さて、そんなわけでユキさんは忙しいだろうから、ということでご本人には会わず、自分はとっととその場をあとにして六本木のギルバート・オサリヴァンのライブへ行く。
ちょうどギルバート・オサリヴァンの大阪公演はポールの京都と重なっていた。「お客さんどっちに行くか迷ったかな」とポールに言ったら「絶対にノー!」なんてポールは言ってたけどね(笑) まぁね、私もそう思う。
最終日のセカンドセットということで、こちらの御大も気合い十分。前回みたときよりも数倍良い公演だった。最後はピアノ椅子の上に立ち上がって大熱演。そういや御大の「ヒット曲はみんなレコードと同じアレンジを聴きたがるから」「でもこの曲は冒険してみたんだ」と言って紹介された「why oh why」。ちょっと先日のポールとの会話を思い出したりしてみた。そうヒット曲は、アーティストではなくお客さんのものだからね…
実は今日この公演にいったのは、私のアイルランドでの親友とも呼べる二人のミュージシャンが参加していたから。一人はギターのビル・シャンリー。ビルの「アローン・アゲイン」の、アタック感のあるアコギ・ソロ良かったねぇ! 実は私はダブリンに部屋を借りていたことがあって、一番最初の家主はビルだった。ビルが一軒家を買って、そこに間借りしていたのだ。というか、ビルが家を買ったと聞いて、そこなら大丈夫かな、ということで部屋を1部屋借りたのだ。借りた当初の予定では1年のうち60日はダブリン在住を目標にしていたのだが、私の仕事はちょうどその頃からアイルランドよりも北欧へシフトしていき、当然出張も北欧方面が多くなった。だから月々家賃を払っていたものの、全然行けなかった。そうこうしているうちビルが家をまるごとファミリーに貸したいということになり、私はビルの家を出た。そして次にお世話になったのがドラムのロッドの家だった。しかしビルにしてもロッドにしても、ツアーで家にほとんどいないのだから、私はダブリンに行くとだいたい大きな家で一人で生活していた。で、合計でなんだかなんだで5年以上は部屋を持ってたと思う。結局年間1週間から2週間くらいしか居ることができず、ついにそれを引き払ったのは3年くらい前かな… でも、またいつかハウスシェアしたいなぁと思う。特にロッドのキッチンは道具が豊富に揃っていて、料理したりDVD観てウダウダするのが楽しかった。東京にいてもダブリンの家の鍵を持ち歩いて、自分の居場所があそこにあるのだ、と思うことが嬉しかった。
このギルバート・オサリヴァンのツアーはシンガポール、大阪、東京というツアーだったらしい。ビルは直前までロンドンでレイ・デイヴィスと仕事をしていた、と言っていた。(オリンピックの中継でレイ・デイヴスの後ろでギターを弾くビルの勇姿をみた人も多いはず)また最近はフランシス・ブラックのアルバムをプロデュースしたらしく、それが先週だか今週だかTOP10に入った、といってフランシスからテキストが来たんだよ、と言ってた。そしてモーラ・オコンネルともコンサートやったんだよー、と言っていた。ちょうど私がダブリンにいたTemple Bar Trad Festの時だったらしい。残念。ちょっと努力すれば会えたかもね…
そして話題はもちろんポール・ブレイディについて。ビルはポールのバンドにも入っているので、よく知っている。ビルもすごく言っていた。あの音楽に対するパッションはホントに普通じゃない、って。ビルみたいに、これだけいろんなアーティストと一緒に仕事をしている人でも、あれはホントに尋常じゃないと思うらしい。
私もそうだけど、ポールと仕事している、って言うと大抵の人からは「大変でしょ?」「いやな人でしょ?」って言われるんだけど、全然そんなことはない、ってビルは言ってた。「僕らは同じフットボールのチームみたいなもんだ」とビル。まさにそのとおり。ポールは理不尽なことは絶対に言わないし、ものすごく頭がいい。そしてあの情熱はホントにホントに素晴らしい。単に「プロフェッショナル」とは片付けられない、ほんとにすごいものがある、ってビルも言ってた。
一方のロッドだけど、なんと昨年は1年間ヴァン・モリソンやってたんだって! 最近のヴァンは超高額チケットで狭い場所やホテルでやったりしているので、あのヴァンがやってる最近の小さい公演シリーズってどう?って聴いたら、それがすごく成功しているらしく、本人ご機嫌で、最近じゃちゃんとリハーサルもサウンドチェックも真面目にやっているんだよと言っていた。フォーン二人を含む7人バンドでヴァンをバックしてたらしい。ううううう、観たかったよ!! そういう状態のヴァン!! 次、ロッドはいつ参加するか分からないと言ってた。うーん、ヴァンのコンサート、また久々にチケットをチェックして行ってみるかなぁ。っていうか、うまくすれば日本にも来てくれるんじゃないか、と思ってしまう。
それからロッドいわく、私が居たあの家は、昨年までホントに誰もいなくて、ロッドがヴァンのツアーに出ちゃうとずっともぬけのカラになってたのだけど、今年から家族で入居してくれる人が見つかった、と言っていた。懐かしいなー あの部屋。ホントに気に入っていたのだけど。そうやって考えると、いろんなことが、いろいろ起こるのも、ホントにその時だけのレアな瞬間だけなんだな、ってすごく感じる。
そんなわけで、懐かしい二人とも旧交をあたためることが出来てハッピーでした〜。