From Clare to Here - 12,3年くらい前に作られたマーティンとデニスのドキュメンタリー。Part5まであり、全部You Tubeで見ることが出来ます。
さて! マーティンとデニスがもうすぐ日本にやってきます。いよいよ明日、空港に彼らを迎えに行きます。
本当に今回のツアーは……ツアーが出来るってのはすごいことなんだなと……って、まだ終わってないですけど(笑)、まぁ、ホントまったく違う国に演奏活動にやって来るってのは、ものすごいことなんだなと改めて実感しているわけです。
このツアーを企画した約1年半前、今のこの日本を誰が想像したでしょうか? そして、こんなにたくさん外国人アーティストのツアーがキャンセルになっている中、来日してくれる勇気ある二人に本当に感謝です。それにしても……原発は怖い。だから来ないっていう方が当たり前だと思います。私だったら……きっと来ないと思う。だから来ないアーティストの方が当たり前だと私は思う。もちろんウチにとっては、マーティンとデニスとの付き合いはもう長く10年以上知っているし、一緒にツアーするのはもう4度目だし、それなりに信頼関係も出来ていると思っているし、そういう自負もある。
そういう中で……いや、そういう事を考慮するからこそ、実は途中、これは今後の人間関係を考えて、向こうに「ノー」と言わせちゃうのはコクなことかもしれないと考えた時期があった。向こうに辛い思いをさせて断るという辛い役回りをさせてしまうのであれば、こちらから先手を打って「このツアーはキャンセルにしよう」と言ってあげた方が、もしかしたらマーティンたちに対して親切なのではないか、と。そう考えた時期もあった。ちなみに「自粛」という言葉は私の辞書にはまったくありませんでしたけどね。各会場や札幌の小松崎さんとも相談を重ねた。
考えて,考えて,考えて、うーんと考えて、そして、やっぱり、やっぱり今、日本にマーティンとデニスの音楽が届けることは、すごく重要なことだと思ったんだよね。私たちは今、この素晴らしい音楽を必要としている。そう思った。だから思い切って「私が二人だったら行かない、だからノーと言ってくれていいんだ」と言いつつも、「ぜひ来てくれないか」とマネージャーにメールしたのでした。うん、そうだ。それが私の仕事だろう、と。これがきっと正しい。それが4月の5日くらいだったか……。震災以降、原発事故が発生し、最初は冷却機関の復旧ができればと期待していた。冷却がまわりはじめたら大丈夫だ、と。でもそれにはおそらく数ヶ月かかることが……そういや東電の工程表とやらはその頃は影も形もなかったが、だいたいその頃になると東電や政府の発表を待つまでもなく……そう簡単に復旧しないことは充分予感できた。だからマネージャーには「たぶん安全宣言なんて待ってたら何年かかかっちゃう。原発はいまでもシリアスな状況だ」とメールしたのでした。IAEAのリンク、アメリカ大使館のリンク、原発のこと、放射能のことが載った英語のリンクを沢山つけた長い長いメール。そして4、5日で返事をくれ、と。
マネージャーのリズとは今回のことで、もうずっと連絡を取り合っていた。リズは私のメールをみて「これはとてもセンシブルなメールだ。とにかく二人に話してみる」と言ってくれたのでした。私はもうこのとき「やれることはやった。あとは断られても仕方がない」と考えました。実際、このメールの数日前にリチャード・トンプソンの来日中止が発表になっていたし、公演が出来る可能性は30%くらいかな、と。そんな気持ちでいたのでした。
だから数日後に(2日後くらいだったかな。思ったより返事は早かった)リズから「二人は行くと言っている」というメールが来たときは、本当に本当に嬉しかった!!! その後、すぐマーティンから直接スカイプが入り、オランダにいる本人と結構長い時間、話すことができた。マーティンは本当に勇気があって「メディアの言うことは大げさなんだ。一時のベルファーストだって1日中爆弾が爆発しているみたいに書かれていた時期があった」と話してくれました。本当に涙が出るくらい嬉しかった。実際周りの友だちや家族からは止められたようです。私はだいたい自分の仕事についての判断には自信があるのだけど(っていうか、なけりゃ自分で事業なんて出来ませんけどね)、今回ばかりは本当にまったく自信がなかった。来てくれる可能性は少ないと思っていた。だから本当に本当に嬉しかった。
だから。だからこそ。来ないというアーティストやマネジメント、プロモーターの判断は非常に理解できるのです。だからお客さんにおいては、来日をやめたアーティスト、キャンセルしたプロモーターを攻めないでいてほしい。ちなみに、どれもがウチのケースみたいにいちいちドラマチックだとは思わない。エージェントやマネージャー、弁護士からけんもほろろで断られることもあるかもしれない。本人と話すことすらかなわない事もあるかも。また詳細なデータを日本側が送っても、ちゃんと読んでくれないマネージャーもいるかもしれない。また本人が行きたがったにしても、家族の反対にあい、止められることもあるかもしれない。とにかく、今のこの状態の日本では来ない方が絶対に普通だと思う。せっかく頑張って準備し調整を重ねて来た公演がキャンセルになる、そういう人たちの悔しい気持ちは察してあまりあるものがある。
でもマーティンとデニスが来てくれたことで、この後に続くアイリッシュのミュージシャンは……本当に心強いね。日本におけるアイリッシュミュージックの将来は明るいよ。マーティンとデニスが来てくれることになって、本当に,本当に、本当に良かった! 本当にありがとう、マーティン、デニス!
ぜひぜひ皆さん、ご来場ください。このツアー。本当に大成功にしないと、二人にあまりにも申し訳ない。ちなみに土曜日のStar Pine's Cafeはかなり混んできました。今からチケットを買うという人は日曜日の方がおすすめです。
4/23(土)東京 Star Pine's Cafe
4/24(日)東京 Star Pine's Cafe
4/26(火)名古屋 TOKUZO
4/27(水)京都 磔磔
4/29(祝)札幌 ルーテルホール
東京と札幌ではワークショップもあります。東京のワークショップは見学オンリーも可能。
すべての詳細はこちらです。取置きは一応ギリギリまで受付ようと思いますが、基本どの会場も当日券は出す予定なので、そのまま来ていただいても大丈夫です(ただし当日券は500円UPする予定)。