出張DAY3:フランクフルト郊外へウォリス・バード。これは圧倒的!!

ダブリンの空港に到着し、フランクフルトへ2時間のフライト。意識なくして寝ちゃったよ。そして到着すると、そのままホテルに荷物を置いて、郊外にあるライブハウスへタクシーで向かう。ついにウォリス・バードに会いにやってきた!

実は彼女にはちゃんと会ったことがなかった。前にもここに書いたけど、だいぶ前(多分ファーストとかの頃)にフェスというか、あれはおそらくTVの収録だったかもしれない。当然自分の別のアーティストとの関連で立ち会ってたから、そっちを無視してウィリス関係者に話しかけるわけにもいかず、それにまぁ彼女もその頃はあまり完成されてなかったから、いいなと思ったけど、あまり気にも留めてなかった。でもなんとなく彼女のことはずっと追いかけてて、セカンド出してしばらくたったときに、こりゃすごいな、日本でやれないかなと思うようになったのだった。だから実は今までちゃんとライブを見たことがなかった。海外出張の度にウォリスがどこでやってるか調べて、ずっと自分のスケジュールを調整してきた。でも今の今まで上手く調整できなかったのだ。

とか言ってるうちに来日の日程まで決まり、何と言ってもミュージシャンとの人間的な付き合いが重要なTHE MUSIC PLANTとしては成田で初めましてじゃいかんだろうと。(ちなみに、成田ではじめましてをやったバンドは、これだけ長くやっててたった1つだけなんですよ)で、それがやっと今回実行できたのだ。

ウォリスは今、新作制作の時期で、ライブは本数があまりない。でも先月も幾つかあったので、3月にグレンの前に行こうか、という話もあった。でもそっちにしてたらグリーンランドの仕事は受けられなかったのだから、やっぱりミュージシャンの運というか流れというか、すごいよなぁと思う。いいミュージシャンと付き合うと自然に自分の流れが出来ていく。

今日の会場はすごく素敵な、ドイツ的な感じで、巨大なパブって感じ。ウォリスはサウンドチェック中だったけど、私を見つけてステージから飛び降りてきてくれる。ちっちゃーい!   そしてものすごく可愛い!   今、また金髪になってるんだけど、本当に可愛い!   でっかい小豆色のジャンパーを腕をまくりながら無造作に着ているのが、これまたキュート。

サウンドチェック終わらせちゃってよー、こっちは大丈夫だからとか言っても、飲み物とかどう?とか、すっごく気を使ってくれるので、返って訪ねて行ったのが悪いくらい。しかし今の若い子は本当にしっかりしてるよね。でもとにかくサウンドチェックに戻ってもらい、私は後ろの方でそれを見学。サウンドチェックを見るとアーティストがどのくらいすごいのか分かる。ウォリス、エンジニアのエイダンとのコンビもものすごくいい。エイダンはマメに一曲一曲セットを変えていく。面白い。

そうそうウォリスは日本大使館にビザを取りに行った事を楽しそうに話してくれた。ウォリスがあまりに嬉しくてはしゃいでたら、受付のお姉さんも一緒に喜んでくれたんだって。ベルリンの大使館のお姉さん、ありがとう。そういうの、本当に助かります!! そして毎度の話なんだけど、アメリカのビザが本当に大変だという話。これ、どのアーティストも文句言っているよね… どうにかならないもんなんだろうか。でも、とにかくそんな事を嬉しそうに話してくれるウォリスは、ほんとうに印象が抜群なのでした。

会場の人たちもすごく親切で、私もウォリスとエイダンと一緒に夕飯をご馳走になっちゃった。アスパラガスのスープにサラダ、トマトソースのペンネ。すごく美味しかった。なんか出張多けれど、こんなに現地で気を使ってもらったことが過去にあっただろうか…  ルナサとか、何にも言わずにおつりの袋を渡され、物販とかやらされたこともあったが(笑)(ウソですよ、ルナサ、元気かな。そろそろ会いに行こうかな)

