ヴェーセンの25周年公演スウェーデン 全世界から関係者が集まる |
「音楽業界全体、ホント大変だけど、お互い生き残ってるだけ良しとしないとね」とメールの最後に書いたら、「俺の事務所はもう開店休業さ。今やってるバンドは継続して手伝うけど、もう新しいアーティストはやらない。この業界で生き残ってるのはお前だけだ」と言われてしまい、ちょっと寂しくなる。
NY Timesにこんな記事が載った。音楽業界の重鎮たちはせめて自分が現役でいるうちはこの音楽ビジネスの現在の体がくずれてほしくないと思っている。そして自分たちが定年まで無事に逃げ切ることしか考えていない。誰も日本の音楽シーンをどうやって豊にしていくかとか、ミュージシャンの将来なんて心配してない。でもそんなことはどうでもいい。人のことはどうでもいいんだ。私は私の信じるミュージシャンを応援するんだから。
先日も友達宅で飲んでいて熱く語ってしもた。うっとおしいよね、オレ(笑)。実はTwitterでは何度かつぶやいたのだが、最近5年ごしにラブコールしてたアーティストのマネジメントからやっと来日の承諾が来たのだ。会場はすでに押さえた。小さな場所だけど5/30。東京公演だけだけどこの日は開けておいてね。まったく無名の人なので、最初はプロモーションだ。利益はおそらくないし、でもそんなことはどうでもいい。
それにしても、最近自分自身で設定したハードルが高くて、ホントに困っている。そもそもヴェーセンだの、マーティン・ヘイズだの、ポール・ブレイディなどやっていると、もうどんどん、どんどんハードルが上がってしまうのだ。もうこれ以上の、もしくはこれと同じくらい良い音楽を見つけるのは不可能だろう、と自分でも思う。
でも友達のユキさんが21歳の新人無名バンドと楽しそうに仕事しているのを見て、私も勇気を出したのだ。新しいアーティストをやらないとダメだ、って。で、また、あそこにメールいれてみよう、って。だめだろうな、でもダメもとで…と、8月後半の海外出張前にちらっとメールいれたら、なんと! 「やってみようか」というポジティブな返事がやっと来たのだ。信じられない。どういう風のふきまわしだろう。どっかから私の評判を聞いたのだろうか。業界狭いから誰かが私について良い事を言ってくれたのだろうか。分らない。でもきっと想像するにこの5年間、日本からのアプローチが私以外いっさいなかったんだろうね。とにかく先方はオッケーしてくれた! あとはもう…やるしかない!
で、このアーティストがいったい誰なのかというのを仕事仲間に聞かれたけど、いやいや、今、名前を言っても誰もこの人のことは知らないって。とにかく現在日本ではまったく無名。また発表時の情報が大事なのよ、こういうのって。発表した時の興奮度で決まる部分があるから、言いたくても、まだまだ黙っていなくてはいけない。
そしてね、究極を言えば売れるか売れないか、ってのは、もうどうでもいいんだ。これ、自分の仕事を自分で作るタイプの仕事している人じゃないと分らないと思う。いいんだ、別に失敗しても。致命的な失敗じゃなければ。失敗してもいい。このアーティストとなら構わないって、そういうアーティストに出会えることが重要であって、そういうアーティストに会ったら、もう別に後は失敗してもいいんだわ。そのアーティストがすごいという事を自分が何も疑いもなく信じられさえすれば、それでいいんだわ。で、ちなみに今回のこのアーティストは、ホントにそのくらい自信がある。楽しみ。
来年の5月、そのアーティストをやる。CDはメジャーで出したいなと考えており、現在一緒に頑張ってくれるレーベルを熱血募集中。ここを見てくださっているメジャーレーベルの皆さん(いるのか、そんな人?!)、興味があったらmplant@mplant.comまで連絡をください。是非。これはホントに素晴らしいです。
でもその前に! 私にはヴェーセンの8度目の来日公演が待っている。ヴェーセンのツアー、東京のチケットの状況はまずまずなんだけど、ホントに地方がやばいことになっている。特に神戸。このままだと次回は関西飛ばしになりかねない。
でもそれにしても不思議だ。誤解を恐れず言ってしまうと、毎回あれだけの音楽を見せておいて、どうして動員が減るのか私にはさっぱり理解ができないよ。だって、今までヴェーセンがヘンなコンサートやったかね? チケットを買ったことを後悔させたかね? そりゃ私は自分のアーティストに厳しいから「今日はいまいち」とか言ったことあったかもしれない。でもそのヘンのアコースティック・バンドには絶対に負けない、ものすごいものを常に見せてきたはずだ。それを信用してほしい、と思うのだが… いや、私のことは信用しなくてもいいから、ヴェーセンの音楽を信用してほしい、と思う。今まで関西では公演けっこうやってきたし…でもみんなもう聞きたいと思わないんだろうか。
ヴェーセン、見るたびにすごい変わってますよ。すごい成長している。ヴェーセンの3人は私とおなじくらい年寄りでおっさんたちだけど、ヴェーセンが生み出す音楽は別の生き物で、まだまだメキメキ、グネグネとおおきくなりつつある。3年間聞かなかったら、まったく違う、と思ってもいいと思う。私は…海外を含めだいたい半年に1度は見てるけどね。何度聞いてもまったく飽きないよ。本当にすごい音楽だよ。
しかし本当にビジネスが辛い。最近プロモーター仲間で話すと全部そんな感じだ。東京はともかく、ホントに地方がやばいって。昔から大阪は東京の20%って感じだったけど、最近はその差がますますひどい。いったい誰が音楽業界、CDは辛くてもライヴは売れてる、って勝手な事言ってんだろと思う。そんなところ、私の周りには1つもいない。みんなひたすらに「ライヴだろうが、CDだろうが、お客のお財布を開けさせるのが本当に難しい」と言っている。売れているのは昔の名前で出てる過去のビックネームと、クラシックでいえばベートヴェンを分りやすくやりますみたいな公演ばっかりだ。
いや、ホントに辛い。でもね、私の場合、ヴェーセンが認められなくては仕事をしている意味がないのだ。いやもっと言ってしまえば生きている意味がまったくなくなる。すべての、私のすべての道はヴェーセンにつながっているのだから。
毎日頑張ってブログを書くのも、ここが多くの人に認知されて、ヴェーセンのチケットが1枚でも売れるように、ということで書いている。ここは最近、ものすごくアクセスが良く、映画とか本とかのレビューを書くと結構な数の閲覧者が来る。皆さん、このページを見て、おもしろいと思ったら、この記事を書く私の、超お薦めの公演に…ぜひ興味を持ってください! お願いします! スウェーデンから来日する、ものすごいバンドです。おそらく現存するアコースティック・アンサンブルでは、最高峰だと思う。関西のお客さん、ほんとに頼みますよーーーー!
……って、この文章書いてて5分前までは「売れなくてもいい」って言っていながらこれだから、自分でも笑うよね。ふふふ。そう売れなくちゃ困るんです。せめて続けられる規模くらいには。
ま、頑張ります! 好きな音楽をやっているんだから、私は元気です。続けたくても辞めちゃう人がホントに多い音楽業界だもの。このラッキーさに報いるためにも。
来日公演の詳細はこちら〜