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2013年8月24日土曜日

フリーランス、なう?

先日友達と飲んだら、サラリーマンを辞めて自営になりたい、と言う。その人が進みたい分野はまったく知らないエリアなので余計なことを言うのはなんかなーと思いつつも、家族、しかも小さい子供がいる彼には「うーん、辞めた方がいいと思う」「副業でやれば」と言った。

ちょっとキツかったかなー。ホントは友達なんだし励ましてあげなくちゃいけない立場なんだろうが、正直、今はとても厳しい時代だ。商売するのはホントに大変だ。そもそもお客さんのお財布のひもを緩めさせる事自体がホントに至難の技だ。そして、これから時代が良くなる可能性は、私は……実はないんじゃないかと思っている。と言ってしまうと身もふたもないかもしれないけど、これからどんどん世の中は厳しくなる可能性が高い。そして新しい価値観や新しい考え方が定着するまでは、この荒波の中を泳いで行くのは,正直相当大変な努力も必要だし図太さも必要だ。これがまだ若い人ならともかく、もう50近い私たちが今までの価値観をすべて捨ててゼロからスタートできるのだろうか。

10年前、いや15年前の私なら絶対に「独立しちゃえ」「頑張れ」と背中を押していた。でもここのところ自分の知る範囲ではサラリーマンからフリーランスになって大きく成功している人はほぼ皆無だし、生き残っている人自体、本当に少ないんだよね。うまくいっている人だって、いつ転げ落ちるか分からないような際どい場所でみんな頑張っている。

正直この時代に誰かから必要とされ、誰かから給料がもらえる、ってのはすごいことだと思った方がいい。もちろんブラック企業に捕まったり冷静な判断を欠いたりするのはよくないとは思うけど。

それにフリーランスともなれば、ある意味、おおらかに、そしてある程度いい加減でないとやっていられない。真面目な人ほど自滅していくことも多い。私もこう見えてけっこう真面目なので、例えば家族がいたりしたらおそらくこんな風に気楽には続けてこれなかったと思う。親も基本的に元気で今は手がかからない、養うべき家族もいない、自分一人なら、ある意味バイトしようが,何をしようがどーにでもなる!…ってのが根底にあるからやっていけるのだ。

こういう商売していて、20年くらいフリーでやっていると、いろんな人から相談を受ける。レーベルがさかんだったころは2週間に一度くらいの割合で相談にのってた。当時メーカーはリストラの嵐の時代で、ちょっと気のきいた人なら自分でやってみよう、みたいな時代だった事もあるが。私が相談を受けて成功した案件は、実際1つくらいしかない。私の説明が悪かったんだろうか。その成功したらしい1つの案件もたった1枚のCDリリースで消えていった。

それにしても、よく相談にのってきた。もっとも同じ業界に20年いれば、誰からも相談されない…という事はありえないだろう。相談される、頼りにされるのは嬉しい。が、それについて自分に何か対価があったのかというと、ちょっと考える。さほど仲良くない相手なのにいい人ずらして、ホイホイ相談にのって、貴重な時間を取られたあげく、ランチ1つ、お茶一杯もご馳走してくれない、なんて事もザラだ。あれこれ紹介したのに、その結果を連絡してこない、なんてのもしょっちゅう。

一方で仲のよい人(と私は思っている)ほど遠慮して、何も頼んでこない。水臭いよな、と思うこともしばしば… ホントそういうもんだよねぇ。

1つ印象的なメールでのやりとりもあった。もうずいぶん前だがウチのHPを見たといってメールしてきた相手に、ある程度つきあって返事を丁寧に書いていた。その人は別に知り合いというわけでもない。そもそもウチのコンサートのチケットやCDすら買っていたんだろうか…と今でも思う。だからそもそもお客さんですらなかったのかもしれないが、ウチのHPをみて連絡してきて、昔、音楽業界の角にいたが、今は別の仕事をしている。でも野崎さんみたいな仕事をしたいんだ、と言う。そしてまあ、今思えばかなり失礼な事を根掘り葉掘り聞いてきた。かなりつっこんだ内容で、なんでオメーにオレがそれを教えねばならぬ、とも思ったが、なるべく真摯に答えてきたつもりだ。でもあまりに夢みたいな希望を言う割に自分でリスクを取ろうとしないので、私も少々キレ気味に「それは私がヴァン・モリソンを呼びたいって言うのと同じですよ。今は到底無理な夢だけど皆それに向かって日々少しずつ努力するしかないんですよ」と言ったら、やっと分かってくれたようで、それ以来メールはこなくなった。が、私の、その人へのメールへつぎ込んだ時間がどのくらいその人に感謝されていたかはわからない。ろくすっぽお礼も言わずにその人は消えていった。今、何をやっているのだろうかねぇ。時々思い出して、今だに私の「それは私がヴァン・モリソン」ってのは分かりやすい説明だったのう…と自分で自分に感心したりしている(笑)

