上原ひろみさんのブログに感動

上原ひろみさんというピアニストがいる。今日FBのタイムラインで紹介されているのを読んで号泣! いい話なので、ぜひ皆さんも読んで! ここ

「アンソニー、乗って行って。ベースは私がなんとかする」
そう告げて、アンソニーを飛行機に乗せる。
午前5時20分。サイモンから「がんばれ」とメールが来た後、飛行機は飛び立った。
私はシアトル空港で、アンソニーのベースと、ひとり残った。


飛行機をめぐるトラブルはこんな職業をしていれば幾らでもある。予算が湯水のようにあればいいんだろうけど、そうはいかない。それは上原さんクラスですらこうなんだから、私たち貧乏ツアーだったらなおさらだ。もちろん飛行機以外、他にもとにかくたくさん大変なことはある。冠スポンサーでもいない限り、少ないチケットの売り上げの中で予算をなんとかやりくりしないとツアーはなりたたないから、とにかく大変なのだ。

朝5時でプロモーターもマネージャーも連絡がつかない中、決断をするしかないとしたら彼女だけだった。それはめちゃくちゃ分かる。ただブログに書かれたこの状況だけだと,つっこみどころはいくつかある。でも私もアメリカの国内線は何度ものっているが、アメリカ国内をプロフェッショナルにツアーしたことはないし、私なんかよりもよっぽど多くアメリカの国内線に乗り、経験も豊富な上原さんとバンドメンバーがここまでの状況に追い込まれたのだから、まぁホントに大変だったのだろう。

ここで彼女以外のスタッフがいたら判断は間違いなく「お前がいかないと公演はなりたたないんだから、とにかくお前は行きなさい」ではないかと思う。というかもう一人いたら、その人が残ることになるのだろうから、それは当然だよね。でもここで彼女が「私がベースと残る」と言ったということが重要なのだ。彼女はそれで自分のバンドマンとその楽器を守った。それが大事なのだ。

よく雇い主/雇われという雇用状態が成立している場合、単純な人は雇われた側が弱い…と思うのだろうが、それはまったくウソで、本当に金銭の受け渡しをこえた信頼関係がないと良い結果は絶対にもたらせないのだ。自分が人にギャラを払う側にならないと分からないのだが、雇い主やプロデューサーは結果を最大限に出すことが使命であって、自分が雇った人たちにチヤホヤされたいからギャラを出すのではないのだ。誰がこのプロジェクトの責任者なのか、というのはなった者でないと分からないだろう。でも、それが「いいだしっぺ」の使命なのだ。誰のツアーなのか、ということなのだ。そういう責任者の責任なのだ。

そして待っていた彼女を待ち受けていたダンさんの言葉がいい。「ひろみは絶対に来るってわかってた。だからプロモーターにも落ち着くように言ったんだ、彼女は絶対に来る、信じろ、って」って。

これは号泣もんである。

ちょっとこれ規模は違うけど昨年の私のペッテリ/インターFM/台風直撃事件にも通じるよね。こっちは公演じゃないから、別にキャンセルになったとしてもたいしたダメージではなかっただろう。でも、そういう問題じゃないのだ。そういう風に問題を捉えるとホントに大事なことをすべて見失ってしまう。

そして何も言い訳をいわずステージにたつ彼女もめちゃくちゃ素敵だ。でも最後にちょっと意地悪なことを書いてしまうと、こういう時のライブって、実はものすごく演奏が良くなることが多いんだよね。そうやって音楽はすべてを昇華していく。素晴らしいよね。

そして、この話って、ホントにどんな職業にでも言えることだと思う。いろんな人と一緒に仕事をしていると分かるんだけど、実は自分の責任を果たさない人、または果たすことが出来ない人って実際ものすごく多い。もちろん努力したけど出来ませんでした、ってのはあるかもしれない。でも、だったら引き受けなきゃ良いと私は思うんだよね。チームで働いていたら自分のミッションはこれだ、と決まったら、もうそれは決定的なのだ。出来ませんでした、では絶対に済まされない。特にライブの現場では。

成功するコツは何が重要かという事を、自分の価値観分かってくれて、それを共有できる素晴らしい仲間と出会うこと。そしてその仲間の信頼に「絶対に」答えること。それにつきると思う。

すべてのツアーするミュージシャンにGOOD LUCK!

ウチのミュージシャンはホントに間違いなく私の信頼に応えてくれる。その証拠にだいたい地元での演奏より日本での演奏のほうがいいんだよね(爆) 絶対に良い演奏をしてくれる。手は抜かない。そして、それがイコールお客さんの信頼にも答えることになるわけだ。

kanも絶対に信頼に答えてくれるすごいバンドだ。演奏については絶対にはずさない。そこがすごいと思う。公演まであと2ケ月。よいお席はお早めに。



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