キリアン・マーフィ主演 映画『SMALL THINGS LIKE THESE 決断するとき』圧巻!!圧巻!!圧巻!

 


昨日、アイルランド大使館で関係者を集めた試写があり、拝見しました。ありがとうございます。キリアン・マーフィ主演『Small Things like These 決断するとき

普段、私は映画の感想文は、書いたあと少し寝かせてから公開するのだけど、いや、もう伝えたい。皆さんに早くお伝えしたいという衝動から、もう書いて発表します(笑)

まず結論から言うと、もう最高中の最高でした。これは一般公開(3月20日)上まで何度も語って応援していきたい。そんなパワフルな作品です。

なので、このブログもまずは感想第1弾ということで、ご了承ください。しつこく行きます(笑)。これから公開まで、5回くらい書いてしまいそうだ。これはそのくらい推したい作品です。

そういやクレア・キーガン本の前の映画「コット、はじまりの夏(原題:The Quiet Girl  原作本:あずかりっこ)」は、公開前に2回見て、どちらでもボロボロに感動しました。公開されてからも複数回、劇場で堪能しました。あれも最高でしたが、これも最高中の最高です。

そう、この映画にはまず原作があります。この原作本がとにかく素晴らしい。

原作本については以前ここに感想を書いたので、もう繰り返しませんが、いやー 読書はこういう本のためにあるのだと思わせてくれるほどのすごい作品でした。その内容たるや、説明しようとすると涙出てきちゃう、みたいな。

映画の話をしましょう。まずはキリアン・マーフィ…すごいです!!! まさにハマり役。

『オッペンハイマー』の時とはうってかわり(あっちはどっちかというとストーリー展開と脚本で見せる作品だった)、本当にこんなアイリッシュのお父さんが存在しているにちがにないと思えるくらいのハマり役。ものすごくフィットしてる。押さえた演技がもうすごいです。

彼はちなみに原作の映画化を知り、ものすごく熱心に自分にやらせてくれと語ったらしい。そして実際、プロデューサーとして製作陣に名前を連ねています。

そう!! 最近の私の映画の評価ラインはここです。やっぱり俳優がやりたいと思う作品、そして自分でリスクを取る作品は非常に俳優がきらめくことが多い。というか、間違いなくきらめく。

そりゃそうですよね。自分で責任取ってるんですから。ここにも何度も書いてますが、尊敬する女優の小林聡美さんが「女優とは待つ仕事です」とエッセイで書いてらしたのが結構ショックで、私は「職業ってそんなもんじゃないだろう」とモヤモヤしていたんです。

だから彼女は『かもめ食堂』みたいなぼーっとした映画(はい、苦手です、あの手の映画とか食パンのCMとか)にしか出てなかったんだな、と。(でも最近の彼女は吹っ切れてて、すごくいいですね。コメディがよく似合う。いや全部見てるわけじゃないけど。すみません、上から目線で)

最近では今度公開される『嵐が丘』のマーゴット・ロビーもそうです。今度の『嵐が丘』がどういう経緯で制作されたかはまだ勉強してないけど、彼女の『トーニャ』そして『バービー』、どちらも彼女は製作にも大きくコミットしてる。

あとグレタ・ガーウィックの『Little Women』。あれもシアーシャ・ローナンが「ジョーは私。私にやらせろ」と言って、シアーシャが取りに行った。まぁ、あの二人の仲の良さなら、当然でしょうけど。

あとこれはちょっとずれるけど『PERFECT DAY』の役所さんもそうだよね。まぁ、このパターンには、実はいろいろ思うところはあるんだけど、それはまた別の話。

すんません、横道にそれた。そう!! 言いたいのは!! 言いたいのは俳優は待っている仕事じゃない!ということ。

キリアンはこの役が絶対にやりたかった。あと、この映画を試写で拝見する前に、キリアンや製作陣がこの映画について語っているインタビュー映像をいくつか見ましたが、とにかくみんな原作本に対する尊敬がすごかった! 

