退路を断つ! 

「退路を断つ」ってのは、取引先の友人が聞いたというジブリの鈴木プロデューサーの名言なのだが、まったくもって正しいと思う。何かをやる時は、退路を断たないといけない。そうじゃないと物事は絶対に前に進まない。

そして、私にとって「退路を断つ」方法その1とは… まずミュージシャン本人に「必ずあなたのことは私が日本に呼ぶから」とはっきり断言してしまうことだ。これって皇太子の「雅子さんのことは私が必ずお守りしますから」ってのに似てないか?(笑)

似てない? あ、そう(笑) でも分かるかなぁ、そんな風に本人に直接言うのはものすごい覚悟がいる事なのよ。ふふふふふ…

例えば、よく聞く外国のビジネスマンの「日本のビジネスマン、ここが理解できない」のうちの1つ。日本人のビジネスマンはよくミーティングで調子いいこと言って、海外ビジネスマンが自国に戻りメールを入れると態度豹変、まるで物事が進まない、っての。あと他にも「日本ヘンだよ」の中には流通とか独自の問屋システムとか、いろいろあるんだけど、特に音楽業界なんかそんな話ばっかりで… 私も海外の人と日本の人を紹介する時、ホントにイヤになっちゃうくらいなのだが、まぁ日本のビジネスマンって決定権のない連中が多いから、そういう事なんだろう。で、決定権のある奴は現場に出てこない。そんなのばっかだ。で、人数ばっかり多い。

私はそういうのはとっても格好悪い事だと思っているので、責任の取れないようないい顔は人に絶対にしない。これ、有り難い事にウチから公演を買ってくれる、クライアントさんたちもみんなそうだ。みんなとってもストレートだ。それがすごく気持ちいい。人を単に喜ばせるためだけに簡単にいい顔をしない。逆にいい顔したら、もうその時点で責任を取る。物事を牽制したり、あれこれ探りあいをしている暇なんか、誰にもないのだから。そういう仕事仲間やクライアントさんに恵まれている私は本当に幸せだと思う。

でも世間ではそうじゃない事の方が多い。たま〜に自分の普段のテリトリー以外の人と仕事をする時、自分が普段どんなに恵まれているかヒシヒシと感じる時がある。

…という状況なので、私も絶対にアーティストに対して「あなたのことは私が面倒みるから」的なことを軽々しく言わない。その代わり気に入ったらもう一直線。大好き光線を一気に出して、絶対に物事を実現させる。それが私のカッコいいところだと自分でも思う。だから今回も、絶対に実現させるのだ、きっと!!

ホントにミュージシャンにそんな風に言うのは勇気がいる。でも久々に先日やってしまったのだ。「あなたのことは、私が必ず日本に呼ぶから」って。先日、言ってしまったのだ。本人に。あぁ、このワクワク感をなんとしよう。そもそもそういう風に言うってことは「あなたのことが好きです」って告白してるようなもんだからね。…とか言う話を、先日ウチのラウド&メトル事業部にしたら「野崎さん,楽しそうですね」と白い目で見られたので、あまりキャピキャピするのは控えることとする。…が(笑)

だけど、あぁ、でもこのドキドキ感をどう押さえよう!! この「自分のミュージシャンとまた出会っちゃった」った感!(笑) まるで新しい恋愛をしてるときの感覚と一緒である。一昨日もあっちの飲み会でのろけ、昨日もまた友達にどんなにこの新しいアーティストのことを愛しているか熱弁をふるってしまった…

そうね。そうそう、プロフェッショナルに。プロフェッショナルに。気をつけないと。あくまでプロフェッショナルに、プロフェッショナルに…!! そしてあまりノロけると人にねたまれるから、もっと不幸を装って…(爆)

いやいや、装うまでもなく、きっとそれは充分にイバラの道だろう。イバラの道だからこそ、とっとと退路を切り捨てないといけない。人に話すのも退路をたつ方法の1つである。「あの時、野崎さんあんなに盛り上がってたのにね、結局あのアーティストについては、あの後、なんにも起こらなかったね」とか言われる事は、格好わるくて、私の人生上、絶対にありえない。

…と、ここにも書いておいて、将来自分が迷った時の退路を断つのだ。そう、ここに書くことも退路を断つことの1つである。退路を断てば、絶対に物事は前に進む。それを絶対に実現させるために、私はたくさん仕事をする。人と同じ頑張り量じゃ、このイバラの道は絶対に越えられない。ウチの連中全員、世間に知られているような有名アーティストじゃない。でもそんな連中と、この大変さも、苦労も一緒にシェアしていくのだ。そんな苦労の道のりも、すべて私とそのアーティストだけのもの。私たちにしか分からない沢山の思い出やエピソード。一緒にずっと歩いて行く。だから今日も仕事頑張る。

野崎さん楽しそうですね、って、そうね、そりゃーもう最高に楽しいわよ。ふふふふ…
まだ自分の中にこんなパワーが残っているなんて、思わなかったんだもの。誰に反対されたとしても、この恋愛は成就させるの。っつーか、1回呼ぶのなんかはおそらく簡単だわ。きっと出来る。ただしそれを10年くらい続けるのは大変なのだ…

さて、この新しい恋愛の結果は(笑)…あと22ケ月後に分かりますので、お楽しみに…

なんだかんだで先日のグレンもよく考えたら12年やってることが発覚し、ちょっと自信がついた。確かにスクイーズだ、クリスだ、なんだかんだと何も知らない外野は簡単にあれこれ私に言ってくるのだが、自分がグレンと熱心なお客さんと一緒に作って来た「グレンのアコースティック・ソロ in ジャパン」の12年のキャリアもかけがえのないものだ。自分が今、手にしているものに感謝して、これからも、そういうのを作っていきたいと思う。オレもちょっとは大人になったのかな。… いや、違うな、まだまだ子供、って事かな?(笑)

ウォリスの静かにはじまりドラマチックに盛り上がる曲が好きである。この曲とか特に…。時々荒川土手で一緒に歌いながら走る。そうすると泣けてくる。彼女も5年のラブコールが実って、やっと実現した来日だ。5年間ずっとずっと、ずーーっとラブコールしてきた。それがやっと実って、やっと今回出来ることになった。頑張らなくちゃいけない。責任重大だ、と思う。ウォリスの来日公演詳細はここ