ノルウェーのワンコ(本とは関係ありませんw) |
この本では、まずは歴史をひもとき、現在の価値観が実は偶然に出来てしまった、ということを示した上で、今、IT社会が発達する中で変容を迫られている私たちへ、これから来る世界はどのようなものになるのか描きだす、という内容。
たしかにいったん歴史のスポットに入ってしまうと、それが当然のことのようにして私たちは受け止めるが、過去、歴史を学んでみれば、時代によって価値観や生活が変わってきたのはすぐ理解できること。その、また大きな変化が実際に今やってきている、という事にすぎないのが分かる。
これからはそういう時代にあわせて変われる人間じゃないといけない。変えなきゃいけないのは生活とか仕事のやり方とか、そういうことだけじゃなくて価値観とか考え方も柔軟に対応しないとホントにやっていけない、という事。でもこの本は説教本ではない。たしかに保守的で変化を嫌う人には大変な時代かも。でもせっかくこの時代に生きているのだから、「今、この時代を楽しもう」という事なのだ。そして「来たるべき新しい世界にワクワクしよう」という事なのだ。なんだか普段からモヤモヤしていることをすっきりとまとめてもらった感じだ。
これからは国境もなく、権力者もなく、だから心地よく安逸な場所などはもう存在しなくなる。ただその場でのレイヤーの積み重なりの中で浮かび上がる自分の位置を確かめながら、自分にとってベストな方法を模索していく。ということは、常に戦い? いや、そういうわけでもない。おそらく良くも悪くもうんと自由な時代になるのだろう。
最後の方で、例に出てくる新しいヒーローたちに心が動かされる。どこにも属さず、しかしあちこちから引っ張りだこの50代のスーパー販売員のおばさん、地元での心強いつながりやちょっとしたエピソードに幸せを見いだす工場で働く二十代後半の青年など、これぞ今の、そしてこれからの幸せの形だと思う。既存の価値観にしばられてはいけない。
よく考えたらいい時代に生まれたもんだ、と思う。時々これが10年前倒しだったら、バブルの終わりの方に片足突っ込んでウチの事務所ももっともう少し儲かっていたかもしれないけど(笑)、20年ずれていたらたぶん今出来ているような仕事は得られていないだろうし、40年ほどずれていたら、そもそも20歳になった私は選挙にすら行けていないわけだから。
それにしてもこういう人気本のレビューは早く書かないと意味がない、と思いつつ、すっかり遅くなってしまった。最近はホント本の消化率が悪いなー(笑)