まず普通、こういった大学のテキストみたいな種類の本は、翻訳から抽出された日本語が分りにくく読み進むのがしんどいのが常なんだけど、この本はなぜか非常に読みやすかった。翻訳者がチーム制で優秀だということ? 編集者が優秀? いずれにしても本の値段は結構するし分厚いハードカバーなんだけど、ぜひ気後れせず買ってほしいし読んでほしいと思う。すごく面白いから本だから。
ここには知っておいて損はないことが山のように載っている。この本、かなり古くて、この2版も2007年に出てすでに8年たっているけど。いやいやまだまだ使える本当に名著だと思う。自分にとっては勝間和代さんの「断る力」、森博嗣さんの「自由をつくる、自在に生きる」と同じくらいパワーがあったと思う。
まず人間は常に何らかの影響をうけて行動している、ということを自覚せよ、と本書はスタートする。人間の行動は無意識に行われている事が多い、ということ。「カチッ・サー」スイッチを入れるとテープが周り出す……それと同じで、この複雑な社会である程度の秩序を作りだすために、人間の行動は多くの影響力を受けながら実は自動的に決定されていると。
実際、社会生活を送るには、こういった力に従った方が良いことの方が多いとも。それは返報性(いわゆるギブ・アンド・テイク)、一貫性、好意、権威など。そして、そのすべてが、この社会が機能するために重要な事であり、また個人にとってもこの社会を合理的に生きて行くための重要な情報でもあったりするわけだ。
確かに多くの場合それが正しい。でも本来は個人の1つ1つの判断が必要だった本当に重要な行動においてまで、そういった「カチッ・サー」に支配されていないか?
さらに知っておかねばならないのは、そういった影響力を目ざとく使える一部の人間によって、あなたの人生が悪い方向へ影響をうけていないのか、という事。つまり人間の、この習性とも言っていい影響力への「カチッ・サー」は、また他人をコントロールしようとする人間にとっては、簡単に使える影響力の武器にもなりうるのだ、という事。
例えば、こんな実験結果がある。コピー機の前で作業をしている人に割り込ませてほしいと頼む時「すみません、急いでいるので5枚だけだから先にコピーを取らせていただけませんか」とお願いするのと、ただ「お願いします、先にコピーを取らせていただけませんか」と言うのとではまるで影響力が違う、と本書は解説する。さらに実検結果が教えてくれた驚愕の結果は「〜だから」の「〜」理由の部分がたいした理由である必要もない、というもの。たとえば「すみません、コピーを取りたいのでコピーを取らせていただけませんか」とか。つまり人はbecause…と聞いただけで、コピー機をより多くの人が相手に譲るのだ。つまりbecauseの先のことなんか誰も真剣に考えていないのだ、と。
コピー機の譲り合い程度だったら、その程度でもいい。そういった影響力はとにかく社会のそこここに散らばっている。それを本書では1つ1つ例をだし、詳細に解説し、その防衛法までもが紹介されているのだ。
そのうちの一つが「社会的証明」つまり大多数の人がある行動を取った場合、あなたも同じ行動を行う可能性が高い、ということ。社会的にこちらの方が正しいと判断されると自分も何も考えずに同じ行動を取ってしまう、ということ。印象に残った例の1つにこんなものがある。ニューヨークで起こった事件で、38人もの目撃者あった、とある女性が出くわした路上での事故において、誰も被害者を助けようとしなかったばかりか、誰も救急車や警察を呼ばなかったという例。「誰かがもう呼んだだろう」「誰かが助けるだろう」この恐ろしい人間社会においては、そんな理不尽がありうる。
でもってこの本のすごいのは、そんな影響力にあらがう方法、そこから抜け出し健全な判断力を備えるという対処法まで書いてあること。だから例えばあなたが路上で事故にあって誰かに助けてほしいときなどは、群衆に向って「誰か助けてください」と言っても効果はない、という事を覚えておかないといけない。(確かにアメリカなんか特にそうだと思う)こういう場合は「そこの赤いセーターの、そうあなたです、あなた。あなたが私を助けてください」と具体的に言わないと助けてもらえないぞ、ということ。人間にはより多くの人が行動するのと同じように行動するという習性があるから、もし多くの人がだまって静観している場合、誰もあなたを助けてくれない可能性は非常に高い、と。うーん。
