大阪公演が終了し都内に戻ったファビオ先生とオーケストラ。今日は横浜国大でのワークショップでした。
左の写真は浴衣を着せてもらった女の子たち。可愛い♥
夜は中華街で打ち上げです。
彼らはそのまま羽田空港から、またもや3本の飛行機を乗り継ぎ、帰国していきました。
終わっちゃった…
しかし今回は本当に感動の嵐でした。このツアーは、普段やっていることとはまったく別ものでした。それはもう目ウロコの連続。
たとえば例をあげると……私はツアーをするとき、自分の両手は必ずあけて誰かの荷物を手伝えるようにしているわけですが、それはダメだとファビオ先生に言われました。というのはこのツアーを通じて、ファビオは子供たちに「自分の責任をちゃんと果たす」ということを教えたいからなのです。何かあったとき、自分の鞄を自分で持てないようではツアーは出来ません。とにかくツアーでの動き、いろんなことすべてが、この子供たちに対する教育なのです。
実は今日もイベントが終わってバスに乗り込んだとき、ワークショップを行った教室に一人の女の子がヴァイオリンを忘れてきました。それを学生さんが見つけてくれて、バスの中にいた私と通訳のOさんのところに持ってきてくれたんです。忘れ物をした本人がたまたまそこになかったので、私たちは「うわ〜、面白い。これ、隠しちゃおうよ」なんてふざけて言っていました。で、彼女が忘れ物に気づいた時に「拾っておいてあげたよ!」と言ってびっくりさせてからかおう…と。
そのあとファビオが彼女よりも先にバスに乗り込んできたので、ファビオに「彼女がヴァイオリン忘れてたよ」と声をかけたのです。ファビオはその瞬間は私たちには笑っていた。でもその子がバスに戻ってくると、その女の子のことをファビオはみんなの目の前でかなりきつくしかっていました。私たちは「ううう……ごめんね、ごめんね、先生にばれないように忘れ物のことは、そっと教えてあげれば良かった」と心がめっちゃ痛かった。心が痛いけど…これはしょうがないんです。彼らが帰国した時、ちゃんと自分の持ち物は忘れない、責任をきちんと取れる人間にならないといけないから。
それを絶対に学ばないと、この子たちの将来はないんです。残念ながら彼らの親はとても貧しくそれを子供にきちんと教えられない。そういう家に育った子たちばかりなのです。そして、こういった社会的な常識をきちんと守る子供が多くならないとパラグアイの貧富の差はいつまでたってもなくならない。カテウラはずっと良くならない。ファビオ先生はそう考えているのです。このツアー中おこるすべての事が、カテウラの貧困を救うための教育なのです。
約束を守ること。時間におくれない事。すべてにたいしてとても厳しいのがファビオ先生でした。だから南米の人は時間に遅れる、ということを人ずてで聞いていた私は、最初彼があまりにも時間を守るのにすごくびっくりしてしまいました。子供たちは礼儀正しく、時間に絶対におくれない。インタビューをすれば、発言もしっかりしていて志が高く、まったくもってそのヘンのロックバンドに教えてやりたいくらいでした。そのくらい彼らはカテウラの将来は自分たち次第なんだ、と感じている。
子供たちはこの東京を離れたあと、自分の国に戻って、再びカテウラの生活を続けなければならない。あの映画のトレイラーがYou Tubeにアップされて、まだほんの1年ほど。まだまだ状況は厳しいのです。まだ映画も発表になっていないし、団員の家族すべての生活をたてなおすところまではとてもいっていない、というのが現状なのです。
びっくりしたのは、ホントになんでも経験させる、ということについて、かなり徹底している、ということです。たとえばオフの時間。彼らは私たちに観光ガイドはのぞみません。地図を調べて行程を考える。電車にのって切符を買う。知らない街で知らない人に道を聞く。すべてが教育なのです。だから私たちは後ろで観ているしかない。切符だって、全員の分を一度に買って、配ってあげる方がよっぽど時間もかからないし、その方が指導する方も楽です。でも先生は一人一人にいちいち窓口に並ばせ、切符を1枚ずつ買わせるのでした。一人の女の子などは「ぴったりしたお金がない〜」とグズっていました。「ならば1,000円札を出しなさい」「そしておつりをもらいなさい」…といちいち指導。つまり日本で起こること、すべて。一つ一つが辛抱強い教育の現場なのでした。
