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2015年11月17日火曜日

映画「ヴィオレット〜ある作家の肖像」を観ました

試写で拝見させていただきました。「ヴィオレット〜ある作家の肖像」ありがとうございます。

フランス文学、全然知識がなくって、初めてこの人の存在を知りました。ヴィオレット・ルデュック。1907年、私生児として生まれ、ボーヴォワールに出会い、ものすごい執念で作家になり、でも世界が自分を認めてくれないと怒りまくり、母親とのバランスの悪い人間関係に悩まされ、男性/女性構わず実らない愛情を求めまくり、自分の悩みやすべてや中絶やあれこれすべてを奔放に書きまくり、ブチ切れて精神病院に入れられたり、最終的には小説「私生児」がヒットしたり…

すごい人ですね、この人。めちゃくちゃエキセントリック。バイセクシャルで寂しがり屋で、まさにボーヴォワールの言うとおり、書くことでしか世界とつながることができない人。溢れるほどの才能を持ち、まさに書くために生まれてきた人でもある。

彼女もものすごいんだけど、脇であるボーヴォワールの描かれ方が押さえめで、めちゃくちゃかっこいいのよ。「書きなさい」「書くのよ」ととにかく彼女を応援する。出版社が出していると偽って彼女を金銭的に援助しつづける。そのくせヴィオレットの愛情を拒絶することはもちろん「あの人とは友情は育めない」とかバッサリと言って切り捨てる。才能に惚れるって、こう言うことなんだろうか。ボーヴォワールの心情が計り知れないが、いずれにしてもボーヴォワールは強い。かっこいい。

この主演の女優さん(エマニュエル・ドゥヴォス)そしてボーヴォワール役の女優さん(サンドリーヌ・キベルラン)どちらも素晴らしい。ヴィオレットが本を書くシーンが多いのだが、その書く筆跡を真似るため、ドゥヴォスは相当練習を重ねたのだという。また本物の彼女にイメージを近づけるため、ワザとみにくくなるような鼻を付けて演技に挑んだらしい。それにしても女の友情って、こんな感じなのかな。ヴィオレットがバイ・セクシャルなため、どうもいろんな感情が計りにくいのだけど、ボーヴォワールの本心をもっと知りたくなった。

しかしボーヴォワールも史実によれば、契約結婚とかいいつつ、旦那サルトルの浮気に苦しんできたわけでしょう? ホント強くて、かっこいいよね。

そして私は自分の卒論がフランス実存主義(つまりサルトル)だったことも思い出した。そうよ、私は哲学科卒。でも何を勉強し書いたかは、全然覚えていないし、今の仕事にはまったく関係ない。全然役にたってない、と言い切っちゃうと語弊があるかもだけど… もっとも大学は楽しかったから、行ったことは後悔してないし、それこそレコ社の宣伝とか大卒じゃなかったら採ってもらえない時代だったから(今もそうなのかな?)、まぁ、良かったっちゃ良かったけどね。




ちなみに素顔のヴィオレットってこんな顔だったんだって。確かに美人ではないはな… でもスタイル抜群でモデルなみの体型だったとか。一方、ボーヴォワールは本物の写真でも最高に美人。加えて知性溢れる才女、って感じで、ホント素敵なのよね。

ヴィオレットの本を読んでみたいけど、どれも廃刊になっており、手に入りにくい。この映画をきっかけに復活したらいいのに…っていうか、こういう本こそ電子書籍でPDFでもいいから売ればいいのに、と出版の素人は勝手な事思う。

12/19より岩波ホールにて。岩波ホールにぴったりのインテリジェントな映画だと思う。ヒット確実。