒヤヒヤして少し興ざめしました。グレンは、お客さんに飲んで食べて歌って踊ってもらうコンサートを望んでいるところもあるかとは思いますが、整理番号は厳守してもらうように呼びかけていただけませんでしょうか」

うーん、まずこのメールを読んで思ったのは……私は子供に注意するみたいな注意をウチのお客さんにはしたくないんですよ。が、他のお客さんの心ない行動によってイヤな気持ちをしたというお客さんがいれば、それは無視できないから、ここにもこうやって書いているわけですけど。

たとえばコンサートの現場で、こういった方に声をかけて「もしもしお客さん、それはいけない事ですよ」とか注意するようなスタッフがいればいいんでしょうけど、毎回小さい公演でスタッフなんかいっつも足りないし、それは絶対に無理。大きなライブハウスやプロモーターだったりすれば、スタッフもたくさんいて対処できるのでしょうけどね。そして,実際コンサートの現場においては、そういったウチの業務が行き届かない分、私の知らないところでお客様どうしで、いろいろフォローしていただいている事もあるに違いないだろうなと思うわけですよ。(ホントに感謝、感謝)

たとえば終演後のサイン会とかも、私がすべてアテンドできているわけではありません。でもだいたいサイン会からはグレンは嬉しそうに戻ってくるし、皆さんの混乱もなく協力してくれているから、お店に迷惑をかけることもないし、グレンも皆さんと安心して交流できるわけです。

私は最近のたとえば通販をはじめとするあまりの量の注意書きや、カップラーメンの熱湯注意みたいな当然の事における注意書き、電車おりながらメールするな的な駅のアナウンスのうるささにちょっとヘキエキしているんです。確かに周りの迷惑をかえりみないイヤな人は、いくらでも世の中に存在します。それはコンサート会場だけではありません。そして、それを気にするあまり(たとえばウチのホームページ上に)注意書きが多くなると、もうなんだか普段から非常に協力的なウチの優秀なお客さんたちをバカにしているように見えて、それは私はなんというか自分の仕事の美意識に反するというか……納得がいかないのです。

なので、このメールを私にくれたお客さんには申し訳ないけど、ホームページの方に書くよりも、ここでアップするだけにとどめておきます、ということをお話しさせていただきました。そして、その方からは、またとても丁寧なメールをいただき、ご理解いただけました。お客さん本当にありがとう。

それにしても自由席のコンサートは幾度となく制作してますが、こういうメールがくるのもグレンのお客さんくらいで、ほんとに聞く音楽によって人間の種類は違うんだなと感じています。そして、皆さんのご協力によって1つ1つのライブの現場が成り立っているんだな、と改めて感激したりもするわけです。

本当に皆さん、いつもありがとう! 私も子供にするような注意はしませんから、周りの方を気遣って、参加した皆さんが楽しめるようにしてください。あなたのチケット代例えば6,000円とか、5,000円とかだけでコンサートがなりたっているわけではないのです。そこにいる全員のお客様全員がチケットを買ってくれる事によって、初めてアーティストが来日できるのです。だけど、そんな事、言わなくても分るよね。

PS
ウチの公演チケットは、かなり面倒だけど、一応こちらにメールが届いた順番に一つずつ処理している。ほとんどのプロモーターが先行予約といっても、ガッととりあえず受け付けておいて、そのままお客さんには詳細を説明せず、とにかくお客さんには「黙って降り与えられた番号で入場しなさい」という方が多いのだけど……というか、そっちの方が一般的なのは私も知っているんだけど。細かく配慮しても絶対的に不公平はなしにはできないし(同時に発信してもメールの到着にも時差があったりする)、かえって内幕をみせると、よけいな質問や要望が飛ぶから。割と他のプロモーターはパキっと告知して、あとはドライにビジネスライクにっていうところが多い。そしてそれはとても理解できる。そうじゃないと、ホントに果てしないからだ。

あとチケット代が安いことは、同業者や業界内部の人たちにはいつもびっくりされる。今、一般的な海外アーティストのコンサートはライブハウス公演で平均6,500円+ドリンク別と言われている。でも、まぁウチが規模が小さい分、できるかぎりお客さんには親切に安く良い物を提供したいと思っているんだよね。それをありがたく思ってよとは言わないけど、当たり前と思われて、いろいろさらなる要望を言われると、こっちも非常に辛いです。すみません、弱音をはきました。が、こちらはいつもベストを尽くしているのは理解してください。と、まぁ、2年に一度のグレンの来日に思ふ(笑)。