さらに「一貫性」 1人の人間において一貫性の影響力は実は非常に大きい。確かに良い意味で一貫している、ということは私たちの文化の中でとても高い価値がおかれているし、実際そうあるべきなのだが、ここにも実は大きな危険が存在している。一貫性にしたがって物事に対処すれば、だいたいにおいては上手くやっていけるし、人々の信頼を得られる。でもそれが悲惨な結果を導いてしまうこともある、というのを覚えておかないといけない、ということ。例えばどうしようもないパートナーとなかなか別れられない恋人たち。人間は複雑な問題に直面したとき、自分の一貫性のテープを作動させ、考えない方へと流れがちだ。そしてその方が、より楽しく生きていけると判断するという恐ろしい勘違いもある。「考えるという本当の労働をさけるために、人はどんな手段にも訴える」(ジョシュア・レイノルズ)
一貫性は公的自意識が高い人にすごく有効なんだそうだ。例えばドゴールは「タバコを辞める」と公に言うだけでタバコを辞められたそう。自分の言葉を裏切ることが出来ない、そういう性格だからだ。これは私も実は近くて、エイプリル・フール以外、嘘は付かないし(笑)「走る」とツイートすれば実際走れてしまう。基本的に人間は言ったことは守るように出来ている、ということなのだ。だからこの習性はプラスの方向に使った方がいい、って事だけど、同時にマイナスにもなりうる、ということをよく覚えておかないといけない。
他にも例えば高価なものはある程度品質があると考えることも「カチッ・サー」的な判断している、と。他にも「知覚のコントラスト」など。まずは必要のない豪華の物件から売り込みはじめ、最終的には「リーズナブルな物件」を必ず売りつけてしまう不動産のセールスマンなども紹介されていて、非常に興味深く読んだ。
また本書によれば、例えば飛行機などの乗り物、医療などの複雑な分野において、人の肩書き、権威、制服などによって人間の「カチッ・サー」が発動してしまい、そのことが原因で起こる深刻な事故が非常に多いという。船長が間違うはずがない。偉い医者の先生が間違うはずがない。制服を着ている人は偉い人だ。そんな人々の思い込みが、緊張感あふれる現場で、実は非常に大きな問題を引き起こしているのだ、と。
さらに「希少性」も紹介されている。自分の行動を決定するとき、物事の本質ではなく単に「希少性」に惹かれていないか? たとえばウチの例を上げると(笑)MUSIC PLANTがヴェーセンの来日を決めた。今回はなんとフィンランドのJPPがゲスト出演するという。9人のミュージシャンが東京に揃うなんて、おそらく…今後ほとんどありえない。果たしてそのチケットを買う時、お客さんはその希少性だけに惹かれていないか? 本当に彼らの音楽の価値が分った上でコンサートに行くことを決断しているのか。コンサートにおける海外のミュージシャン同士の共演は非常に簡単にできる希少性の演出だ。私も時々「バンドはいつか解散しますよ」と言ってお客さんにウチの公演を希少性を押し付けるような物言いをすることがある。なので、お客さんは、それを理解した上で判断した方がいいと思う。私だって「これだけ長くこれだけのクオリティの公演をプロデュースしている野崎だからだこそ信頼してコンサートに行くのだ」と思ってほしいと思っている(でもこれも一貫性の賜物だ)。でもホントにお客さんには物事の本質を自分でしっかりと見極めてほしいのだ。それはYou Tubeのライブ映像でもCDでもいい。自分の耳で聞いて、本当に良いかしっかり判断して、そしてライブのチケットを買ってほしい。そうでないと、ウチが紹介している音楽に、しっかりした将来はない。
コンサートの動員、という意味では、面白い例も載っていた。広告でワザとチケット代を載せないで広告をするというもの。そうすると興味を持ったお客は「チケット代は幾らですか?」と問い合わせの電話をかける。するとその「電話をかけたこと」が、この件に関する小さな最初のコミットメントとなり、そのままチケットを買ってしまう人が多い(小さなコミットメントから一貫性へ)、という驚愕の事実が発覚。なるほどねー。もっとも大きな公演を作る人じゃないと使えないテだと思うけど。つまり人間はちょっと行動するだけで、その後、同じ行動の一貫性をつらぬきたがる、という習性がある、ということなのだ。すごいよね。ウチも次回の公演からワザと情報を減らしてお客さんに問い合わせのコミットを誘導するのか?(うわ〜やりたくない/笑)