あと某アーティストの来日時で私が睡眠もろくに取れない状態で頑張っているところに、まったく関係ない相談ごとをFaceBookのメッセージでよこしてきた人もいた。私のFB見ているなら、私が必死で頑張っているのは分かっていたはずだろう。まぁ、アーティスト来日中で私のFBが盛り上がっているのを見て、「いいなー好きなアーティスト呼べて。オレも何かしたいなー」くらいの気持ちで連絡してきたのだろう。そもそも普段連絡をしてくれるような相手でもなく、かつ普通の神経の持ち主だったら「野崎さんは今、来日で忙しいだろうから、終わったころ連絡してみよ」ってなるはずなんだが…。あまりに非常識だと私は思った。あまりに頭に来たので、「あのー、私が今すごく忙しいのは分かりますよね?」「相談ということであれば正式にコンサル料いただきます」と返事をしたら、「そんな風に思われてたなんて心外です」みたいな感じで自分が被害者ヅラし始めたので、私はブチ切れて(アーティスト来日中で自分に余裕まったくなかったし)FBの友達から外させていただいた。今でもかなり頭にきていて、ときどき思い出しては,今でも怒っている(笑)

時々いるんだ。簡単に人に相談する奴。代理店ビジネスがもっと横行していた頃は、資料を私からさんざん取り上げては、その後何にもない、ということがよくあった。相談がある、と呼び出されては、こっちにはなんにもメリットもない話だった、ということもしょっちゅうあった。いいクライアント候補がいるから、こういうリストを今日中に出せ、みたいなことを言っておいて、その後のフォローは一切なしの代理店の皆さん。フリーランスの人間の貴重な時間をなんとも思っていない代理店と、クライアントがあまりに多すぎた。今ではさすがにそういうのもなくなったけど。

かと思うとまったくの素人なのにコンサル料はお支払いしますから、みたいな話を持ってきてくれた人もいた。一回きちんとあって、彼女の話を聞き、私は自分のやれることを話し、その場でできるアドバイスをし、頑張って自分でやってみれば、と彼女に提案した。何かあれば手伝うけど、私も仕事をしているから、そうなるとコンサル料をもらわないと続けていけない。無責任で中途半端なことはしたくないし、というわけで、それだけで終わったこともあった。もちろん相談にのった1時間程度はボランティアだったわけだけど、あれは気分が良かった。彼女はちゃんと公演を実現し招待状と案内なども送ってきてくれたが、私は自分のツアーと重なったかなんかでいけなかった。もっともその人も継続して何かやっているようなニュースは聞かないので、どうしていることやらなのだが。

かと思えば某日本人女性アーティストで、これまた外国の某女性アーティストを呼びたいからとかいって相談にのってくれ、と言われたことがあった。あちこちから「辞めた方がいい」と止められ、頑張ってやってみれば、と励ましたのは結果私だけだったようだ。さんざん相談にのったのに、最終的にその日本人女性アーテイストから公演の報告も案内もなかった。ひどいよね。そしてあまりにその事業が過酷だったのか、はたまた大きな借金でもこしらえたか、その後,彼女が続けてそのアーティストを呼んでいるという話はどこからも聞かない。っていうか、本人ですら今も活動しているのか、よく分らない。まぁ、そんなもんなのかなー。

話がずれた。フリーランス…自営業ね… いろいろ考える。普通にサラリーマンして、副業的にいろんなプロジェクトをやってみるのはすごくいいと思う。会社が許せばどんどんやるべきだ。

一回くらい趣味みたいなちょっとした事業を実現させたりするのは、正直誰でもできると思うし、生活のスパイスとして、そういう事も重要だと思う。でもそれで自立するとなると話は別だ。大事なのは事業を継続し、アーティストを育てていくこと、そして自分が食べていくことだ。それには、ものすごい覚悟と使命感みたいなもの、情熱みたいなものが必要になる。

さて友人はこのまま自営業の道を進むのだろうか。それは彼次第。勝間和代さんの「断る力」にも書いてあるとおり他人の言うことなんて「いつもバイヤスがかかっており無責任」なのだ。自分のことは自分が一番よく知っているし、自分にしか分からない。自営業はそのくらい孤独で厳しいビジネスだ。わたし程度のアドバイスで「そうか、辞めよう」と思うのであれば、それはそれだし、そういう運命だった、という事だ。

サラリーマンから自立するのは、ものすごい恐怖だろう。でも事業1つ決行するにしても転職にしても、はたまた自立するにしても、情熱が恐怖を越える瞬間がある。そこが「フリーランス、なう」のタイミングなのだ。

10日間の出張でほとんど死んでいた、こいつが復活。もう花を付けた。すごい生命力だ。サントリー開発のサフィニア




















いろいろ言う人は多いけど、これはホントに絶対に名著です。私も迷うと時々引っ張りだして今でも読んでいる。(それにしてもアマゾンのレビューはひどいと思う。こういうのを放置しているアマゾンの企業文化に疑問を感じる)