荒川土手で拾ってきた根っこだけのクローバーが 3ケ月でこんなにでかくなった。 |
そんな中、チーフタンズのパディ・モローニが来日し元気いっぱい帰っていった。川島さん、プランクトンの皆さん、関係者の皆さん、本当におつかれ様でした。日本にアイルランド音楽のシーンがこれだけ根付いたのは、皆さんのおかげとしか言いようがない。そんな中で私もそのおこぼれで生活をしている。
UP LINKでのトークイベント(ここで中継テキストまとめてます)では過去の来日が紹介されて、懐かしい映像を見ることも出来た。それによると私は95年からチーフタンズのお手伝いをしていたことになる。最初の担当はロリーナ・マッケニットだった。今からだと考えられないことだが、ロリーナは相棒ブライアン(ギタリスト)をともない、スタッフも連れずにたった二人でやってきた。「マスク&ミラー」発売当初で、ホントにプロモーションに力を入れていたのだと思う。私はプランクトンさんに頼まれ,ラッキーにもそんなロリーナのお付きを担当した。当時の自分はあまり仕事が出来ていた記憶がないので、VIP担当をふってくれた川島さんには本当に感謝している。来日したロリーナはチャキチャキと、いつもバックステージでカナダのオフィスと電話(当時は電話だった)をしていた。いつもステージに出る直前まで仕事しているくせに、ステージにあがるとなると大きな赤い髪の毛をチャッチャと手ぐしで大雑把にとかし、ステージに優雅に出て行くロリーナが可笑しかった。
当時のロリーナのレコード会社さんはあまりプロモーションに協力的じゃなかった。私はロリーナの事前プロモーションも担当したわけなのだが「レコード会社さんはカセットも充分にくれないしジャケット写真もまるでたりない(当時はどちらもデジタルデータじゃなかった)…これ本人に言っちゃっていいですかね?」と川島さんにグチったらオッケーをもらったので、ある日チーフタズのサウンドチェックを待ちながらロリーナにちらっと言ってみた。
大きなレコード会社って、普段は何もやらないくせに、アーティストが来日となると火がついたみたいに世話をやくのが標準なのであるが(笑)、当時のロリーナのレコード会社さんは取材のブッキングすらろくにしてくれなかったように記憶している。仕方がないので私がロリーナのスケジュールを埋めるべく、English Journalだったか何だったか英語学習みたいなマイナー雑誌までブッキングした。その写真撮影で、ロリーナがやっぱり「今までチャキチャキしゃべっていたのに」いきなり優雅にポーズを取るのを見てホントにおもしろいなーと心の中で思った… というのはさておき、何もかもそんな様子だったので、ロリーナにそのことを話したら、ロリーナはそのことを本社にクレームするのすら、もうイヤ!と言った様子で「そういうのは相手にしなくていい! すべて私に言いなさい!」ときっぱりと言った。
ちなみにレコード会社さんのフォローをしておくと、おそらく同じ社内でエンヤとか一所懸命やってたから同じケルト系のロリーナをやる余裕がなかったんだろうと思う。ま、エンヤとロリーナじゃだいぶ違うけど、全世界的にそういう傾向なのよ、とロリーナは言っていた。
その後、シベリア経由(笑)で、帰国したロリーナから大量にプロモ用のCDやら写真やらが箱で届いたのは言うまでもない。それに綺麗なピンクのお花のアレンジメントまでいただいた。懐かしいなー。
というわけで「マスク&ミラー」より。ホントに素敵なプロモ映像。姉妹が同じ男を争って、どっちかがどっちかを湖につきおとし、死んだ霊が白鳥になって…という伝統音楽ではよくあるモチーフのロリーナ・ヴァージョン。
そのあと、私は自分がたちあげたレーベルで、ロリーナの旧譜を預かるようになった。その実績が認められ、ワーナーを離れたロリーナが新譜(といってもライブ盤だが)「Live in Paris and Tronto」を任せてくれたのだ。インディー流通だったが、なんだかんだで5,000〜6,000枚くらい売れたと思う。もちろん時間もお金もかけてプロモーションしたのだが、当時1ケ月1,000枚も売れれば、自分の生活と事業が充分なりたっていたので、この数字は本当にありがたかった。
そんな風にすべてがつながっていく。それが仕事だし、自分の進む道だと思うが、今考えても「あの時、こうしてなければ」みたいなことが本当に多いんだよねー。不思議だよね。これを縁と呼ぶのだろうか。ケルト系のアーティストは、特にそんなところがある。これもケルトのスパイラルのなせる技か…
それにしてもこの夏はいろんな事があった。ちょっとした新しいプロジェクトを手伝うこともあったのだが、これはこれでなかなか興味深い状態になっている。世の中にはホントにいろんな人がいるのだな、というのもこの歳になって初めて学んだような気もしている。一方で、「この夏やるべきこと」リストはまるで消化できていない。ホントウにやばい。