開演までだいぶ時間があったので、ウォリスとエイダンとあれこれ話すんだけど、やはりどうしても共通の知り合いの話題になる。ポールの話になり、ウォリスいわくポールと二年前だったと思うんだけど、普通に話してたら、前後の脈略なくポールが「日本にヨーコってのがいて(俺に怒られても怯まない強いやつで、ウォリスと同じくらいチビだけど)よく働くんだ」って話になったのだそう。(カッコ内は私の想像)  うわ〜すごい嬉しい!っていうか、ポール、何も関係ないときに私の事思い出してくれるんだ?!と、ちょっと嬉しくなる。   

あとウォリスは今、メアリー・ブラックの自伝本を読んでいて、そこに日本の事が出てきて、私もちらっと出てくるので、今、夢中で読んでるとか、そういう話になった。いや〜、メアリーに感謝である。本当にこの世界は人脈が命。

それにしても正直ウォリスのコンサートチラシは昨年のケルティッククリスマスで配るために慌てて作ったので、自分ではキャッチとか、内容とか、あまり気に入っていない。急いでいたので推薦コメントも厳選せず、自分が頼みやすいポールとメアリーにしてしまったのだった…もちろんこの二人が推薦してくれることはすごいけど、それによってウォリスのイメージが固定されないか心配でもある。公演まであと一ヶ月。改訂チラシ作るのか。帰国したら、またあれこれやらないと…

ま、それはさておき、それにしても今回の出張はコークとフランクフルトだけど、自分とアイルランドの結びつきの強さを実感するのであった。ウォリスは別にアイリッシュだから好きになったわけではないのだけど、なんか、そういうボーダーレスな感じが、本当に今のヨーロッパぽくって、いい。今、どうもアイルランドの伝統音楽業界はパッとしないが、90年代半ばの、あの伝統音楽の力強い感じから、今こうしてウォリスみたいなすごいソロアーティストまで、長く関わっているといろんな事があるなぁと思う。

さてさてコンサートが始まった!   この会場ドイツの田舎にあるのに、音もライトもすごくいい!   お客さんも満杯で、すごい盛り上がり。ウォリスの集中力は凄まじく、いや、本当に素晴らしかったわ。もう、ビックリ!

すごいハードな曲をガシガシ演奏したかと思うと、次はアカペラでグッと聞かせる。セットリストはほぼ東京も同じになると思うので、あえて書かないけど、途中会場からリクエストも取ったりして、すごい。ウォリスはどんどん曲をこなし、演奏を続ける。途中、弦を切っての大熱演。あっという間の70分で本編終了。いや〜   カッコよかった。つくづくウチはついているなぁと思う。こんなすごいアーティストが来てくれたんだから、これはもう死ぬ気で頑張らないといけない!!!!  責任重大である。そしてアンコールはあの静かな曲で会場は水をうったようにシーーーーーンとなったのであった。海外のこのテのライブでは、すごく珍しい事。

しかしこう言っては短絡的だが、やっぱりアーニーを思い出すよね。アーニー・ディフランコが日本に来なくなって何年経つだろう。15年くらい?    ということは、日本の若い洋楽ファンは、あぁいうギターを持った女性シンガーのパワフルなライブを全然体験してないわけだ。それかアーニー以降、過去に誰かこれほどのスケールで演奏するソロ女性アーティストが来日しただろうか。名前をあげられるひとはぜひ上げてみてください。私にはちょっと思い浮かばない。

…なんてね。もっとも私も最近は東京で熱心にライブ見るのは、もうだいぶ前にやめちゃったからね。洋楽のメインストリームはもう20年以上フォローしてないし、昔は年間ライヴ100本見る、とか決めてこなしてたんだけど、もう今は辞めた。そのくらい東京では良くないライブの方が多いとも思う。 そんな中、おそらくウォリスの来日はものすごいパワフルな衝撃をもたらしてくれるだろう。ベスト盤の発売もあと2週間だし、本当にこのすごい音楽が多くに人に届けばいいな、と思っている。

コンサートが終わるとウォリスとエイダンは親切にも車で私をホテルまで送ってくれて、最後は一緒に道ばたでセルフィー。いや〜、すごいものを体験しました。5月、これは本当に本当に本当に絶対に見逃さないでほしい、きっとすごい公演になる!!