プランクトンさん主催のトークイベントにお邪魔しました。
で、久しぶりにTwitterで実況を試みたものの、全然ダメダメだった。やっぱり実況中継は訓練、そして場数。何をおいても場数が必要ですな。すみません。一応ブログにもまとめておきます。
昨日土曜日は、四ッ谷い〜ぐるさんで行われた「カニサレスの魅力に迫る!」にお邪魔してきました。現代フランメンコギターの最高峰カニサレス、9月の来日公演を記念して行われた林田直樹さんと鈴木大介さんのトークイベントです。
いや〜面白かった。まず単純に言って、クラシックやフラメンコはまるで門外漢な私でも楽しめる、素晴らしいイベントでした。さすが林田さん、分かりやすい! そして鈴木さん、面白い!
カニサレス、というとあのパコ・デルシア・トリオのメンバーとして10年も活躍し、現在のフラメンコ界で最高のギタリストなわけなんですが、それだけに止まらず、ジャンルを越えたボーダーレスな活動が非常に評価されている人なわけです。
あぁ、フラメンコのこと、何を知っている訳じゃないけれど、こういう研ぎすまされた世界、大好き!! かっこいいよね!!
トークショウでは、まずカニサレスさんが「スペインでもっとも重要な作曲家」としているファリャの楽曲の、オーケストラ・ヴァージョンとカニサレス・ヴァージョンの聞き比べとから始まります。これは面白い!
カニサレスはスペインの作曲家の中ではファリャに一番思い入れがあるんだそうです。左の笑顔のおじさん、この人ですね…
スペインはマドリッド出身の作曲家。晩年はフランコ政権を避けてアルゼンチンに亡命。最終的には、1946年にその地でなくなったそうなんですが…
ここでたまたまお客さんとしてご来場されていた西澤安澄さんも登場。西澤さんはファリャの遺族の人たちとも交流をし、世界でも初めての本格的なファリャのピアノ曲の全曲集CDなどを手がけられたピアニストです。
西澤さんによると当時フランコ政権はフラメンコをスペインの代表文化として大プッシュしていた、と。それが私たち日本人の持つ「スペイン=フラメンコ」のイメージの図式になっていくわけです。そもそも当時、フラメンコは場末のカフェの音楽だった、と。ファリャは、そんなアンダルシアのフラメンコに興味を寄せ、その影響を示したクラシックの優れた作品を多数残した、ということらしいです。(このへんはシベリウスとか、ニールセンとか、グリーグとか北欧勢もそうだし、バルトークとか顕著ですよね。やはり民族音楽は強いですなー)
カニサレスは、つまりファリャを通じて発生当時のフランメンコを再発見しようとしているのではないか、と鈴木さんは分析していました。
それにしてもすごいのはファリャはピアノであり、オーケストラ用の曲を書いているわけなんだけど、それをギターで演奏する、というカニサレスがすごい、と。でも鈴木さんによるとギタリストって何を聞いてもギターのどの位置で弾くかなーって意識して音楽聴いているんだって。すごいな…
あと林田さんがDVDの映像を紹介して、そのあとに「カニサレスさんって普段でもアイコンタクトがすごいですよね」とか話してらしたのが面白かった。林田さんは過去カニサレスに何度かインタビューをしたことかあるのだそうですが、通訳を通じてのインタビューだし、スペイン語が分からない僕なんだけど、僕の方をジッと見つめ続けたりして、なんか通じ合っている感じがある、って言ってました。そして「優れた音楽家は察する能力がすごい」とも。(← これ、めっちゃ分かる。ウチのアーティストたちもみんなそうだもの!)