でもファビオが言ってた。今まで何もできなかった子が今回のツアーからパスポート担当になった。16歳の女の子が今回の日本行きの渡航書類をぜんぶ記入して提出したんだ、とファビオはとても誇らし気に語っていました。人の人生に影響を与えることが出来る。これはなんて素晴らしい事業なんだ、とも。
とにかく! こんなツアー、私は初めてでした。いつもなら、単に楽にさせてあげること、音楽に集中させてあげることが、一番ミュージシャンに喜ばれることでした。でもこのツアーは、それではまったく意味がないんです。普段の価値観がガラガラと崩れて行くようでした。
まだ楽器をはじめて3、4年の子供たちばかりなので、正直、音楽はまだまだです。でも彼らが演奏する時、楽器を持つ時、彼らの将来は明るいものになる。彼らはこの音楽を続けるために、一生懸命、きちんとした社会性を身につけ、一生懸命頑張ることを続けていくでしょう。健気な彼らをみていると、もうステージみながら、グズグズと泣いていましたよ、おばさんは!(笑) ちなみに私ったら、彼らのお母さんよりもさらに10歳くらい上だったりするからイヤんなる!(笑)
でもって、もちろんガチガチのストイックではなく、田舎の素朴な子供たちですから、もうすべてが可愛くて楽しい。今日も移動のために手配したバスの運転手さんが子供たちにお土産を大量にくれたのですが、それを選ぶために車内で大クイズ大会が始まりました。ファビオ先生がクイズを出します。「交差点のある大きな街は?」「渋谷ーーっっ!」「大阪城は何年に出来た?」「〜年!!」「日本の有名な曲は?」「さくらー!」子供たちは大騒ぎでクイズに答えていました。それが本当に楽しそうだった。そして彼らはホントにいろんな事を本当によく覚えている。大阪城が出来た年なんて、ググらなくっちゃ答えられませんよ、おばさんは!(笑)
そんな時、私もふと思ったんです。私も自分の最初の海外旅行のことをすごくよく覚えているな、と。友達の名前、友達の顔、行った町、見たもの、経験したこと… 先月したツアーのこともよく覚えていないのに、このくらいの年齢の時の記憶はすごい。つまり子供の吸収度たるや、ものすごいんです。若い頃経験したことというのは、きっと一生覚えている。
彼らの中でこれからこの日本への旅がどういう位置をしめてくるのか、ほんとうに楽しみです。ファビオは「日本は人は礼儀正しくて、きちんとしているから子供たちにとって本当に良い経験になる」と何度も言っていました。
うううう…ほんとに楽しみだよ!!!
さて彼らの近況ですが、このあとまたヨーロッパツアーだそうですよ。そして、どうやら映画は来月行われる某超有名映画祭でかかることが決定。これで賞を取れば、おそらく世界中にその存在が知れ渡ることとなるでしょう。そうなった時。彼らが彼らの幸せが継続できるように、と私は心から願わずにはおれません。
本当にありがとう。私も今回はすごく勉強になった。彼らの将来が素晴らしいものであるように。ファビオ先生、本当にありがとう! そして今回このような経験をさせてくれた(株)良品計画の皆さん、サウンドクリエイターの皆さん、本当にありがとうございました。もうこの1週間、ホントに楽しかった!
本当にファビオの不屈の精神で、今、カテウラは本当に変わろうとしている。大使がコンサートでおっしゃっていたとおり、今、カテウラCateuraとググるとこのオーケストラ、と出てくる。以前、カテウラは単なる「ゴミ集積場」でした。彼らの音楽は地域のコンセプトまでも変えてしまったのです。
さっき羽田でバイバイして、彼らはまたこれから数十時間もかけて家に戻っていく。みんなありがとう。私はみんなのことは絶対に忘れない。本当にありがとう、ありがとう。
PS
子供たちはみんなオレンジジュースとコカコーラが大好きだったなぁ!
PPS
横浜中華街に行ったこどもたち。移動のバスの中から横浜の夜景を見ながら通訳のOさんが「ここは恋人がデートする場所なのよー」と説明したら、子供たちは「きゃー!! 恋人だってぇ!」とさんざん騒ぎ、「恋人!! 恋人!! 恋人!!! 恋人!!! 恋人!!!」とみんなで連呼(スペイン語) すっごい楽しい!
