Nothing's gonna change my world

あれから1年。あの日、私は当時、4月にオープンするON THE SHELF TVの打ち合わせで恵比寿に来ていた。帰宅難民になって歩いて帰宅したが、それ以外は別になんということはなかった。日常の平穏を破る普段と違う1日になったにすぎない。その当時の日記など読み直してみると、なんというか自分らしいというか、私はそんな自分が大好きだという結論(笑) そして良いことに仲のよい友達とはさらに仲良くなった。あの状況下で来日してくれたマーティンとデニスと日本のファンとの絆も深まったと思うし。そして私は自分のやってきた事は正しいんだと再確認した。こんなんじゃ自分はいつまでたっても成長はないなと思いつつ、やっぱりこれで良いのだという結論だ。

後悔することがあるとすれば、家を片付けることがなかなか出来なくて、最終的に引っ越しをするまで完全には片付かなかった事。今も引っ越し後、開けてないダンボールが山積している。これは改めないといけないと思う。片付ける時はすぐ片付ける。ただ目の前にいつもエキサイティングな仕事が転がっているので、ついついそっちから着手してしまう…自営業が持つ弊害かも。ついつい楽しい方の仕事を優先してしまう(笑) 今年(去年)の経理作業はぐーたらぐーたらやっていたおかげで1ケ月かかった。本当なら集中力で3日で終わらせるものを。あれはいけなかったな。超反省だ。

何はともあれ仕事があるのは本当にありがたい。私の仕事は明日の保障はないが、私が仕事を辞めるといわないかぎり永遠にそこにある。ある意味強固でもあり、不安定でもあるが、この仕事が私をささえてくれている。毎日充分真剣に生きているから、明日死んでもあまり後悔はないな。時々必要以上に8時間以上寝てしまったり、ランチ食べたら眠くなってお昼寝したら3時間たってたとか、そういう細かい後悔はあるけれど。頑張る時はもう寝ないで頑張るとかしょっちゅうだから、そういうところはついつい許しちゃう。

自分で決めた人生だという自覚があれば、あまり後悔はない。昨晩また教育テレビでやってたコロンビア白熱教室「選択の科学」アイエンガー教授も言ってたなー。自分で決める人の方が幸福度が高いんだって。

今、同じ地震があっても、また去年の自分と同じ事をしただろう。あの震災は多くの人の人生を変えたというが、実際の福島や被災地の人と比較したら、本当にそうかなと思う。私にとっては何があっても自分は自分なのだということを確認しただけに過ぎない。1年前のあの頃、友達と会ってご飯を食べてばかりいた。幸いにも私の友達は、みんな考え方とかが自分と似ているから(普段から友達選んでるからなー)、おかげ様でこの「有事」にあって友達をなくすということもなかった。友達は皆、意見を言うにしても、ボランティアに参加するにしても、デモに参加するにしても、みんな自分らしかった。普段私が追いかけているネット上のリーダー的な存在の人たちも、最初混乱があったものの、みんながそれぞれ自分らしくあって良かったと思う。好きな人はうんと好きになったし、嫌いな人はうんと嫌いになった。小さい人はますます小さくみえ、大きい人は本当に大きいなと思った。


今、田原総一郎さんの「朝ナマ」の討論を聞きながら仕事をしている。こういう場に出てきた細野大臣はすごいと思う。自民党時代には考えられなかった。河野太郎さんもすごく勉強していて本当に心強い。たぶん原発は止まるね。時間はこんなにかかってしまったが、結果なしくずしに止まるだろう。私も変わらんが、日本も変わらない。日本は自分で考えて意見を戦わせて、結論を導き、自分で前に進むことが出来ないイヤな国だと思う。そして不満を言ったり他人を批判したりする事については一人前だ。好きな漫画からの受け売りなんだけど、不満とは「何もしない人の意見」だ。おそらく原発はなくなる。でもそれについて、自分で決めて自分で出した結論だという確固たる自信は得られないままに進むのだろう。事故があったとき「もう速攻で止める」と、全電力会社が速攻で判断するか国会が法律を通過させ速攻で止めたら、今の日本はもっと自信のある幸せなものであっただろう。だから日本はずっと不幸だ。自分で決めた感覚がないから、幸福度も少ない。そして、これからの事も自分たちで決めて行こうというする時の自信や勇気すらない。人口が多いのがダメなのかもという事で最近感じている。そうこうしているうちに次の地震は必ず来る。そして原発はとまっても使用済みの核燃料がそこにある。

でもここを見てくれているウチのお客さんとか、私の友達とか取引先さんなんかは、みんな同じ気持ちだと思う。こういう音楽、自分で「良いものを見つけた」という自覚がなかったら、わざわざ観にこないよね(笑)。周りの音楽ビジネスが衰退して行く中で、私たちはなんとか生き残っている。まぁ、もともとビジネスのサイズが小さいってのはあるけど、それが極端に減ったとは感じない。お客さんは本当に熱心にコンサートに来てくれている。CDの売り上げは激減だが、それは震災や景気が理由ではない。これは時代の流れである。そして音楽業界の仲間たちもそんなウチを温かく見守ってくれて、たくさんの応援をいただいている。本当にありがたいことだ。


ってなわけで、何が言いたいかというと、私は元気だということです(笑)。それにしても山口美江さんが一人暮らしの部屋で突然なくなって、別に何日も放置されたわけでもないのに「孤独死」とか報道されて、うーん、世間じゃそういうのを悲しいもんだと思うのかとちょっとがっくし。死に方でその人のすべての人生をジャッジされたんじゃたまったもんんじゃないよね。私もそうなる可能性高いし。その人が生きていた時の幸せ、すべてを全体的に評価してほしいと思う。

1年前の今日亡くなった人が多いという事も念頭にそんな事を考えたりしている。その人が周りの人にあたえた幸せとか、優しさとか、笑顔とか、そういうもの。また亡くなった人だからと言って全部肯定するようなこともしたくない。

私は強くてドライな人間なんだろうな。最近それをすごく自覚している。現在はポール・ブレイディの来日公演が終わって、抜けガラ状態。それでも仕事があるから、前に進む…と強がってます。普通の人だったら、こういうの耐えられないだろうと思うくらい寂しい。ホント死ぬほど辛い時がある。失恋の「ぽっかり度」に似てる。もっともここまで仕事にのめり込むことができる私は相当幸せだとも思うし、この幸せと寂しさはバランスなんだなと思う。ホント神様は平等だわ。あきれるくらい(笑)

昨日、今日とスヴェングの公演に伴って行われる「北とぴあフィンランド祭」のホームページを鋭意制作中。楽しいフィンランドの写真がたくさん。提供してくれたコンカリーヨの高橋仙人に感謝