また鈴木さんは一緒に共演したときの楽しいエピソードとともに、ステージに立ったとき僕が緊張していたら、僕の方を見てくれて僕もそんなカニサレスさんから目が離せず高音部分まで二人でまっしぐら、みたいな話をされていたのが印象的でした。
とにかくファリャを研究することによって、100年くらい前の、パコ・デルシアとかより前のフラメンコトをカニサレスは探ろうとしているのではないか、ということでした。カニサレスは、先端を行きつつ、伝統的なものへのリスペクトもすごい、と。もちろん今の時代、かっこよく革新的なものを作り出していかないと生き残れないというのも分かる。でもカニサレスはそれ以上に伝統を尊敬し、重厚さとか深さを尊重している、と。
またカニサレスは「原譜の音域の豊さを再現するために、ギターの第4〜6弦を10弦の低音弦に替えてみました。これにより通常のギターより1オクターブ低い音まで出すことが可能になり、音楽にさらなる深みを与えることができました」とインタビューで発言しています。この特別仕様のギターの音色は「7つのスペインの民謡」「終演の踊り」で聞くことができるそうです。
さてカニサレスの音楽を聞きながら、林田さんはギターにしか表現できないことってなんだろう、とずっと考えていたそうです。(しかしホントに「い〜ぐる」は音がいい!)林田さんいわく、それは音楽の「色っぽさ」「音と音との間を移る感じ」なのではないか、と。確かにピアノや音程が決定されている楽器にはないものがギターにはある。おたまじゃくしにならない音。僕らはカニサレスの音楽を聞きながら、音と音との間も聞いている、と。
鈴木さんは通常ギターって重ねたり、例えば二重奏とかやると、そのたびにノイズが増えるんですが(弦をはじく音とか、下手すると左手の方からもノイズが出る)カニサレスのギターを重ねている録音は、そういったノイズもすごく少ない。ギターの音を重ねてもノイズが倍増しない、と。それがすごい。いずれにしても意見はいろいろあれど、林田さんも鈴木さんも「音じゃないところを聞いているところで一致」ってのが面白い、と鈴木さん。(たしかに。そしてこれも「い〜ぐる」の音のゆえ、かも!)
そしてフラメンコのアーティストとして、リズムへの拘りがすごい、と。ここで鈴木さんが面白いことを言ってて、クラシックのリズムは円運動なんだと。直径が長くなったり短くなったりする、指揮者が描くあの円運動。一方のカニサレスにはしっかりしたパルスを聞きとれる。自由に聞こえているかもしれないけれど、すごく正確、との指摘をされていました。
そして2部はいよいよアランフェスの聞き比べ! まずはクラシック界の巨匠ギタリスト、ジョン・ウイリアムズのヴァージョン。そしてカニサレスのベルリン・フィルとのヴァージョン(サイモン・ラトル指揮)を聞き比べます。すごい!!
ちなみに林田さんが教えてくれたのですが、アランフェスの作曲家ロドリーゴも、基本はピアニストだったのそうです。それがギターのこんな代表曲を作った。3歳の時に失明し、そのあとおそらく楽譜もなしで作曲をした、と。すごいねー。音楽ってすごい。作曲家ってすごい。ロドリーゴ、ギターはまったく演奏しない人だったそうですよ。
ここで鈴木大介さんによるアランフェスをネタにしたクラシックの人の弾き方とフラメンコのギターの違いの実演がホントに分かりやすかった。(いつぞやのハラール・ハウゴーのニールセン、トラッド風/クラッシック風聞き比べ、ってのにも通じた… そういやあれも林田さんのラジオ番組だった!!)
また楽器自体のスペックも、クラシックの方は弦高(って言ってたかなぁ、記憶なし)がやや高かったり、基本NO PAで演奏なので、音の鳴り/ボディの響きが重要だったりいろいろあるのだそうです。ここでも面白かったのは鈴木さんは自分の楽器を人に弾いてもらうのが好きなんだって。たとえばカニサレスみたいなすぐれたギタリストに自分の楽器を渡すと、自分では予期しなかった、自分も知らない自分の楽器の可能性が引き出される、と。うーん、面白い!
それにしてもカニサレス、9月の来日が楽しみです。問題はどの公演に行くか…だなぁ。カルテットの研ぎすまされた世界も堪能したいし、オーケストラとの共演も。
そういえば奥様の真理子さんがこんな番組に出演されるようですよ。「世界の日本人妻は見た!」
面白かったのは、Twitterで中継してたら、この番組にどうやら出演してたらしいシモネちゃんからもツイートがあり、Twitterってホントに面白いなーと思ったのでした。
ブラジルのシモネちゃんも出ますので、カニサレス・ファンの皆さんはこの番組、要チェックです!
以上、野崎のレポートでした。フラメンコやスペインの文化、全然分かってないので、ピント外れたこと書いてたらすみません。文中の林田さん、鈴木さんの発言は、昨日のTwitterをもとに野崎が思い出しながら書いております。理解が足りなかったら、申し訳ございません。
カニサレスさんの来日情報はすべてこちらに集約されております。林田さん、鈴木さん、ありがとうございました。そしてプランクトンの皆さん、おつかれ様!
