映画「ワン・チャンス」を観ました


「ワン・チャンス」見ました。携帯電話のセールスマンやってたのにオペラ歌手になる夢を捨てきれず、オーディション番組で優勝し成功を手にいれた男の物語。

で、良かった! 何が良かったって、主演俳優さんが良かった。そして奥さん役の女優さんも。そして最高に最高だったのが、お父さん役のコルム・ミーニー! もうコミットメンツのお父さん役も、最近の「ダブリンの時計職人」も最高に良かったけど、今回のも最高に最高に最高に良かった! アイリッシュ・ファンはチェックした方がいいよ。ホントに最高に素敵なお父さんだ。

お父さんは役の上では息子にとても厳しい。息子に夢を諦めて現実を見ろ、と言う。昔いじめられていた事を根にもってクヨクヨするなと叱る。でも息子を愛していることは充分伝わる。ホントに最高に素敵なお父さんなのだ。

そして!! 役の上ではお母さんがホント素晴らしい! お母さんとお嫁さんの会話もいい。女がいいんだよね〜 アイルランドでもイングランドでも、貧しい家庭では女がホントに強い。強くて素敵だ。そして息子を何かと応援してやり、夢を諦めるな、と励ます、お母さん。ホントに素敵。

家族間の会話がテンポよく、めちゃくちゃ可笑しく、ほんとに最高。… が、終わり方というか、最後このBritian's Got Talentに出て優勝し「これが僕のストーリーさ」みたいに終わられても……なんかしらけた。が、この最後のしらける感じを差し引いても、家族の感じや会話の素敵さとか、奥さんの素敵さとか、お母さんの素敵さとか、コルム・ミーニーの素敵さで充分おつりがくる。まぁ、だから映画としては、かなり良いんじゃないかな。とにかく見ている間は楽しめたし、ハッピーな気分になれたし、感情移入もできたし、すごく良かった。

実話がベースになっている。でも、なんだか、すべては、このオーディションの審査員で出てくる辛口の、1D(笑)とかも当ててるやり手の彼と、世界を牛耳るエンタテイメント会社ソニーの連携プレイによる仕込みじゃねぇの?と思ってしまう。映画にするなら、こういうやり手の裏方の奴らのヒットメーキングストーリー… そっちの方がいいんでねぇの?とか意地悪く思ってしまった。

スーザン・ボイルといい、なんとかって言う8歳くらいの女の子といい、なんか「やらせ感」が漂うから、私はBritain's Got Talentは好きじゃない。いや、やらせじゃないんだろうけど、いやいや、もっと言ってしまうと、やらせだと実はみんな知っているけどこのゲームを楽しんでいるのかも…? いや、実際よく知らないんです、ハイ(笑)

当然このポール・ポッツさんもそういうショウビズに騙されてノセられた純朴な青年なんじゃないの? いや純朴な青年というところから、もうやらせなの? 

そもそもスーザン・ボイルもそうだけど、私はこのテのオーディションでのし上がってくる、一夜にしてなんたらみたいなシンガーたちが、いったいシンガーとしてどのくらい上手いのか、まったく判断ができない。普段こういう音楽を聞いてないから、しょうがないんだけどさ。ちなみにスーザン・ボイルの時は、FBにいち早く投稿したエディ・リーダーの大興奮コメントに押されて自分もかなり初期の段階でシェアしたような記憶がある…(爆)

あと、いつもこの番組を見ていて思うのだけど、そもそも観客は見せ場になるとすごい歓声をあげていて、あんなにワアワア声を出したら、シンガーたちの歌がちゃんと聞こえないだろうよ、とか疑ったりするのは自分だけだろうか。まぁ、この番組自体、You Tubeのクリップを見ているだけで、ちゃんと最初から最後まで観たことはないので判断できないが、勘違いした素人を冷やかして笑う事の方がメインの、本当はすごく意地悪な番組なんじゃないかとか疑ったりしている。

と、まぁ、普段素朴なミュージシャンたちを応援している私としては、最初から結構斜めが気持ちで見たんだけどね。それにしても映画としては良かったわ。主演の彼いいねぇ… 歌う声はすべてポッツが吹き替えしているらしいけど、彼がホントよかった。そして奥さんがホントにホントに素敵。どこまで実話か分らないけどキャメロン(ディアスに似ている)、ブラット(ピットに似ている)という名前でインターネットのチャットで出会ったという二人。ホント素晴らしい。素敵だわ、ホント。

そして一方で、これはホントかどうか知らないけどポールに「君はオペラ歌手にはなれないよ」ときっぱりと言うパバロッティのエピソードはまったくもってひどいと思った。そのシーンは映画の予告編でも流れるので、ぜひ見てみて。クラシックとかオペラとかって厳しい世界なんだろうけど、これはナイよね。こういう言葉を音楽を愛する若者に言ってはいかんだろう。まぁ、それだけ厳しい世界なんだろうけどね。これがホントだとしても、何もあぁいういう方をするこたぁなかろうよ、と誰もが思うだろう。パバロッティは完全に悪役である。とか思ってたら、この映画の制作陣に、あのやり手野郎の名前も…。もしかしてパバロッティはもう死んだからこれはチーム・ソニーによるパバロッティへの復讐?   奴は昔、パバロッティにいじめられた? とか思った。怖いねぇ…ショウビズは(笑)

でも映画は良かったし、ブツブツ分析してたらキリがない。自分とは関係ない世界なんだから、楽しんじゃえばいいんだよね。なんであれ、この素敵なポール・ポッツさんが奥さんと末永く仲良く、歌うことをずっと楽しんでいられたらと思う。頑張ってね!