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2013年5月21日火曜日

映画「ビル・カニンガム&ニューヨーク」を観てきました。これはもう最高!

いやーーーーホントに良かった。この映画。まぁTwitterでも、個人ブログでも、ちょっとググれば絶賛の嵐だよね。いや、ホントに感動だった!

主人公はニューヨーク・タイムズのファッション担当フォトグラファー&コラムニスト、ビル・カニンガム。彼はもう50年以上もこのページを担当してきたニューヨークのファッションの生き字引みたいな存在。ヴォーグの編集長に「ビルに撮られるためにみんな着飾る」とまで言われる84歳。今でもばりばりの現役。自転車に乗って街へ飛び出し「ファッションはストリートにある」と写真を撮りまくる。

見た目はホントに冴えないおじいちゃんだ。青い上っ張りをきて首からニコンのカメラをさげたビルはパリへも行く、ビルを知らない若いスタッフからは邪見に扱われるが、奥から別のスタッフが現れて「一番偉いお客だ」と案内されたり… もう各エピソードが最高なのだ。

セレブのパーティへ出かけて食事やワインを薦められるが、ビルはいっさい手をつけない。貧しいコンビニご飯みたいなものをニューヨークタイムズの事務所のテーブルで食べてから、パーティへと出かける。「ニューヨークタイムズの看板を汚せない」みたいな事を言っていた。かっこいい。ビルの机の上は、セレブのパーティやら何やらの招待状が山のようだ。

でもなんとビルはカーネギーホールのお風呂もキッチンもない狭い部屋に住み、本当に質素に生活している。

それにしてもビルの言葉がホントにいい! いいなぁ、メモりたいなぁ、と思って映画を観ていたら、終演後に買ったパンフにビル語録が付いていた… これは嬉しい!

カーネギーホールの長く住んだ住居を追い出されることについて
「こんなことに人生の邪魔はさせない」(オレも言いたい! こんな風に! 困難に出会ったらこう言いたい!)

「自由より価値のあるものなんかないよ」

「正直でいることは風車に挑むドン・キホーテだ」

「“混乱を極め問題を抱えた社会で、ファッションがなんの役に立つ? 事態は深刻だ”と。だが…ファッションは鎧なんだ。日々を生き抜くための。手放せば文明を捨てたも同然だ。僕はそう思う」

この映画の撮影スタッフは8年かけてビルを説得し、2年かけて撮影、編集作業を行ったそうだ。だから足かけ10年の仕事ということになる。監督曰く「ビルは撮影されることを嫌がってはいても、仕事にたいする我々の姿勢を次第に尊重し、理解をし始めてくれ」 うん、そういう信頼関係がビシバシと画面から伝わってくる。いいよー この映画!!

パリで安い労働者が入るみたいなカフェでビルは撮影クルーに言う。「毎晩こんな食事ですまないね」と。でも食べ物にはホントに興味がないんだ、とビルは言う。「コーヒーは安いほどいい」って(笑)そのくらい質素だ。

自分の受賞パーティ(in Paris)で、なぜかいつものように青のうわっぱりを着て写真を撮るビル。「これは仕事ではなく喜びだ」と。ああああああ、なんて素敵なんだろう!

そして! ニューヨーク・タイムズすごい。ニューヨークすごい。これはそういう映画だ。ダブリンの街を一番良く表している映画が「Once」ならば、ニューヨークはこの映画みたいな街なのだ、と私は思う。私はだいたいアメリカは嫌いなんだけど、ニューヨークに始めていった時の興奮は覚えている。「この街はすごい」と直感した。その頃のニューヨークは治安もあまり良くなかったけど…。そしてそれまで会ってきた英国やアイルランドと違ってMusic Businessの渦中にいる人たちはみんなかっこ良かったし、めちゃくちゃエネルギーに溢れていた。女の人もスーツ着て、ヒール履いてた。せっかくだからチェルシーホテルに泊まったが、それも、めちゃくちゃそれも格好よかった。(とか書いてたら、今チェルシーホテルは閉鎖されたようだ

ニューヨークの懐の深さや、そしてニューヨーク・タイムズの凄さを改めて見せつける内容になっていると思う。媒体の弱体化が叫ばれる今日このごろ、自分でDTP出来ない、デジタルが使えないようなジイさんを雇っている事は日本ではありえないだろう。(これって先日の代官山のやせ我慢にも通じる! でもこうでなくちゃいけないのだ、人間は! そしてそこから素晴らしい、ほんとに価値のあるものが生まれるんだから)

もう超感動しまくり。ちょうどツアーが終わったばかりで「仕事っていったいなんだろ」って思っていた私の心にヒビキまくり。ホントに素晴らしい映画だった。

そして今日もビルのレポートは続く。ビルのレポート、最新版はここで観れるよ。



ただこの内田裕也さんのトークはちょっと?? だいたい布袋も矢沢もロックじゃないし。

ところで昼間からこんな豪華なフレンチを食べていた私は、ビル御大に比べるとなんて不幸なんだろう…と思った。仕事に不満があるから、こういうものを食べるのかも…不幸な女は肥る…ちょっと当たっているような気がする。ツアー終わりはいつもこうだ。でもミュージシャンと食べてもとせっかく美味しい場所にいってもあんまり味がしない。

でもって、アメリカ同様フランスも嫌いな私だが、こういうカジュアル・フレンチ好きなのよ。麻布十番のプチ・トノー。これにパンと飲み物2種類(ワインも頼める食前のドリンクと、食後のコーヒー/紅茶)ついて1,800円。