津田大介さんの新刊「情報の呼吸法」を読む

現在Twitterで超話題のこの本。津田ファンの私としてはしっかりブログに書いておかねばならないでしょう。それにしても、この本の発売を知ったとき、アマゾンで速攻予約したのだけど届いたのは発売日をだいぶ過ぎてから。がっくりだよ、アマゾン。おかげで先日のミュリエルのツアーとしっかりぶつかってしまったけど、それでもあっという間に移動中に読んでしまった。津田大介「情報の呼吸法」。朝日出版社。940円。

まず装丁にびっくりさせられるけど、これって紙が色上質みたいな感じで、表紙はあくまで2色刷りだよね。(紙がブルーなので3色に見えるけど)これは実は値段を安く押さえるのに一役買っているかも? これで1,000円を割る940円。出版社の努力が見える。今度ウチでオリジナルのCDをプレスするようなことがあったら、こんな風にするか?(笑)これなら本屋に並んでいてもインパクトあるんじゃないかしら。

そして、勝間本もそうだけど、これまた売れている人の文章は圧倒的に読みやすい。とにかくすいすい読める。あっという間に読んでしまった。まるで津田さんの講義を聞いているみたいに、スルスルと、あっという間に読み終わってしまった。(もう少し長い時間読んでいたかったくらいだよ)

肝心の内容ですが、一言でまとめると、この本は本当に世の中を変えようというすごくポジティブな気持ちに溢れた本だと思う。これからの私の人生もそこここで助けてもらえそうなので、自分用のメモとして好きな部分を書き出しておく。

「情報は行動するためのガソリンである」。間違ってはいけない。情報うんぬんではなく、それによって世の中を動かすことこそが最終目的ということ。そのヘンのばかな広告代理店や、学校通うみたいに会社に座ってるサラリーマンみたいに表面だけ意味もなく物事を流していてはダメだということ。質の良い情報を得て、最終的にその先にある物事を本当に変える、ということ。情報があれば、自分の好きな事を圧倒的に高い確率で実現できる。そういう時代になった。そしてそのパワーが集まれば、最終的にこれほど絶望的な世の中でも変えることが出来るんじゃないか、って思わせてくれる。少なくとも津田さんはこれから政治メディアを作り、世の中を絶対に変えようとしている。それは私も本当に応援したい。そして多くの人が自分の出来る範囲でそういう行動をとれば、きっとこの世の中は良い方に変わると思うのだ。そういう事をこの本は言っていると思う。うん。

これより前に読み終わった、さとなおさんの「明日のコミュニケーション」でも同じようなことが書いてあった。ネット上の善意が素人でも気楽に表現できるようになった。これは良いことだ、と。Facebookの「いいね」そしてTwitter「お気に入り」や「RT」など。そういやって今まで黙っていた善意/サイレントマジョリティーが動きはじめたとき、世の中はきっと良い方向にうごく、と。だから、みんな、思っているだけじゃだめなんだ。せめてソーシャルメディアに参加して「いいね」ボタンを押そう、と。そして声に出して、自分が応援したい人を応援しよう、と。そしてさらに言えば、お金を出してちゃんと応援しようと。つまり情報を集めて自分が信じれる場所にお金を落とそう、と。そうすることによって世の中は本当によくなる。

これは以前津田さんがラジオでも言ってらしたことだけど、日本には「嫌儲」(けんもう)という考え方があって人が儲けるのを極端に嫌う習慣がある。アメリカだとアドセンスはもっと高額だし、人気ブロガーには「このブログおもしろいから」とGOOGLE ADなどクリックするような習慣が読者にあり(最終的には広告の向こうのものを買わなければ読者のふところは痛まないわけだし)、それが多くの人気ブロガーをささえている。日本にはそういう習慣がないから、ネット上の情報をマネタイズすることは非常に難しかった。でも最近は、ようやくお金を払って上質な情報を得ようという人が増えてきている、と。メールマガジンがその一番良い例だ。そして、今後は無料の情報しか持たない人と上質の情報を持っている人の二極化がどんどん進むであろう、と。うむ。

あと自分の考え方が変わることを恐れない柔軟性が大事、というところも非常に共感した。軸は持ちつつ、優れた考え方を自分の中に迅速に取り入れられる柔軟性が求められている。今はそういう時代だ。すべてが過渡期なのだ。そうなんだよねー。ホント変わらないと生き残って行けない、というのはある。私も2006年に「こりゃダメだ、レーベルやってたらつぶれる」と思ったからコンサート制作の方に回った。もともとそっちの方が好きだったっていうのはあるが。そして、またこれから変わることが必要とされるだろう。しなやかに、でも自分の好きなことを続けるために、とにかく変わることを恐れてはいけない、ということだ。今、CDをリリースすることしかしていないレーベールは本当に大変だと思う。柔軟にアーティストやリスナーが望む事を実現していかないとホントに生き残っていけない。

あと、これは私が自分が言ってもらったみたいに嬉しかったところなんだけど、発信する時に「自分が面白いと信じることを継続すること」。これはなんだかとっても嬉しかった。津田さんの言うとおり、本当にそれが結果的に強みになる。「これをやっていくんだ」という自負も形成される。いやホントにそうだ。私もなんだかんだ長くやってきて、最近やっと本当に自分のやりたいことがやれるようになってきた。まだまだだと思うことも多いけれど、でも長くやっているということは私の自慢でもある。

ネット上の実名主義について。津田さんは実名主義者ではないが、実名でやる人にメリットがある時代になってきたと感じていると言う。これはもちろんそうだ。私などは、あきらかに仕事のためにブログやらFBやらをやっているわけだから、この部分は超共感。楽しくて、しかも仕事の役にたつ。このメリットは非常に大きいし、はっきりいってハンドルネームでネットやっても、まったく意味がないのだわ。ファンクラブやってるわけじゃないんだし。

しかし先日ミュリエルとも話したけど、音楽業界はホントだめだね。業界人が集まればいかにビジネスがよくないか、という話題ばっかり。ミュリエルと一緒に吉祥寺のパルコや丸井に入れば、そこは物を売ろうというパワーにあふれ、お客さんも買う気満々だ。マッサージに一緒に行けば、次いかにリピートしてもらえるかという努力があちこちにほどこされている。レコード会社のリリースが少なくなり、音楽雑誌が廃刊になり、不景気でチケットが売れなくなり、辛い辛いというが、ちゃんときちんとこの恵まれたソーシャルメディアの時代に私たちはすべてをちゃんと活用しているのか? 本当に真剣に考えないといけない。自戒もこめて。

というわけで、ウチのホームページやら、FACEBOOKページやら、ブログやら何やら、2月中になるべく大きく変えたいと思っているところ。2月をのがすと、また夏までバタバタだもんなぁ…。うん、頑張ろう!

とにかく何か自分のやりたいことを実現したいと思っている人、必読です、この本。まさに表紙にあるように「発信しなければ、得るものはない」。あなたがあなたの気持ちを発信しなければ、自分の望む世の中にはならないし、ましてや自分のやりたい事は実現できないわけです。フリーランスとか自営業の人は、特にうなずきまくりの内容だと思う。