「求道会館編1」より続く。
MP:求道会館の事を紹介した英語のページを見つけたので、それをウーロフに見せたら、ウーロフは隅から隅まで読んだらしく(笑)すごく喜んでた。これは面白い!って。ニッケルハルパの音はおそらくここでは最高に良いでしょうね。
W:あぁ、そうかもしれないですね。ニッケルハルパの構造の美しさというか、機能美ともよくあいますね。時空を超えた様式の混在のようなあり方も、ニッケルハルパ、ヴィオラ、12弦ギターの組み合わせとも通じるように思います。
求道会館は様式美の組み合わせであるだけではなくて、技術的な側面も見ることができるんです。この建物って櫓(やぐら)を組んでいるというか、三角屋根の付け方が、面白いんですよ…
「面白い」という言い方しか出来ないのは何故かっていうと、あんまり前例がない作り方をしていて、小屋組がちょっと面白いんですよ。小屋組をそのまま見える形で作ってあって、そっからライトが吊り下げられているんですけど、雰囲気としては屋根をみると、ヨー ロッパのどっかの大きな酒場みたいな感じもあったりするでしょう?
MP:確かに! ビアホールとか!? あと北欧の木造の教会にちょっと似てると思った。建物へ入った感じとか…
W:どうしても木造の建物でスパンをとって柱を作らないで作るとなると、屋根の組み方はああいう風になってくるんですよね。
MP:あ~なるほどー
W:これはかなり珍しい組み方してるんですよ。
MP:確かにアサヒ・アートスクエアみたいに(このインタビューは4月のアラマーイルマン・ヴァサラット公演直後に録った)、渋谷のクアトロやデュオみたいに邪魔する柱がないですもんね! そっかー。
W:天井にトラスを組んでいるんですけど…。トラスつまり三角形の形にすると、力が綺麗に分散をされますから、うまい具合に行くんですよ。ただ三角屋根の力って、壁を外側に倒しちゃう力がかかってるんですよ。
MP:へぇ~っ。
W:だからそのままにしてると壁がパタンと外に向かって倒れちゃう。ドリフターズみたいな…漫画みたいですけど!(笑)
ただこの建物は、すごく面白くて、ここにゴシックが出てくるんですけど、ヨーロッパのゴシック建築っていうのは、キリスト教の教会堂をどんどん高くしていくときに、どうしても背を高くすると壁が外に倒れる力がすごく働くんですよね。
それをどう止めるかっていう時に、外から内側に向けてですね、 リブのように何本もつけることによって、外に倒れないようにしていくんですよ。そういうのと同じスタイルのものが、求道会館の壁面にも見られるんですね。ゴシック的な柱がリブのように何本もくっついているっていう…
MP:なるほどー。
W:でも、正面みるとロマネスク的なアーチがあって、よくよく見るとすごいシンプルで…シンプルということは、つまりモダニズムに近づいてくるんですが…、そんな時代の… ウイーン・セセッションなどの影響も受けてる。
武田五一という人は、日本でいろいろデザイン活動していたわけですけど、あるときヨーロッパに留学をするわけですよ。そのときにアールヌーボーをみたり、セセッションをみたり、最先端のものを見て帰ってくる。それを日本にどう根付かせるかという事で、いろんなものを作るわけです。求道会館でも目を凝らすと、建物のあちこちにそういうものが見えてきます。
これが東大の正門 |
W:そうですねー。東京大学の正門前を目印にするのが一番分かりやすい来方だと思います。赤門ではなく正門の方。門の奥に安田講堂が見える方。正門前の道を正門と反対側に、安田講堂から遠ざかるように歩いてこないといけなくて、そうすると、珍しい道があるんですね。
MP:えっ、またなんかあるんですか?
W:三角形の広場のような道があるんですよ。
MP:あっ、ある、ある! ありますね。そこ通ったな。
W:ここで道がいろんな方向に向いてますから、それをちゃんと右に曲がる。ちゃんと右に曲がれば、左にいやおうなしに目立つ建物があらわれる。「なんでこんなところにロマネスクの教会がっっ!」みたいな…
夜の求道会館はこんな感じ |
W:前は工場ですから。
MP:そうでしたっけ。ここはホントにスペシャルですよね。
W:本当にキリスト教の教会にしか見えない。
ヴェーセンの公演はもうすぐ。東京の求道会館は5月17日(金)19:00開演。ぜひこの歴史的建物での貴重なヴェーセンの公演をぜひぜひ体験ください! 詳細はここ。
ご来場の方、道に迷わないように〜 地図を再度貼付けておきます(笑)
今朝、田中みどりさんの「トランスワールドミュージックウェイズ」に都市楽師プロジェクトの皆さんが登場し、加えてヴェーセンの公演を告知いただきました。そのとき、かかっていた曲。求道会館にぴったり。この曲で始まるのかな…(音楽がはじまるまで20秒くらいかかります)