で、久しぶりにTwitterで実況を試みたものの、全然ダメダメだった。やっぱり実況中継は訓練、そして場数。何をおいても場数が必要ですな。すみません。一応ブログにもまとめておきます。
昨日土曜日は、四ッ谷い〜ぐるさんで行われた「カニサレスの魅力に迫る!」にお邪魔してきました。現代フランメンコギターの最高峰カニサレス、9月の来日公演を記念して行われた林田直樹さんと鈴木大介さんのトークイベントです。
いや〜面白かった。まず単純に言って、クラシックやフラメンコはまるで門外漢な私でも楽しめる、素晴らしいイベントでした。さすが林田さん、分かりやすい! そして鈴木さん、面白い!
カニサレス、というとあのパコ・デルシア・トリオのメンバーとして10年も活躍し、現在のフラメンコ界で最高のギタリストなわけなんですが、それだけに止まらず、ジャンルを越えたボーダーレスな活動が非常に評価されている人なわけです。
あぁ、フラメンコのこと、何を知っている訳じゃないけれど、こういう研ぎすまされた世界、大好き!! かっこいいよね!!
トークショウでは、まずカニサレスさんが「スペインでもっとも重要な作曲家」としているファリャの楽曲の、オーケストラ・ヴァージョンとカニサレス・ヴァージョンの聞き比べとから始まります。これは面白い!
カニサレスはスペインの作曲家の中ではファリャに一番思い入れがあるんだそうです。左の笑顔のおじさん、この人ですね…
スペインはマドリッド出身の作曲家。晩年はフランコ政権を避けてアルゼンチンに亡命。最終的には、1946年にその地でなくなったそうなんですが…
ここでたまたまお客さんとしてご来場されていた西澤安澄さんも登場。西澤さんはファリャの遺族の人たちとも交流をし、世界でも初めての本格的なファリャのピアノ曲の全曲集CDなどを手がけられたピアニストです。
西澤さんによると当時フランコ政権はフラメンコをスペインの代表文化として大プッシュしていた、と。それが私たち日本人の持つ「スペイン=フラメンコ」のイメージの図式になっていくわけです。そもそも当時、フラメンコは場末のカフェの音楽だった、と。ファリャは、そんなアンダルシアのフラメンコに興味を寄せ、その影響を示したクラシックの優れた作品を多数残した、ということらしいです。(このへんはシベリウスとか、ニールセンとか、グリーグとか北欧勢もそうだし、バルトークとか顕著ですよね。やはり民族音楽は強いですなー)
カニサレスは、つまりファリャを通じて発生当時のフランメンコを再発見しようとしているのではないか、と鈴木さんは分析していました。
それにしてもすごいのはファリャはピアノであり、オーケストラ用の曲を書いているわけなんだけど、それをギターで演奏する、というカニサレスがすごい、と。でも鈴木さんによるとギタリストって何を聞いてもギターのどの位置で弾くかなーって意識して音楽聴いているんだって。すごいな…
あと林田さんがDVDの映像を紹介して、そのあとに「カニサレスさんって普段でもアイコンタクトがすごいですよね」とか話してらしたのが面白かった。林田さんは過去カニサレスに何度かインタビューをしたことかあるのだそうですが、通訳を通じてのインタビューだし、スペイン語が分からない僕なんだけど、僕の方をジッと見つめ続けたりして、なんか通じ合っている感じがある、って言ってました。そして「優れた音楽家は察する能力がすごい」とも。(← これ、めっちゃ分かる。ウチのアーティストたちもみんなそうだもの!)