でもこんな風にバスの中ではぎゃーっと騒いでいたかと思うとコテッとみんなで一斉に寝ちゃうところなんか、ほんと子供だなぁ、と思う。
左の写真は浴衣を着せてもらった女の子たち。可愛い♥
夜は中華街で打ち上げです。
彼らはそのまま羽田空港から、またもや3本の飛行機を乗り継ぎ、帰国していきました。
終わっちゃった…
しかし今回は本当に感動の嵐でした。このツアーは、普段やっていることとはまったく別ものでした。それはもう目ウロコの連続。
たとえば例をあげると……私はツアーをするとき、自分の両手は必ずあけて誰かの荷物を手伝えるようにしているわけですが、それはダメだとファビオ先生に言われました。というのはこのツアーを通じて、ファビオは子供たちに「自分の責任をちゃんと果たす」ということを教えたいからなのです。何かあったとき、自分の鞄を自分で持てないようではツアーは出来ません。とにかくツアーでの動き、いろんなことすべてが、この子供たちに対する教育なのです。
実は今日もイベントが終わってバスに乗り込んだとき、ワークショップを行った教室に一人の女の子がヴァイオリンを忘れてきました。それを学生さんが見つけてくれて、バスの中にいた私と通訳のOさんのところに持ってきてくれたんです。忘れ物をした本人がたまたまそこになかったので、私たちは「うわ〜、面白い。これ、隠しちゃおうよ」なんてふざけて言っていました。で、彼女が忘れ物に気づいた時に「拾っておいてあげたよ!」と言ってびっくりさせてからかおう…と。
そのあとファビオが彼女よりも先にバスに乗り込んできたので、ファビオに「彼女がヴァイオリン忘れてたよ」と声をかけたのです。ファビオはその瞬間は私たちには笑っていた。でもその子がバスに戻ってくると、その女の子のことをファビオはみんなの目の前でかなりきつくしかっていました。私たちは「ううう……ごめんね、ごめんね、先生にばれないように忘れ物のことは、そっと教えてあげれば良かった」と心がめっちゃ痛かった。心が痛いけど…これはしょうがないんです。彼らが帰国した時、ちゃんと自分の持ち物は忘れない、責任をきちんと取れる人間にならないといけないから。
それを絶対に学ばないと、この子たちの将来はないんです。残念ながら彼らの親はとても貧しくそれを子供にきちんと教えられない。そういう家に育った子たちばかりなのです。そして、こういった社会的な常識をきちんと守る子供が多くならないとパラグアイの貧富の差はいつまでたってもなくならない。カテウラはずっと良くならない。ファビオ先生はそう考えているのです。このツアー中おこるすべての事が、カテウラの貧困を救うための教育なのです。
約束を守ること。時間におくれない事。すべてにたいしてとても厳しいのがファビオ先生でした。だから南米の人は時間に遅れる、ということを人ずてで聞いていた私は、最初彼があまりにも時間を守るのにすごくびっくりしてしまいました。子供たちは礼儀正しく、時間に絶対におくれない。インタビューをすれば、発言もしっかりしていて志が高く、まったくもってそのヘンのロックバンドに教えてやりたいくらいでした。そのくらい彼らはカテウラの将来は自分たち次第なんだ、と感じている。
子供たちはこの東京を離れたあと、自分の国に戻って、再びカテウラの生活を続けなければならない。あの映画のトレイラーがYou Tubeにアップされて、まだほんの1年ほど。まだまだ状況は厳しいのです。まだ映画も発表になっていないし、団員の家族すべての生活をたてなおすところまではとてもいっていない、というのが現状なのです。
びっくりしたのは、ホントになんでも経験させる、ということについて、かなり徹底している、ということです。たとえばオフの時間。彼らは私たちに観光ガイドはのぞみません。地図を調べて行程を考える。電車にのって切符を買う。知らない街で知らない人に道を聞く。すべてが教育なのです。だから私たちは後ろで観ているしかない。切符だって、全員の分を一度に買って、配ってあげる方がよっぽど時間もかからないし、その方が指導する方も楽です。でも先生は一人一人にいちいち窓口に並ばせ、切符を1枚ずつ買わせるのでした。一人の女の子などは「ぴったりしたお金がない〜」とグズっていました。「ならば1,000円札を出しなさい」「そしておつりをもらいなさい」…といちいち指導。つまり日本で起こること、すべて。一つ一つが辛抱強い教育の現場なのでした。