一方でちょっと首をかしげたのは無料サンプルを与えることで、商品を買うお客が増えた、というくだり。本の中でも冒頭に紹介されている「返報性のルール」。これ音楽業界でいつも主催者が疑問にしている事なんだけど「無料でコンサートに来たお客は、次にアーティストが有料公演を行った時にチケットを買ってくれない」という説が最近では有力だ。また「無料コンサートに来たお客はCDにもお金を落としてくれない」なんていう説もあるかな。もっとも、この傾向については、ここ4、5年でずいぶん変わったと思うし、今後も変わっていくと思う。今やどんな状況においてもお客さんのお財布を開いてもらうことは非常に難しい。また無料公演を作るだけの経済力やコネもない。音楽ばかりではなく化粧品だって、食品だって、無料サンプルをもらったからと言ってお客は商品を必ず買うとは決まっていない。そのパーセンテージはどんどん下がってきていると思う。
反対に、なるほど、これは気付かなかった! 即導入!!!と膝を打ったのがクレジットカードの表示。例えばレストラン。例えばお店。実はクレジットカードの表示を掲げると、何故か現金で払うお客ですらも積極的にチップを払い、より高額商品を買うという実検結果が出ているそうだ。さっそくウチもそうすることにした(笑) PAYPALの案内のロゴをCDショップやチケットの申込ページに設置したよ(爆)
ホントに今後はどんな行動を起こすにしても、人はすべてにおいてよく考えないといけない。理路整然と落ち着いて判断を下すのが大事なのだ。何かを考えて行動する時、それは本当に自分で判断したことなのか?「カチッ・サー」の賜物じゃないのか?と何度も疑ってみることだ。
重要なのは本当に自分で考えて選びとった人生を送っているのか、ということ。そういう意味では、ちょっと「自由をつくる〜」にもメッセージが似ているかな。そんな風にホントに人間は危うい、考えない存在なのだというのを自覚する必要がある。そして一部の「影響力の武器」を使える連中に自分の人生をコントロールされてはいけないよ、と。
まぁ、そんな風に、このブログを読んでくれているお客さんにおいては、これからも厳しく私が紹介する音楽を吟味し見守っていてほしいと思う。
…とかなんとか書いてたら、オーマイガー! なんとこの本の第3版がすでに発売になってるじゃないの!? うーん、こっちも読んだ方がいいのか。でもって「実践編」や「コミック編」まで売ってる!? もっとも本編ほど評判はよくないみたいだけど、ちょっと興味あるかも。いずれにしても何度も読み返して自分の事業にもプラスの方向に生かして行きたい本です。
こういうプロモビデオも「影響力の武器」かも?(笑)ウォリス・バードの2009年のプロモビデオ。いい曲だよね〜 5月来日です。詳細はここ。
ここには知っておいて損はないことが山のように載っている。この本、かなり古くて、この2版も2007年に出てすでに8年たっているけど。いやいやまだまだ使える本当に名著だと思う。自分にとっては勝間和代さんの「断る力」、森博嗣さんの「自由をつくる、自在に生きる」と同じくらいパワーがあったと思う。
まず人間は常に何らかの影響をうけて行動している、ということを自覚せよ、と本書はスタートする。人間の行動は無意識に行われている事が多い、ということ。「カチッ・サー」スイッチを入れるとテープが周り出す……それと同じで、この複雑な社会である程度の秩序を作りだすために、人間の行動は多くの影響力を受けながら実は自動的に決定されていると。
実際、社会生活を送るには、こういった力に従った方が良いことの方が多いとも。それは返報性(いわゆるギブ・アンド・テイク)、一貫性、好意、権威など。そして、そのすべてが、この社会が機能するために重要な事であり、また個人にとってもこの社会を合理的に生きて行くための重要な情報でもあったりするわけだ。
確かに多くの場合それが正しい。でも本来は個人の1つ1つの判断が必要だった本当に重要な行動においてまで、そういった「カチッ・サー」に支配されていないか?
