マイケル・ジャクソンが死んでも、ホイットニーが死んでも、まったく特別な感情が湧かなかった私であるが、今日のニュースはショックだった。
そうか、ジョニーさんが亡くなったのか。私がもっとも多くライブに行った日本人アーティストはJL&C。そしてPINK CLOUDだ。チャーのファンではあるが、チャーのあらゆる活動のうち圧倒的に好きだったのはトリオで、本当にライブには良く通った。チャーの他のユニットやバンド、ソロやBAHOにはあまり興味がなかった。でもPINK CLOUDだけでも50回は通ったんじゃないだろうか。
今、こうしてライブを自分で作るようになった今にして思えば、あのライブはひどい環境だった。芝浦のインクスティックはいつもソールドアウトで、あきらかに定員以上詰め込んでいた。ものすごい混み混みの会場で、チケットは高額で、スタンディングで開場から開演まで1時間以上待たされた。そして江戸屋で作るグッズを、よくまぁ買った(笑)。生涯一番お金を使ったアーティストは、おそらくビートルズ、そしてPINK CLOUDだろう。自分のロックのルーツがここにある。本当にPINK CLOUDはかっこ良かった。
実は20代の半ば私は「江戸屋に来ないか」と誘われたことがある。ちょうど会社に入って1年目で、あまりの意味のない仕事に辟易しながら,私はラジオ局に宣伝のために通っていた。そこで江戸屋の人が、私をみて誘ってくれたのだった。
かなり心がゆれたが、それを止めてくれたのは当時、島田歌穂さんのマネージャーをしていた中川さん(今でも会ったらお礼を言いたい!)のひと言。「あなたのことを本当に必要としているのだったら、絶対に待ってくれるよ。あなたも“誰でもいいから誰かいないかなー” “あの子なら取りあえずラジオで即戦力になるかなー”くらいで行くのはイヤでしょう」と。
あれには本当に感謝している。だから私は当時はじまっていたメアリー・ブラックを引き続きプロモーションし、そして来日まで持っていくことが出来た。そして今まで一緒に歩んで行くことが出来た。チャーよりもメアリーに縁があったんだね(笑)。
江戸屋はそれからBMGと契約し、私が見てもなんか違うなーという動きをみせたあと、なくなってしまった。今は昔の音源をバウンディあたりから配給しているみたいだけど、詳しいことは私ももう追いかけてないので分からない。
チャーは天才だが、やっぱりジョニーさんであり、もちろん加部さんの存在があり、そういうPINK CLOUDが大好きだった。PINK CLOUDではチャーは単なるギター小僧で、やっぱり加部さんのすごみや、ジョニーさんの包容力にはかなわなかった。
こうして見るとアーティストが本当に輝く時期って短いと思う。ましてや、それが私みたいな偏屈なリスナーと偶然にも持っている時間が交差して、一緒の時間を少しでも過ごせたなんてホントに稀だ。
最近のチャー氏はどうしているんだろう。最近のチャーは若い人たちに「さぁ、チャーさん、どうぞ〜っっ」って担ぎだされるような活動が多い気がして、それはロックミュージシャンのあるべき態度とは違うと思われて、私は興味を失ってしまった。FBとか見ているとライブはやっているようだけど、よく分からない。いずれにしても、もうこのトリオではないし、このトリオは永遠に復活することがないということが今日確定したわけだ。
それにしても私のトリオ好きはここから来ているね。ラウーといい、ヴェーセンといい、3つの音は同等に鳴り響くトリオは最高だ。音が4つになると、もういずれかの音が聞き逃されている。人間は3つの音しか同時に聞けないらしい。3つの音が同等に、同じパワーで、押してくる。そんなトリオが大好きだ。
ジョニーさん安らかに。もう一度PINK CLOUDを見たかったな… ま、でも後悔にないわ。そりゃ、もう何度も何度も観たから。最後に見たときは武道館で、セッションみたいな演奏を延々とやってたが、私にはまったく理解できなかった。あれには何の意味があったのだろう。ジョニーさん、安らかに。そして本当にありがとう。