また鈴木さんは一緒に共演したときの楽しいエピソードとともに、ステージに立ったとき僕が緊張していたら、僕の方を見てくれて僕もそんなカニサレスさんから目が離せず高音部分まで二人でまっしぐら、みたいな話をされていたのが印象的でした。
とにかくファリャを研究することによって、100年くらい前の、パコ・デルシアとかより前のフラメンコトをカニサレスは探ろうとしているのではないか、ということでした。カニサレスは、先端を行きつつ、伝統的なものへのリスペクトもすごい、と。もちろん今の時代、かっこよく革新的なものを作り出していかないと生き残れないというのも分かる。でもカニサレスはそれ以上に伝統を尊敬し、重厚さとか深さを尊重している、と。
またカニサレスは「原譜の音域の豊さを再現するために、ギターの第4〜6弦を10弦の低音弦に替えてみました。これにより通常のギターより1オクターブ低い音まで出すことが可能になり、音楽にさらなる深みを与えることができました」とインタビューで発言しています。この特別仕様のギターの音色は「7つのスペインの民謡」「終演の踊り」で聞くことができるそうです。
さてカニサレスの音楽を聞きながら、林田さんはギターにしか表現できないことってなんだろう、とずっと考えていたそうです。(しかしホントに「い〜ぐる」は音がいい!)林田さんいわく、それは音楽の「色っぽさ」「音と音との間を移る感じ」なのではないか、と。確かにピアノや音程が決定されている楽器にはないものがギターにはある。おたまじゃくしにならない音。僕らはカニサレスの音楽を聞きながら、音と音との間も聞いている、と。
鈴木さんは通常ギターって重ねたり、例えば二重奏とかやると、そのたびにノイズが増えるんですが(弦をはじく音とか、下手すると左手の方からもノイズが出る)カニサレスのギターを重ねている録音は、そういったノイズもすごく少ない。ギターの音を重ねてもノイズが倍増しない、と。それがすごい。いずれにしても意見はいろいろあれど、林田さんも鈴木さんも「音じゃないところを聞いているところで一致」ってのが面白い、と鈴木さん。(たしかに。そしてこれも「い〜ぐる」の音のゆえ、かも!)
そしてフラメンコのアーティストとして、リズムへの拘りがすごい、と。ここで鈴木さんが面白いことを言ってて、クラシックのリズムは円運動なんだと。直径が長くなったり短くなったりする、指揮者が描くあの円運動。一方のカニサレスにはしっかりしたパルスを聞きとれる。自由に聞こえているかもしれないけれど、すごく正確、との指摘をされていました。
そして2部はいよいよアランフェスの聞き比べ! まずはクラシック界の巨匠ギタリスト、ジョン・ウイリアムズのヴァージョン。そしてカニサレスのベルリン・フィルとのヴァージョン(サイモン・ラトル指揮)を聞き比べます。すごい!!
ちなみに林田さんが教えてくれたのですが、アランフェスの作曲家ロドリーゴも、基本はピアニストだったのそうです。それがギターのこんな代表曲を作った。3歳の時に失明し、そのあとおそらく楽譜もなしで作曲をした、と。すごいねー。音楽ってすごい。作曲家ってすごい。ロドリーゴ、ギターはまったく演奏しない人だったそうですよ。
ここで鈴木大介さんによるアランフェスをネタにしたクラシックの人の弾き方とフラメンコのギターの違いの実演がホントに分かりやすかった。(いつぞやのハラール・ハウゴーのニールセン、トラッド風/クラッシック風聞き比べ、ってのにも通じた… そういやあれも林田さんのラジオ番組だった!!)
また楽器自体のスペックも、クラシックの方は弦高(って言ってたかなぁ、記憶なし)がやや高かったり、基本NO PAで演奏なので、音の鳴り/ボディの響きが重要だったりいろいろあるのだそうです。ここでも面白かったのは鈴木さんは自分の楽器を人に弾いてもらうのが好きなんだって。たとえばカニサレスみたいなすぐれたギタリストに自分の楽器を渡すと、自分では予期しなかった、自分も知らない自分の楽器の可能性が引き出される、と。うーん、面白い!
それにしてもカニサレス、9月の来日が楽しみです。問題はどの公演に行くか…だなぁ。カルテットの研ぎすまされた世界も堪能したいし、オーケストラとの共演も。
そういえば奥様の真理子さんがこんな番組に出演されるようですよ。「世界の日本人妻は見た!」
面白かったのは、Twitterで中継してたら、この番組にどうやら出演してたらしいシモネちゃんからもツイートがあり、Twitterってホントに面白いなーと思ったのでした。
ブラジルのシモネちゃんも出ますので、カニサレス・ファンの皆さんはこの番組、要チェックです!
@mplantyoko カニサレスさん!!
今度番組に出るよ!!!
— シモネ(Simone) (@shiichanbrasil) 2015, 6月 13
以上、野崎のレポートでした。フラメンコやスペインの文化、全然分かってないので、ピント外れたこと書いてたらすみません。文中の林田さん、鈴木さんの発言は、昨日のTwitterをもとに野崎が思い出しながら書いております。理解が足りなかったら、申し訳ございません。
カニサレスさんの来日情報はすべてこちらに集約されております。林田さん、鈴木さん、ありがとうございました。そしてプランクトンの皆さん、おつかれ様!