でもファビオが言ってた。今まで何もできなかった子が今回のツアーからパスポート担当になった。16歳の女の子が今回の日本行きの渡航書類をぜんぶ記入して提出したんだ、とファビオはとても誇らし気に語っていました。人の人生に影響を与えることが出来る。これはなんて素晴らしい事業なんだ、とも。
とにかく! こんなツアー、私は初めてでした。いつもなら、単に楽にさせてあげること、音楽に集中させてあげることが、一番ミュージシャンに喜ばれることでした。でもこのツアーは、それではまったく意味がないんです。普段の価値観がガラガラと崩れて行くようでした。
まだ楽器をはじめて3、4年の子供たちばかりなので、正直、音楽はまだまだです。でも彼らが演奏する時、楽器を持つ時、彼らの将来は明るいものになる。彼らはこの音楽を続けるために、一生懸命、きちんとした社会性を身につけ、一生懸命頑張ることを続けていくでしょう。健気な彼らをみていると、もうステージみながら、グズグズと泣いていましたよ、おばさんは!(笑) ちなみに私ったら、彼らのお母さんよりもさらに10歳くらい上だったりするからイヤんなる!(笑)
でもって、もちろんガチガチのストイックではなく、田舎の素朴な子供たちですから、もうすべてが可愛くて楽しい。今日も移動のために手配したバスの運転手さんが子供たちにお土産を大量にくれたのですが、それを選ぶために車内で大クイズ大会が始まりました。ファビオ先生がクイズを出します。「交差点のある大きな街は?」「渋谷ーーっっ!」「大阪城は何年に出来た?」「〜年!!」「日本の有名な曲は?」「さくらー!」子供たちは大騒ぎでクイズに答えていました。それが本当に楽しそうだった。そして彼らはホントにいろんな事を本当によく覚えている。大阪城が出来た年なんて、ググらなくっちゃ答えられませんよ、おばさんは!(笑)
そんな時、私もふと思ったんです。私も自分の最初の海外旅行のことをすごくよく覚えているな、と。友達の名前、友達の顔、行った町、見たもの、経験したこと… 先月したツアーのこともよく覚えていないのに、このくらいの年齢の時の記憶はすごい。つまり子供の吸収度たるや、ものすごいんです。若い頃経験したことというのは、きっと一生覚えている。
彼らの中でこれからこの日本への旅がどういう位置をしめてくるのか、ほんとうに楽しみです。ファビオは「日本は人は礼儀正しくて、きちんとしているから子供たちにとって本当に良い経験になる」と何度も言っていました。
うううう…ほんとに楽しみだよ!!!
さて彼らの近況ですが、このあとまたヨーロッパツアーだそうですよ。そして、どうやら映画は来月行われる某超有名映画祭でかかることが決定。これで賞を取れば、おそらく世界中にその存在が知れ渡ることとなるでしょう。そうなった時。彼らが彼らの幸せが継続できるように、と私は心から願わずにはおれません。
パーカッションのエスティバンの夢は,自分の大好きなドリームシアターのように武道館で演奏することなんだって。うん、きっとかなうよ、その夢。
本当にありがとう。私も今回はすごく勉強になった。彼らの将来が素晴らしいものであるように。ファビオ先生、本当にありがとう! そして今回このような経験をさせてくれた(株)良品計画の皆さん、サウンドクリエイターの皆さん、本当にありがとうございました。もうこの1週間、ホントに楽しかった!
本当にファビオの不屈の精神で、今、カテウラは本当に変わろうとしている。大使がコンサートでおっしゃっていたとおり、今、カテウラCateuraとググるとこのオーケストラ、と出てくる。以前、カテウラは単なる「ゴミ集積場」でした。彼らの音楽は地域のコンセプトまでも変えてしまったのです。
さっき羽田でバイバイして、彼らはまたこれから数十時間もかけて家に戻っていく。みんなありがとう。私はみんなのことは絶対に忘れない。本当にありがとう、ありがとう。
PS
子供たちはみんなオレンジジュースとコカコーラが大好きだったなぁ!
PPS
横浜中華街に行ったこどもたち。移動のバスの中から横浜の夜景を見ながら通訳のOさんが「ここは恋人がデートする場所なのよー」と説明したら、子供たちは「きゃー!! 恋人だってぇ!」とさんざん騒ぎ、「恋人!! 恋人!! 恋人!!! 恋人!!! 恋人!!!」とみんなで連呼(スペイン語) すっごい楽しい!
でもこんな風にバスの中ではぎゃーっと騒いでいたかと思うとコテッとみんなで一斉に寝ちゃうところなんか、ほんと子供だなぁ、と思う。