アメリカ嫌いの私だったけど……



今日もとある雑誌の編集者と話をしていて「どうなることやら」という話になった。やはり公演キャンセルが、特に外国人の招聘においては、たくさんおこっているようだ。3月についてはキャンセル続出。4月の公演も流れるところがいくつか出来てきた。5月の公演も検討に入っているところが多いとのこと。そりゃーそうだよね。

そんな中、マーティンのマネージャーからメールが来る。(マネージャーはアメリカ人女性)昨日の東京の水のことがアメリカでも報道されたようだ。私を気づかいながらも、そのことが書いてあり「どう思う?」と書いてある。水が汚染されたって……ショックだよね。うん。私なりの見解を書いて返事のメールを書いたら、えらく長い文になってしまった。

こんな状態だからもう日本に行くのがイヤだと言われたら、それは理解できる。そしてこの日本ツアーが飛んでしまえば,彼らにとってもスケジュールがボンと空いてしまい、それは忙しい彼らにとっても非常に申し訳ない結果にもなる。だから「何か他からオファーがあるとしたら、早めに結論を出そうか?」とも入れた。本当に申し訳ない、と。地震と津波だけだったら、マーティンとデニスは落ち込んだ日本を元気づけようと張り切って日本に来てくれるだろう。でも、とにかく今は、原子力発電所のことが問題だ。こんな日本に大事なアーティストを呼ぶわけにはいかない。余震やこれから起こるかもしれない東海エリアの地震はそれほど怖くない。問題は本当に原子炉なのだ。原子炉はいまだに非常に危ない状態だし、おそらく思ったより長くかかるという見解もあるし、私もそう思う。最悪の時期は超えたのかもしれないが、まだまだ余談を許さない。危ない橋を渡りまくりだ。

ちなみにマネージャーへのメールには「原子炉がある程度落ち着く」というのは、私は自分なりに「冷却水が正常にサーキュレイトすること」と考えている、と書いた。そして、それがない限りは、やはり呼ぶわけにはいかない、と。でも原子炉が落ち着いたら、余震は心配しなくていい。今のところ小さいけど、しょっちゅう余震はあるから、私が東京でも同じホテルに泊まるし、とにかく安心してほしい、とも伝えた。

なので、今は、まだどうなるか分からないけど、とりあえず結論はまだ出さないで様子をみよう…という事になった。

それはそれで、まぁ、いつものことで(笑)、こういうメールはすでに何度かやりとりしているし、特にブログに書くことでもないのだけど、実はここに書きたかったことはそんなことではない。

そんなわけで、実は昨日マネージャーから来たメールには、こちらのこともすごく心配してくれるメッセージがあったので「私は大丈夫。東京で友達がいて仕事があるのは本当に素晴らしいなと思った。自分は思ったより日本人だった。外国から見たら“何ボヤボヤしてんだ、早く逃げろ”って思われるかもしれないけど、今はここを離れたくないんだよね」とも書いたのよ。

そんなメールを昨日出したら,今朝来た返事にはこう書いてあった。「わかるわ、ニューヨークの0911の時もそうだったもの。友達と集まって毎晩話をした」と。なんか私はぐっと来てしまった。そうだ、あのときも、そんな気持ちがした。そしてそれを国の違う人たちが、みんなシェアしたはずだった。

そして彼女は「今はまだ決断を出すのは早い。マーティンもデニスも絶対にいきたいと言ってる」とも書いてくれていた。なんか嬉しい。もっともマーティンにとっても私にとっても結論を早くだす方が、後始末も楽なのだ。でも,もう少し待とう、とマーティン側は言ってくれた。それにしても家族のこととかもあるから、家族の人に心配をかけるような事は絶対に避けないといけない。マネージャーとしても相当心配なはずだ。本当に,本当に、なんとか原子炉が早く落ち着いてくれますように。

今日松山晋也さん駐日アメリカ大使のツイートを教えてもらった。偽善とか同盟国としての立場をここぞとPRとか、言う人はいるだろうけど……現場をちゃんと見てまわっている説得力がある。皆さんもぜひフォローを。ツイートも適度に頻繁で情報も英語&日本語で分かりやすいですよ。

「最も被害がひどい地域を訪れ、日本が必ずこの難局を乗り越えることができると強く確信しました」