「ソーラス来日記念トークイベント」に行ってきました 後半

前半より続く…ここからはソーラスの新作「シャムロック・シティ」の話題になります。

恵子さんより。ソーラスからこういうコンセプトアルバムが出て来たのは、すごく画期的なことだと思う。

話を振られた英輔さんは「ぜひ五十嵐さんのライナーを読んでください」(会場爆笑)

…というわけで、まずはトレイラーから紹介。なぜか会場では字幕が入ってないものが流れてましたが、こっちが字幕入りのものです(笑)



1910年、シェイマスの曾祖父の従兄弟であるマイケル・コンウェイは、アイルランドのメイヨー州からモンタナにあるビュートに移民していった。ビュートは鉱山があって、アイリッシュがオーナーだったこともありアイリッシュが比較的仕事を得ることが簡単な場所だったそうだ。マイケルはわずか25歳で殺されて亡くなる。

実はシェイマスは2003年だかに始めて自分がビュートに行くまで、この話をまったく知らなかったそう。アイリッシュ音楽のフェスティバルが、そこでは定期的に行われており、そこに行く、と両親に話したら「あそこには親戚がいるんだ、墓があるから」みたいな事を話され、はじめて曾祖父の従兄弟、マイケルのことを知ったのだそう。

タッドの解説「トム・クルーズとニコール・キッドマンの<遥かなる大地へ>で、素手でボクシングをやるシーンが出てくるが、あれが賭けボクシング。あれをやらされ、八百長を断ってワザと負けることをしなかったマイケルは、一人でいるところを保安官に殴り殺されてしまった」

恵子さん「シェイマスは当時の新聞記事などを詳しく調べて,それを綴ったアルバムを作ろうと思った。個人的な事だけではなく,当時のアイリッシュの人々の運命や人生を象徴するようなアルバムを」「アルバムの印象としては、とても映像的で大きな世界を描いていると思う」

英輔さん「シェイマスとしてもこんなにオリジナル曲が多くを占めるアルバムは今までにない、これが完成したら次のレベルに行ける、って言っていた」

マイケルの独白もあれば、アイリッシュの生活全体のこともある。全体としてどういう町か、どういう労働環境だったのか…など。

M1  Tell God and the Devil



すごく危険な環境での毎日の苦しい労働だけど、なにくそ、まだまだ死ねるもんか…と踏ん張る移民たち…そういう内容の歌。

恵子さん「たくましさや、前向きな踏ん張りが素晴らしい。鉱山も掘っていたら潰れたりして命を落とす人が多かった。肺を痛めたり。空中ランチという映画も紹介しているが、あぁいう高い建物の上でも、みんな命知らずで仕事をしていた。100人に2人はほんとに落ちて命を落としたり、2人は身体に致命的なダメージを負ったりしていた」

英輔さん「実際マゾみたいだよ。だからこそ、本当に食べられなくなるまでアイルランド人は自分の祖国にギリギリまで留まった。でもジャガイモ飢饉でどうしようもなくなり移民するようになった」

タッド「今回はシェイマスの演奏はバンジョーが多い。普通アイリッシュだとバンジョーでメロディを弾くのだけどシェイマスはオールドタイム的な弾き方をする。シェイマスによると、アルバムにおける楽器のサウンドがすでにバンジョーというイメージが製作前から出来上がっていたのだそう。鉱山町をイメージさせるサウンドの楽器としてバンジョーが使われている」

英輔さん「ビュートの町の雰囲気もすごくいい。昔の雰囲気のある場所で、そこからこみ上げてくるような風景もある。おそらくシェイマスは親戚がいなかったとしても、このプロジェクトを進めただろう。なんというか、軍艦島じゃないけど、そういう気持ちを喚起させるような場所。ビム・ベンダーズも、あそこで映画を撮っている」

M2  Michael Conway



ミックのヴォーカルが印象的。これは前回の来日時にすでに歌っていた。

恵子さん「こういう新しい伝統歌というのが素晴らしい。アイルランドの文化として台所でお話をするように伝統歌を歌うわけだけど、それをシェイマスが今作り、おそらく100年後の誰かが歌うかもしれない。伝統がつながっていく感じがして、すごく嬉しい。アイリッシュ・アメリカンとしての新しいトラッドが生まれている。シェイマスは自分でもすごく手応えを感じている、と話していた」

タッド「伝統歌、っていうのは時代によって変えていいんだ、というのはピート・シガーも言っていた。伝えられて行く、その時のシチュエーションを取り込んで良い、と。取り込んで行くことで生き続けていく、と」

英輔さん「ザ・バンドの『南十字星 Southern Cross』に入っていても良いね,この曲は」

M3 Lay Your Money Down



現在もっともタッドが注目しているアーティストの一人、Carolina Chocolate Dropsのシンガー、リアノン・ギデンスがゲストで録音している。

M4  Am I Born To Die



深くてゴスペルみたいな曲。これをカランが歌ったら、また素敵でしょうね〜♥ ドック・ワトソンも歌っていた伝統歌のカバー。

恵子さん「シェイマスは映画を作っていて、それを今回の来日で持ってくる予定。いつも連絡すると“90%は出来上がっている”っていう返事なんだけど(会場爆笑)」「こういう知らない事を、音楽が教えてくれるって本当に素晴らしいと思う」

最後は再び長浜さんと大渕さんの素晴らしい演奏がありました。バウロンとフィドルだけで、すごく立体的! 素晴らしい。

そして…なんと今日発表になったんですが! 6月1日の「空中ランチ」の最終上映の後にシェイマスの、そのホヤホヤ貴重映像もかける予定。ソーラスのメンバーもやってくるそうです。いや、この日程はきっとそうじゃないかと私も思ってたんですよ。楽しみぃ〜

皆さん、6月1日(日)はアップリンクに集合。今から予定をあけておいてください!!!

5/29 梅田クラブクアトロ
5/30 焼津文化会館
5/31 ヨコスカ・ベイサイド・ポケット
6/2 DUO MUSIC EXCHANGE

すべての詳細はこちらへ!













それにしてもカランも来るだなんてホントに嬉しいな…と、あくまで「Newry Highwaymanが好きな野崎でした〜。でもジョンがいないとこの曲はやらないかも?




仲良しタッドと英輔さん、お疲れさまでした〜

PS
5/12 深夜01:50時点で、多少五十嵐正さんから訂正が入ったところを訂正しました。五十嵐さん、ありがとう〜!