「弱くても勝てます〜開成高校野球部のセオリー」めちゃくちゃおもしろい!

これ、友達がFBで絶賛していたので読んだのだが、めちゃくちゃおもしろい。高校生ってこんなにおもしろいのか?!

開成高校。言わずと知れた西日暮里にある、あの偏差値の高い名門高校のことだ。東大へたくさん入学させている、すごい学校。そこの野球部は週に1回しか練習が出来ない。でも徹底的にそれを踏まえた合理的な練習で、なんだか「甲子園まで行っちゃいそう」なレベルにまで来ているという。すごい。ちなみに最後に紹介されていたOBさんの言葉によると「東大が六大学で優勝するよりも開成が甲子園に出るほうが先になる可能性が高い」

ピッチャーに指示されていることは「とにかくちゃんと投げること」試合が滞りなく続くことが相手チームへのマナーと尊敬だ、という。そしてバッターに指示されていることは、とにかくフルスイングで行くこと。打線を爆発させること。野球はツキだ。そしてそんな異常な方法で相手を翻弄し、コールド勝ちすること、それが開成野球の勝ち方なのだ。ちまちまやることが良い野球ではない、ということ。

これスティーブも言ってたね。会社をランさせるにあたって、僕が最初大人たちから聞いた多くのことはフオルクローレだった、って。そんなもんはもう前世紀の伝承文化にすぎない。自分たちで合理的に考えて論理的に行く。常識とよばれる固定概念にとらわれない。そこが大事なのだ。

おもしろいのは彼らが妙に理系の子たちなもんだから、思考回路も独特なことだ。そして、野球をそれぞれ自分なりに楽しんでおり、みんな「甲子園に行くこと」とか「へっ?」くらいに思っている。必要以上に意識していない。それに捕われていない。なんかそれが自然体でとてもいい。子供たちの個性が輝く。なぜか「頑張る」ことすらも、妙に距離を置いて上から目線で自分たちのことを分析してしまう…そんな感じなのだ。いや、本人たちはこのインタビューでの言葉以上に悩んでいるのだろうが、それすら…なんか笑える。いいぞ、高校生! 理系とか文系とか、そういうのもあるんだろうが、ホントにおもしろい、男の子たち。

そして最後には、この野球部の要である監督のインタビューも紹介される。「チームに貢献する、なんていうのは人間の本能じゃないと思います」と言ってしまう青木監督。「思いっきり球を遠くに飛ばす。それが一番楽しいはずなんです」「生徒たちには自分が主役と思ってほしいんです」

そう、それこそが大事なのだろう。それにしても高校球児とかいって、もうストイックに毎日きつい練習を重ねて、その先に甲子園があり、そして泣きながら砂を持って帰り…みたいに頑張る姿が美しいとされてきたし、私も今までそう思ってきただけに、そんなステレオタイプの概念にはしばられず、個性豊かな子供たちでいてこそ、野球なのだと思った。みんなとても可愛い。

思いっきりバットを振るのがいい。そしてのびのびと悩みながらも、前に進むのがいい。頑張れ,高校生。頑張れ、開成高校野球部。っていうか、こういうチームに勝ってほしいよね、ホント。絶対に応援したいし、著者には続きをぜひお願いしたい。しかしこの著者、初めて読んだけど、ホントに上手い。文章がおもしろい、ってこういう事を言うんだね。とにかく爆笑しながら読んだ。