映画『アイム・スティル・ヒア』を観ました。たいへんな大作。

 


すごい大作でした。今まで見た映画の中でも大作中の大作。圧巻の内容でした。ブラジル映画『アイム・スティル・ヒア』AINDA ESTOU AQUI。

ちょっと長かったけどね。2時間半くらいあったかな。実はこの映画は、仲間合計4人で見に行った。この4人で映画を見るのは、もう4、5回目かな?

皆さん、芸術、アートには一家言あるみなさまばかり。映画鑑賞後の感想戦が怖い。ちゃんとしたこと言わないと、バカなやつって思われるぅ〜っっ(笑)

…っていうのは、冗談で、いやはや私は滅多に友人と映画に行かないのだけど(誰かの都合聞いてたら、自分の好きなことができないと思う私は普段はソロ活動)、たまに誰かと一緒に行って感想戦すると本当に楽しいのだった。誘ってくれた映画配給会社社長さま、ありがとうございました。

舞台は70年代のブラジル。結構裕福な子沢山家庭。でもお父さんはある日突然誰かに連行されて姿を消す。残されたお母さんと子供たちは、お父さんを追う。そんな家族の歴史が描かれている。大河ドラマだ。大河ドラマ。

お父さんが連れ去られたあと、お母さんと女の子も連行され拘束されるんだけど、二人はしかし数日後に家に戻される。そこから、子供達が怖がらないよう気を使いつつもお母さんは気丈にこの政府の闇と戦っていくのだった。

映画の冒頭に出てくる、捨て犬を拾った長男が、のちにこのファミリーの壮大な物語を本にしている。それがこの映画の原作になっている。

っていうか、この方はそもそもブラジルでは超人気の作家さんで、彼の書いた軍事政権時代の話ということで、ブラジルでは映画ができる前からも期待マックスだったらしい。そしてこの映画もたいへんな記録的ヒットとなった。

こちら花田勝暁さんが書かれた「見る前に知っておくと良い」ガイド

そして沢田太陽さんのこちらもぜひ。 


沢田さん、ご親切にありがとうございます。 でも、ほんと南米の歴史や現状に詳しくない人は、読んでから見た方が理解が深まると思う。

それにしても、最後の最後に出てくるすっかりおばあちゃんになったお母さんが車椅子に乗った状態で、テレビをじっと見ている様子がすごい迫力。

この女優さん、めちゃくちゃ存在感あるなと思ったら、ブラジルの国民的な存在の女優さんで、今回劇中で家族を守って戦うお母さん役をつとめた女優さんの、ほんとのお母さんなんだって。

だから顔も似ているし、ほんとただ座っているだけでセリフもないのに、圧がすごい。いや、圧っていうと言葉が悪いな。なんかこう…この映画の、彼女が出てくるまでの2時間30分をすべて飲み込んだ、凄みだよな。

エンドロールで流れてきたリアルな家族写真も相まって、いやぁ… すごかった。実際連行されて亡くなったお父さん、そのお父さん役やった俳優さん、そっくりだったし。大変な力作というか、ストーリーが重いだけに、まったくもって完璧な作り。

っていうか、こういう映画、手を抜くわけにはいかないわ。

それにしても家族の幸せだった時間と、その後の消失感がもうヘヴィで、ヘヴィで…

そして花田さんも言及しているけど、注目はめちゃくちゃ充実のパンフレット。配給会社さんの愛が感じられる。この厚さと内容で、通常の映画の2倍くらい取っても良いところだけれど、たった1,000円は素晴らしい。

特に中原仁さんの楽曲ガイドも必読。ちゃんと使われた楽曲のリストもついてるし(ほんと、パンフとか言って、それすらないパンフ多過ぎだよね。結局最後字幕をあわてて追いかける羽目になるんだよ)。

カエターノ、よかったよなー。中原さんの解説ですが、まずこの映画に対するカエターノの言葉から始まって、かつ、このシーンでこんなふうに流れたこの曲はこういうこと、としっかり映画の内容とシンクロした丁寧な説明が綴られていて、必読です。

カエターノは軍事政権中、逮捕され6ヶ月間監禁され、2年半亡命することになった。(現在も83歳ですが、お元気だそうです、カエターノ)

そんな時代は、つい最近のことだった。重いね。



◎野崎は、現在作曲家:日向敏文さんのマネジメントおよび宣伝をお手伝いしております。
6月25日に新作「the Dark Night Rhapsodies」がリリース。こちらが特設ページ(Sony Music Labels)。アナログ盤と、ピアノ小品集の楽譜は日向さんのサイトで通販中



◎ポール・ブレイディが12月にケルティック・クリスマスで来日します。チケット発売中。詳細はこちらへ。もうかなり売れちゃってますので、みなさん、お早めに。お求めください。

2年前にレコーディングした無印良品BGM29 スコットランド編がやっと公開になりました。良かったら、聞いてください。プロデュースはLAUのエイダン・オルークにやってもらいました。現在無印良品の店頭で聞くことができますし、配信でも聴けます

◎9月には民音さん主催でゴサードシスターズの来日ツアーもあります。詳細は特設ページへ。


◎同じく9月にはこちらのショパンコンクールのドキュメンタリー映画『ピアノフォルテ』のPRのお手伝いしております。みんな見てね! 公式サイトはここ