そうなんです。この映画の心臓部は、まさにそこ。そこがこの物語の要なんですよ。原作本が、とにかくすごいということなんです。

話を映画自体に戻すと、ノーマークだったけど、めちゃくちゃ印象に残ったのが、彼の奥さん役であるアイリーン・ウォルシュ。めっちゃ、めっちゃ、めっちゃ、よかった! 

彼女の存在はとても残ります。脚本上もキリアン演じる主人公が言葉少ないだけに、彼女の言葉は社会と悩める主人公の立ち位置を埋めていくような存在でもある。

そして!!! もう、全世界のこの映画に対する期待に応えるべく大きな存在なのが、エミリー・ワトソン。いやー、いやー、いやー 彼女には悪役が実はとてもよく似合う。彼女を奥さん役にしなかったのが、この映画の正解というかなんというか。

彼女の、『レッドドラゴン』のあの目の見えない女の子の役、めっちゃ、すごかった。そして『アンジェラの灰』もすごかったよね。(語彙の少ないわたくす)


あ、あと意外と知られてないけど『オレンジと太陽』ね。これも子供を売ってた英国のスキャンダルだったっけ。(ちなみにご存じのとおりアイルランドのカトリック教会は洗濯所で生まれた子供をアメリカの裕福なアイリッシュの家庭に売っていたことがのちに発覚しています)


すみません、作品自体に話を戻すと、長さも90分ほどで、最近の映画にしては短めなのもとてもいい。でも原作本もいわゆる中編というやつで、展開が大きくあるわけでもなく、実際本を読んでも4時間くらいで読めちゃうから、そんな感じよね。それがまた素晴らしい。

アイルランドは、このブログを読んでいただいている皆さんならご存じでしょうけど、洗濯所というすごいシステムがあった。カトリックの修道院が運営していたんですが、いわゆる「ふしだら」な女子を収容して強制労働させる施設。

ジョニ・ミッチェルの歌にもあるよ。


ちなみに「マグダレンの祈り(The Magdalene Sisters)(2002)」以外にも、洗濯所を描いた作品はたくさんあります。とはいえ、これが一番有名なのかな。タイトルも直球だし。


一方で、一番ポップでわかりやすいのはジュディ・ディンチ主演の「あなたを抱きしめる日まで(Philomena)(2013)」。

もう大好きで、何度も見ちゃった。セリフも覚えちゃったよ。スティーブン・クーガンとジュディの掛け合い漫才がめっちゃ楽しい。なんてったって、監督はスティーヴン・フリアーズだし悪いわけがないよね。脚本もテンポがよく最高中の最高。私の感想はここ

ちなみに余計なことを言っておくと、この映画は最高だけど本はイマイチでした。私の中では映画が原作を超えた唯一の例。 本は、しかもかなりエグいんですよね…
 

と、まぁ、いろんな形で描かれている洗濯所なんだけど、ひとつ謎が。

洗濯所の最後は1996年と覚えていたんだけど、映画の最後のテロップでは1998年ってなってたね…。間違っているわけないんだけど…。私は洗濯所は、96年まであったってずっと思っていた。

というのをこの悲劇を知らない人に説明する時によく私は「最後の洗濯所って96年まであったんですよ。私が始めてアイルランドにいったのは91年。だからその時はまだあった」というフレーズをよく使ったので、普段歴史とか年号とかダメな私でも、よく覚えているのだ。

そして、今、ググっても最後の洗濯所は96年と出る。でも、映画のテロップが間違っているわけないよね。どうなんだろう。

………あっ、すみません、細かいことでした。「ケルト警察」しちゃった!

でも警察といえば…  ごめんなさい。もうひとつだけ言わせて!!