さらに知っておかねばならないのは、そういった影響力を目ざとく使える一部の人間によって、あなたの人生が悪い方向へ影響をうけていないのか、という事。つまり人間の、この習性とも言っていい影響力への「カチッ・サー」は、また他人をコントロールしようとする人間にとっては、簡単に使える影響力の武器にもなりうるのだ、という事。
例えば、こんな実験結果がある。コピー機の前で作業をしている人に割り込ませてほしいと頼む時「すみません、急いでいるので5枚だけだから先にコピーを取らせていただけませんか」とお願いするのと、ただ「お願いします、先にコピーを取らせていただけませんか」と言うのとではまるで影響力が違う、と本書は解説する。さらに実検結果が教えてくれた驚愕の結果は「〜だから」の「〜」理由の部分がたいした理由である必要もない、というもの。たとえば「すみません、コピーを取りたいのでコピーを取らせていただけませんか」とか。つまり人はbecause…と聞いただけで、コピー機をより多くの人が相手に譲るのだ。つまりbecauseの先のことなんか誰も真剣に考えていないのだ、と。
コピー機の譲り合い程度だったら、その程度でもいい。そういった影響力はとにかく社会のそこここに散らばっている。それを本書では1つ1つ例をだし、詳細に解説し、その防衛法までもが紹介されているのだ。
そのうちの一つが「社会的証明」つまり大多数の人がある行動を取った場合、あなたも同じ行動を行う可能性が高い、ということ。社会的にこちらの方が正しいと判断されると自分も何も考えずに同じ行動を取ってしまう、ということ。印象に残った例の1つにこんなものがある。ニューヨークで起こった事件で、38人もの目撃者あった、とある女性が出くわした路上での事故において、誰も被害者を助けようとしなかったばかりか、誰も救急車や警察を呼ばなかったという例。「誰かがもう呼んだだろう」「誰かが助けるだろう」この恐ろしい人間社会においては、そんな理不尽がありうる。
でもってこの本のすごいのは、そんな影響力にあらがう方法、そこから抜け出し健全な判断力を備えるという対処法まで書いてあること。だから例えばあなたが路上で事故にあって誰かに助けてほしいときなどは、群衆に向って「誰か助けてください」と言っても効果はない、という事を覚えておかないといけない。(確かにアメリカなんか特にそうだと思う)こういう場合は「そこの赤いセーターの、そうあなたです、あなた。あなたが私を助けてください」と具体的に言わないと助けてもらえないぞ、ということ。人間にはより多くの人が行動するのと同じように行動するという習性があるから、もし多くの人がだまって静観している場合、誰もあなたを助けてくれない可能性は非常に高い、と。うーん。
さらに「一貫性」 1人の人間において一貫性の影響力は実は非常に大きい。確かに良い意味で一貫している、ということは私たちの文化の中でとても高い価値がおかれているし、実際そうあるべきなのだが、ここにも実は大きな危険が存在している。一貫性にしたがって物事に対処すれば、だいたいにおいては上手くやっていけるし、人々の信頼を得られる。でもそれが悲惨な結果を導いてしまうこともある、というのを覚えておかないといけない、ということ。例えばどうしようもないパートナーとなかなか別れられない恋人たち。人間は複雑な問題に直面したとき、自分の一貫性のテープを作動させ、考えない方へと流れがちだ。そしてその方が、より楽しく生きていけると判断するという恐ろしい勘違いもある。「考えるという本当の労働をさけるために、人はどんな手段にも訴える」(ジョシュア・レイノルズ)
一貫性は公的自意識が高い人にすごく有効なんだそうだ。例えばドゴールは「タバコを辞める」と公に言うだけでタバコを辞められたそう。自分の言葉を裏切ることが出来ない、そういう性格だからだ。これは私も実は近くて、エイプリル・フール以外、嘘は付かないし(笑)「走る」とツイートすれば実際走れてしまう。基本的に人間は言ったことは守るように出来ている、ということなのだ。だからこの習性はプラスの方向に使った方がいい、って事だけど、同時にマイナスにもなりうる、ということをよく覚えておかないといけない。
他にも例えば高価なものはある程度品質があると考えることも「カチッ・サー」的な判断している、と。他にも「知覚のコントラスト」など。まずは必要のない豪華の物件から売り込みはじめ、最終的には「リーズナブルな物件」を必ず売りつけてしまう不動産のセールスマンなども紹介されていて、非常に興味深く読んだ。
また本書によれば、例えば飛行機などの乗り物、医療などの複雑な分野において、人の肩書き、権威、制服などによって人間の「カチッ・サー」が発動してしまい、そのことが原因で起こる深刻な事故が非常に多いという。船長が間違うはずがない。偉い医者の先生が間違うはずがない。制服を着ている人は偉い人だ。そんな人々の思い込みが、緊張感あふれる現場で、実は非常に大きな問題を引き起こしているのだ、と。
