2012年10月27日土曜日

映画「思秋期」を観てきました



昨日偶然情報を見つけ、思わず見にいってきました。「思秋期」原題Tyrannosaur。

ダブリナーズのホームページに載っていたからアイルランドの映画かと思ったら、設定は北イングランド。シューティングはリーズとかで行われたらしい。でも「俺たちケルト族」なんて言ってるところから、アイリッシュ系の連中だね、これは。まぁ簡単なストーリーはここを読んでもらうとして、最初からFワードの連続で、とにかくひどい世界なのだ。最初から犬を殺しちゃうし…。でも、結論から言うと、私はこの映画が大好きです。

監督は新人だそうだが、いや、すごい。これはケン・ローチの世界だわ…。とにかくめっちゃパワフル。人間の弱さを描いた。そして、なんといっても俳優陣が良い! 主演の男性、そして女性とも圧巻の演技である。脚本も丁寧で繊細で、すべてのセリフや設定に無駄がなく、ホントにすごい映画だと思った。

不器用に生きる人たちを超リアルに描きだし、そしてなんとなく希望が持てるエンディングへと流れて行くという、まぁお決まりの流れなんだけど、とにかくパワフルな映画。

そして劇中流れてた、この曲がめっちゃ良かった。今、ダブリンでもっとも人気のあるシンガー、ダミアン・デンプシー「Sing all our cares away」。すごくいいシーンで使われ、印象に残る1曲。歌詞がすごく良い。



まさにこの映画については、ピーター・バラカンさんのコメントがすべてを簡潔に語っている。ここで読めます。いろんな人がコメント書いてるけど、ピーターさんのが一番的を得てると思う。

  「時々目を背きたくなるような絶望的な話にもかかわらず、
   演技の素晴らしさにぐんぐん引き込まれます。
   見終わった後不思議と力が湧いてくる必見の作品です」

なるほど!

一つ気に入らないことがあるとすれば日本語タイトルかな…「思秋期」。中年の恋愛ごとという風に売りたかったのだろうが、これは恋愛うんぬんよりも不器用に生きる人びとの、さらなる不器用な未来ってところだと思う。最後見つめ合う男女の視線に穏やかなものが感じられ、なんとなくホッとするし、映画のエンディングとしてはすこぶる正しいわけであるが、実際この二人が一緒に暮らし始めたところで、前途はめちゃくちゃ多難だろうな…なんて意地悪く思ったりもする。

それにしてもDVとか、最近の洗脳殺人?のニュースもあるように。こういう「負の力」って怖いよなーと思った。主人公の一人ハンナもそうだが、いったんそういう「負の力」とか「罠」にはまってしまうと、何が正しい事なのか客観的に判断できなくなる。そしてその「罠」の中で、自分の感情を暖めて、人間はいつの間にかそれを自分の一部として固定してしまうわけだ。そんな必要は一つもないのに! もっと人間は自由な存在なのに!

そして実は最近読んだ本を思い出した。1つは「人を嫌うということ」そしてもう1つは「モラル・ハラスメント」

「人を嫌うということ」についてはすごく期待して読んだのだけど、最初の著者の記述で「実は私は妻と息子に憎まれていて」というところでドン引き。そして「嫌い」という感情を分析していくのであるが、どうも私にはピンとこなかった。こんなに人を嫌ってたら疲れるだろうに、なんて思ってしまった。暇なのかな、この人たち、とも思ってしまった。映画観てても思った事だけど、私がドライすぎるのか、自分の以外の他の人はこんなに感情が激しいものなのか…考えてしまったよ。私も相当感情の激しい方だとは思うんだけど、でも幸い、こういう方向には気持ちは行かない…かな。

だいたい嫌いなのに家族でいるということがまったく理解できない。特に週末の夕方ベランダの戸を開け放していると聴こえる足立区在住の家族喧嘩のものすごさよ…(笑) こういってはなんだが、これだけ「嫌い」という感情をあたためているのにも、ある意味体力がいることであろう…。私には、ちょっと理解できないなー。それだけ私が幸せだってことかな。まぁ、嫌いでも一緒に生活しないと食べていけない、とかあるんだろうが… それにしてももっとすっきりする方法はあるだろうに、と思ってしまう。人生、人を嫌って生きるには短すぎるよ!

もう1冊はこの夏読んだ「モラル・ハラスメント」。実はこの夏とある事業をボランティアで手伝っていて、ちょっとしたモラハラを受けた。ボランティアでやっているのに!ですよ! といっても、私のことなので、すぐにそこからは撤退し、事なきをえたのだが、これだけ自分に近いところにモラハラが存在するのだと、ある意味この歳になって、新鮮にびっくりした。で、迷った時の勝間和代「断る力」ってなわけで(笑)、またもや「断る力」をもう一度読んでみたら、勝間さんが、その中ですごくいい本を推薦していた。それがこの本。まさにタイトルも「モラル・ハラスメント」。読んでみたら…いや、もーそりゃー納得いく記述の連続だった。それにしても、すごいよねぇ、世の中のほとんどの問題はえらい学者の先生が本を書いて研究しているわけだから。

この本では、いわゆるモラハラする人のことが丁寧に分析されている。モラハラする人は、実は相手のことが羨ましいからするのだと…。そしてあまりにナルシストであるがゆえに、人が自分より優れている、そして自分が人より劣っているのが認められない、許せないからモラハラをするのだそうだ。そういえいえば、なんとなく私のケースでも心当たりがある。

この映画に出て来た旦那もそういう感じだよね。そしてDVと抱きしめることを交互に繰り返す、と本に書いてあったのも、その通りだ。映画では、いや、これ、普通に考えたらありえんだろう!!!みたいなシーンまで出てくる。

そして残念ながらモラハラする人は一生なおらない、と本にあった。犠牲者がその人から遠ざかっても、また次の獲物を見つけてモラハラするのだと… そして被害者側はとにかく、とっととその人から離れるしか状況を改善の方法はない。それを冷静に判断できなくなれば、その「罠」にはまり、その状況は自分の一部になり固定化される。おかげ様で私の場合は、周りの理解もあって、一瞬にしてその人から離れることが出来たから良かったのだが、きっと自分ではモラハラ(そしてパワハラ、セクハラ)だとは気づかずに被害にあっている人は多いんじゃないかと思う。そしてその状況から抜け出せないまま、悲しい気持ちを暖めているうちに、それが日常化してしまった人も。

日常のそうした「罠」はほんの些細な所に待ち構えている。そして、それが当たり前だと思ってしまうと、一生そうやって生きていくしかないわけだ。まったくもって怖いよね…

何度かこのブログでも紹介している名著「自由をつくる、自在に生きる」に書かれていたように「自由とは常に注意してないと、すぐ失ってしまうものなのだ」ということだ、つまりは。干渉してくる他人からの自由、そして自分自身の思い込みや固定観念からの自由……いや、ホントに素晴らしい本だと思う。あの本、人にプレゼントしちゃったんで、自分の手元にないけど、また買って読もう。

それにしても自分の価値観のもと、自分が幸せに思う立ち位置をみつけて、その場にいられるというのは、なんと幸せなことかな、といつも思うのである。そうじゃない人があまりにも多すぎる。でもそういう人たちに言ってあげたい。あなたが何かの負のスパイラルや感情にとらわれていたとしても、そこから逃げ出すのは、実は思うより難しいことではないんですよ、と。

と、話はだいぶ飛んだ。でもこの映画いいですよ、ホント。いろいろ考えさせられた。










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