やっぱり私はこの映画の邦題、好きになれないです。確かに『決断するとき』ではあるのだけれど、それはこの物語の「結論」であって、「キモ」ではない。

このタイトルに込めた、原作者の思い。それを考えれば、『Small things like these』以外に邦題は考えられないし、原作本の翻訳で鴻巣先生のつけた『ほんのささやかなこと』以外に邦題は考えられないのだ。

ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。よく映画のポスターのデザインや日本語タイトルに文句つける「映画警察」みたいな事言っちゃって、うざいケルトおばさんからも。

本当にこの円安時代、洋画を配給していただいているだけでも大変なことなのに!!! でも一度だけ言わせてーーー、一度だけしか言わないから。ごめんなさい。

この映画公開されたら、絶対にお金払っても観るし(もう60歳だから安いけど!)、パンフレットも絶対に買うから、これだけ言わせてーーーというわけで、邦題は、やはり… 賛成できません。ごめんなさい。

鴻巣先生のタイトルは本当に素晴らしい。全部文字をひらがなにしたのも、すごくいい。どうして、「Small things like these」にしなかったんでしょうか… 

本当にこの世は「Small things like these」によって支えられているのだと。それを噛み締めたいんだ、私は。この映画で。

先日も政府がイスラエル製のドローンを買わなかったのは、防衛省の中でものすごい努力した人がいたに違いないという誰かのツイートを見て、涙が出てきた。

そう、知らない人が、善意で、本当にちょっとした行動を起こしている。それが世の中の均衡をかろうじて保っている。

3月20日公開。東宝系だけど、いつも素敵な映画を紹介しているシャンテ・シネさんで公開されます。絶対に行くよ。


   

◎1996年からかかげてきたTHE MUSIC PLANTの看板は2025年12月にて下ろすことにしました。公式サイトは近日中にアーカイブ化する予定。自分で作る主催公演や招聘はもうやりませんが、2026年も若干の雇われ・お手伝い案件(笑)があるので、そちらはゆっくりとこなしていく予定です。

◎で、さっそく2026年のお手伝い案件。今話題の(?)のグリーンランドからナヌークがグリーンランド自治政府のサポートを受けてやってきます。もちろんこの企画半年以上前から決まっていたのですが、当初11月にやる予定が、2月になりました。

2月25日(水)、26日(木)、南青山の「月見ル君想フ」にて無料(しかし要登録・ドリンク代700円)のライブがあります。すでに定員いっぱいです。すでに申し込んで、都合が悪くなってキャンセルをしたい方は事前にご連絡ください。

バンドでの演奏が聴けるのは、このライブハウス公演のみです。

 

◎そのナヌーク関連で、2月24日には恵比寿のYEBISU GARDEN CINEMAにて、『サウンド・オブ・レボリューション グリーンランドの夜明け』を上映。そこでナヌークのトークイベントとアコースティックセットでちょっとしたミニライブもあり。詳細はここ。MC通訳は大好きなキニマンス塚本ニキさん。こちらも残席少なし。

 



◎そしてナヌークは23日、高円寺こんなイベントにも出演します。詳細はこちらのサイトにのちほど掲載予定。気象神社で、グリーンランドの音楽を聴きながら気候変動を考えよう! こちらもアコースティック・セット、入場無料。



◎パンデミック後くらいから作曲家:日向敏文さんのお手伝いしております。昨年の6月25日に新作「the Dark Night Rhapsodies」がリリースされました。こちらが特設ページ(Sony Music Labels)。アナログ盤と、ピアノ小品集の楽譜は日向さんのサイトで通販中


◎その日向さんは、91年の大ヒットドラマ『東京ラブ・ストーリー』のサントラを手掛けていたわけですが、そちらが2月に35周年記念のリイシューされることになりました。詳細はこちら。 最新インタビューをotonanoにて連載中!

◎アイルランドのフォークホラー(?)映画、公開中。 映画『FRÉWAKA フレワカ』詳細はこちら。