さらに「希少性」も紹介されている。自分の行動を決定するとき、物事の本質ではなく単に「希少性」に惹かれていないか? たとえばウチの例を上げると(笑)MUSIC PLANTがヴェーセンの来日を決めた。今回はなんとフィンランドのJPPがゲスト出演するという。9人のミュージシャンが東京に揃うなんて、おそらく…今後ほとんどありえない。果たしてそのチケットを買う時、お客さんはその希少性だけに惹かれていないか? 本当に彼らの音楽の価値が分った上でコンサートに行くことを決断しているのか。コンサートにおける海外のミュージシャン同士の共演は非常に簡単にできる希少性の演出だ。私も時々「バンドはいつか解散しますよ」と言ってお客さんにウチの公演を希少性を押し付けるような物言いをすることがある。なので、お客さんは、それを理解した上で判断した方がいいと思う。私だって「これだけ長くこれだけのクオリティの公演をプロデュースしている野崎だからだこそ信頼してコンサートに行くのだ」と思ってほしいと思っている(でもこれも一貫性の賜物だ)。でもホントにお客さんには物事の本質を自分でしっかりと見極めてほしいのだ。それはYou Tubeのライブ映像でもCDでもいい。自分の耳で聞いて、本当に良いかしっかり判断して、そしてライブのチケットを買ってほしい。そうでないと、ウチが紹介している音楽に、しっかりした将来はない。
コンサートの動員、という意味では、面白い例も載っていた。広告でワザとチケット代を載せないで広告をするというもの。そうすると興味を持ったお客は「チケット代は幾らですか?」と問い合わせの電話をかける。するとその「電話をかけたこと」が、この件に関する小さな最初のコミットメントとなり、そのままチケットを買ってしまう人が多い(小さなコミットメントから一貫性へ)、という驚愕の事実が発覚。なるほどねー。もっとも大きな公演を作る人じゃないと使えないテだと思うけど。つまり人間はちょっと行動するだけで、その後、同じ行動の一貫性をつらぬきたがる、という習性がある、ということなのだ。すごいよね。ウチも次回の公演からワザと情報を減らしてお客さんに問い合わせのコミットを誘導するのか?(うわ〜やりたくない/笑)
一方でちょっと首をかしげたのは無料サンプルを与えることで、商品を買うお客が増えた、というくだり。本の中でも冒頭に紹介されている「返報性のルール」。これ音楽業界でいつも主催者が疑問にしている事なんだけど「無料でコンサートに来たお客は、次にアーティストが有料公演を行った時にチケットを買ってくれない」という説が最近では有力だ。また「無料コンサートに来たお客はCDにもお金を落としてくれない」なんていう説もあるかな。もっとも、この傾向については、ここ4、5年でずいぶん変わったと思うし、今後も変わっていくと思う。今やどんな状況においてもお客さんのお財布を開いてもらうことは非常に難しい。また無料公演を作るだけの経済力やコネもない。音楽ばかりではなく化粧品だって、食品だって、無料サンプルをもらったからと言ってお客は商品を必ず買うとは決まっていない。そのパーセンテージはどんどん下がってきていると思う。
反対に、なるほど、これは気付かなかった! 即導入!!!と膝を打ったのがクレジットカードの表示。例えばレストラン。例えばお店。実はクレジットカードの表示を掲げると、何故か現金で払うお客ですらも積極的にチップを払い、より高額商品を買うという実検結果が出ているそうだ。さっそくウチもそうすることにした(笑) PAYPALの案内のロゴをCDショップやチケットの申込ページに設置したよ(爆)
ホントに今後はどんな行動を起こすにしても、人はすべてにおいてよく考えないといけない。理路整然と落ち着いて判断を下すのが大事なのだ。何かを考えて行動する時、それは本当に自分で判断したことなのか?「カチッ・サー」の賜物じゃないのか?と何度も疑ってみることだ。
重要なのは本当に自分で考えて選びとった人生を送っているのか、ということ。そういう意味では、ちょっと「自由をつくる〜」にもメッセージが似ているかな。そんな風にホントに人間は危うい、考えない存在なのだというのを自覚する必要がある。そして一部の「影響力の武器」を使える連中に自分の人生をコントロールされてはいけないよ、と。
…とかなんとか書いてたら、オーマイガー! なんとこの本の第3版がすでに発売になってるじゃないの!? うーん、こっちも読んだ方がいいのか。でもって「実践編」や「コミック編」まで売ってる!? もっとも本編ほど評判はよくないみたいだけど、ちょっと興味あるかも。いずれにしても何度も読み返して自分の事業にもプラスの方向に生かして行きたい本です。
こういうプロモビデオも「影響力の武器」かも?(笑)ウォリス・バードの2009年のプロモビデオ。いい曲だよね〜 5月来日です。詳細はここ。